トランスジェンダー排除言説について

今までTwitterで書いてきたことやメディアのインタビューで話してきたこと、読んできた参考になるウェブサイトや本などをまとめる記事です。

朝日新聞インタビュー(2023/8/16)

 このインタビューでも書いたように、私も当初は文脈についての知識がなかったので、それがトランスジェンダーへの誤解と偏見に基づく差別的な言説だとはすぐにはわからず、戸惑いました。多分はじめはそういう人が多いと思います。
 でも、なんだかおかしいとひっかかっていたので、理解するまでは発信せず、トランス当事者の方の発信などを追って、日常でどんな困難を抱えやすいのかなどを知ることで、私は、なぜ「それはトランスジェンダー差別だ」と指摘されるような言説が差別であるといえるのか、理解するようになりました。 
 前は「ミスジェンダリング」とか「未オペ」とかそういう言葉の意味自体わからず、トランス差別についての議論の内容自体理解できなかったです。このサイトとてもお勧めです https://trans101.jp/term/

 


 今の社会はあちこちでトランスジェンダー当事者の存在を想定していない設計なので、それにあわせることに困難をもっている人の教育や就労の機会からの排除につながり、貧困に苦しむことも多いのです。トランス当事者が存在することが前提の制度設計に変わっていく必要があります。
 トランスジェンダー当事者は絶対数が少なく、ネットは当事者どうしがつながれる大事な場なのに、そのネットで差別的言説に触れて、孤独を感じて命を絶つほど追い詰められてしまうことがあります。正しい知識を学校の性教育の中でもしっかりと伝えていくことも大切です。
 知らないことで差別的な言説に加担してしまう可能性は誰にでもあります。あるテーマでは差別される側の人も、他のテーマでは差別する側になってしまうこともあるという前提で、学ぶことでしか差別は克服できないと思います。
 マイノリティーが日常的に苦しんでいる抑圧に関し、自分は苦しまないで済んでいるというマジョリティー側に立つことは誰にでもあり得ることで、ある差別に苦しんでいる人が、他のマイノリティー差別に鈍感で無頓着なこともあります。それを認める勇気と謙虚さをそれぞれが持つことが、あらゆる差別に加担することのない社会を作り上げていくと信じています。
 

無料冊子「トランスジェンダーのリアル」

 この冊子すごくお勧めです。トランスジェンダーの実際の姿を知らないままにあれこれと当事者のリアルから遊離したことを「議論」すること自体の無意味さ、それ自体が異物視するような蔑視目線が根底にあることなど、こういうのをみるとわかってくると思います。


オンラインシンポジウム「トランスジェンダー排除にどう対応するか」

私も登壇者の一人でした。
SNS上を中心にトランスジェンダーに対するバッシングが激化している現状について、5月17日のIDAHOBIT(同性愛嫌悪や両性愛嫌悪、トランスジェンダー嫌悪に反対する国際デー)に合わせて行われたオンラインイベントです。女子大学におけるトランスジェンダー女性の学生受け入れの議論がどのように進められ、学内の反応はどうだったのかなどもその女子大関係者の方々から語られました。

当事者の困難の実態や支援する場の重要性などについて、大学、メディア、当事者・支援者など、さまざまな立場の18名の登壇者でした。

SNS上を中心にジェンダーに関する問題を日々発信している弁護士の太田啓子さんも、「性暴力そのものが軽んじられてきてしまったこと」が、トランス排除言説に向かってしまっている側面があるのではないかと語る。
太田さんがツイッター上ではじめてトランスジェンダー排除の言説を見た際、「日頃ジェンダーの問題に鋭い考察をしているアカウント同士が、トランス女性のトイレ利用について論争をしていて、いったい何が起きているかわからなかった」という。
それまでトランスジェンダーだと明かしている直接の知人はいなかった、という太田さん。
メディアで語られるイメージやバイアスもあり、しばらく考えてもわからなかったため「当事者の声を聞かなくては」と思い、意識的に当事者の発信を探し、当事者が勧めているドキュメンタリーを見るなどして、当事者の声を聴こうと努めたという。
「そこで、『これはトランスジェンダーに女子トイレの利用を認めるという議論のたて方自体がおかしいのだ』と気づいたんです」と太田さんは話す。
一方で、トランス排除的な発言をしてしまうシスジェンダーの女性たちの背景には、「社会から性暴力被害を軽んじられ、声を上げても黙らされ、傷つきすぎて警戒してしまっている人が少なくないのだろうと思います」と語った。
「性暴力被害が軽視されてほしくないですが、トランス女性も女性として性被害にあっているという事実を覆い隠してはいけません。男子トイレにいって被害にあうかもしれないのに、『あなたは男子トイレに行ったら?』と、それがどんなに傷つく排除発言なのか、立ち止まって考えてほしいと思います」と話す太田さん。
こうしたトランスバッシングの現状について、太田さんは「私も理解したのはそんなに前ではありません」と留意しつつ、「女性差別に反対する人が、トランスジェンダー排除に対抗する発信をすることが重要」と思い、今回このイベントに登壇することを決めた、と語った。

Y!ニュース/松岡宗嗣「トランスジェンダー排除への対応「共に手を取り合うために」立場を超えて18名が議論      」 
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/f160cc39ab10df5bcb149a27dd8ba7b206c948fd


ウェブサイト「はじめてのトランスジェンダー」

 大変わかりやすく色々なテーマが網羅されています。まずはこれを読むとよいのではないかと。

 

「トランスジェンダー入門」(高井ゆと里・周司あきら/集英社新書)


初めに読むならこの本。重要なことが網羅された入門書。

 


トランス当事者の権利を尊重すると性暴力リスクが高まる?ーTwitterで書いてきたことのまとめ

 私はほとんどTwitterでレスポンスを返しませんが、ある時期、Twitter上でのトランスジェンダー排除言説についてこまめに返すということをやってみたことがあります。トランスジェンダー差別に限らず差別的言説への対応はひとつではないと思います。厳しく抗議することがふさわしい場もあれば、それは誤解なのではないか、と丁寧に指摘することが適切ということもあるのではないかと思います。
 女性差別への抗議が他の差別に利用されることに危機感をもつ、トランスジェンダーではない人間として、私はこう理解してきた、こういう誤解があると思う、となるべく淡々と書いたつもりです。 
 こちらのツリーは、途中で枝分かれがややこしくなってしまい読みづらいので、以下でまとめてテキストで貼ります。ここで引用している、弁護士の仲岡しゅんさんの説明は非常に明晰でわかりやすく、私も多分はじめはここから理解を始めました。

1, トランス女性の多くは、以前から、当事者個々の具体的状況と、その女性用スペースの性質との相関関係により、周囲に見咎められる等の社会生活上のトラブルを起こさないか見極めながら、状況に応じ多目的トイレ女性トイレ男性トイレを使っています。これがまず前提事情です続

2, 私が当事者のお話等から理解しているのは、たいていの当事者は自分がどう見られるか、女性スペースにいることを見咎められるような状況ではないか慎重に見極めようとしていて、どんな状況でも女性トイレを使いたいとこだわっているのでは全くないということです。不審がられるのは通常避けたいからです

3, 当事者の個々の具体的状況と関係なく一律に「必ずどこのトイレを使うべき」というルールを押しつけないことが、私が考える、トランス当事者の尊重です。本人がトランスと言いさえすれば女性トイレを使わせるべき等ということでは全くありません。そして、

4, そのような意味でのトランス当事者の尊重をすることで、女性が性暴力に遭うリスクが高くなると考える理由はないと思います。今までもずっとそうだったわけですから、今までと特に変わらない、と考えます。トランス当事者の権利を尊重すると性暴力リスクが高まるという懸念の理路は、おそらくは、

5, ①「トランス当事者の尊重をする」というのは、常にどんな状況でも女性トイレを使用したいと当事者が望んでいるというような誤解と、②女性トイレで、男性かも?と不審に思っても、トランス女性である可能性を配慮して通報を控えざるを得なくなるという誤解その他幾つかの誤解を前提にしているのでは

6, ①が誤解であるとは上述しました。人によっては男性トイレにいると「ここ男性トイレですよ間違ってますよ」と言われるような、女性と見られる方もいるわけで、そういう方とは、気づかないだけで今までも女性トイレですれ違っていたりするのです。これから急に新たにそうなるというわけではない訳です続

7, ②女性トイレで、男性かも?と不審に思っても、トランス女性である可能性に配慮し通報を控えざるを得なくなるというのも誤解です。そもそも、男性かも?と感じた時、可能性としては、ボーイッシュな外見のシス女性、女装してるシス男性等の可能性もありトランス女性とは限らないわけでもありますが、

8, 周囲は外見だけではなんともわからないですし、不審に感じれば通報を控えるべき理由は今までもこれからもありません。トランス当事者を尊重するということは不審に感じても通報を我慢すべき、は誤解です。通報した結果、性犯罪者かもと思ったが誤解だった、ということはあるでしょう。その場合、

9, 疑われた側はそれは不快だし傷つくでしょう。望ましい事態ではないですが社会での共同生活ではやむを得ないです。性暴力が起きないよう小さな不安でも声をあげることは奨励すべきと私は思います。結果誤解であれば、疑ってすみませんというしかないですが、それを過剰に責めたりしない世論作りも、

10, 性暴力を抑止しやすい社会の土壌作りどは。性犯罪者かと疑われたのがボーイッシュなシス女性という場合も嫌な気分でしょうが、もしトランス女性だった場合その心情は私の想像を超えるのではと思います。まさにそういう思いをしたくないから、多くのトランス女性は女性トイレ理由を慎重に判断しています

11, 次に「女性の安全の担保はどのように担保されるのか」というお尋ねですが、このお尋ねの仕方は、(トランス当事者を尊重するということは今までとは違うリスクがあり得るが)その場合の担保は?という趣旨と理解しました(違うならご指摘下さい) 。そうすると、前述の通り、

12, トランス当事者を尊重することで女性スペースにリスクが増えるということではないので、「リスク増加を踏まえた安全の担保は?」という問いは前提を欠くと思います。ただ、トランス尊重によって増加するわけではしなくても厳然としてある性暴力リスクをいかに減らせるかは私もずっと関心事です。

13, トランス当事者の権利尊重とは別問題として、性暴力対策はずっと私の関心事です。中長期的には、包括的性教育の普及や、第三者介入の具体的なやり方のワークショップの普及も大事でしょうし、社会のレイプカルチャー的風土をなくすべくメディアのありようも問うべきでしょうし、

14, 被害者ではなく加害者を生まないために何をすべきか、社会全体で考え実践すべきと思います。トランス当事者の尊重とは別個のテーマですね。まさに別個で、どちらも重要な人権課題であり、優劣つけるような性質のものでもなく、矛盾もしない、ということです。

15, 女性トイレの安全につきあえてトランス当事者尊重というテーマに絡めていうならば、性犯罪目的で立ち入った人が「トランス女性」と自称さえすればそれだけで警察はひるんでしまい何もできないというのは大きな誤解だと広めることは、そういう弁明を使おうと企図することを抑止する意味で重要と思います

16, 前述もしましたが、不審に感じたら、声をあげることを躊躇しなくていいとエンパワーすることは大事ですし、その声が軽んじられない社会を作る必要もあります。そもそも不審に感じるような事態発生をいかに抑えるかももちろん大事です。日本社会が今でさえ性被害に本当に冷淡なので、

17, 社会が今、性被害に本当に冷淡なので、新たなリスクが増えるのではと不安で警戒する方が少なくないのだと思います。性暴力への不安感をもつこと自体は当然で何も非難されるようなものではないです
が、トランス当事者の尊重とは上述したような意味なので、性暴力対策とは何も矛盾せず両立するものです

18, 「トランス当事者の尊重」の意味を誤解し、②不審に感じることあっても、咎めたら尊重してない、差別だて言われるんでしょう?」と思ってしまうのは、性暴力を恐れる声が軽視され続けてきた負の経験に裏付けられている部分もあると思う。本当に負の経験が累積しているから。

19, 性暴力を恐れる人にとって、今の社会は本当に冷たい地獄だと思います。上記に書いた意味での「トランス当事者の尊重」をしても、その地獄レベルは変わらない(それにより更に地獄になるわけではない)ということです。
性暴力対策を強めたいですし、具体的なことは例えばということで上述しました。

20, 「怖かったら通報すればいい、ではない。フリーズしてしまい通報できるとは限らないし、通報しなくてはいけないような状況自体が恐怖である」というのは全くもっともで私もそう思うわけですが、それについてはこちらで書きました。

21 そうですね。 ただ、トランス女性による女性トイレ利用自体は以前からあります。それに周囲の女性は毎回恐怖してきたでしょうか?そうではないことの方が実際には多い筈です。そもそもトランス女性と気づかないから。なぜなら、恐怖されるようなことにならないか慎重に見極める当事者が多いからです続

22 トランス女性は人口比割合は極小とはいえ絶対数では万単位。仮に1万として(その全員が女性トイレを常に利用するとは限りませんが)外出先で女性トイレを利用する際常に周囲の女性が恐怖していたら毎日全国で1万回位トランス女性の利用に起因するトラブルが起きているはず。今までそうではない訳で、

23 それは、不審者と見咎められたりしたくなく慎重に行動している当事者が多いからでしょう。当事者の多くは個々具体的な状況に応じてトラブルにならないようなトイレ利用をしてきている訳で、今後それがトラブルが起きやすい方向に変わると心配する理由はないです。そういう心配を感じるとすればそれは、

24 このスレに書いたような誤解があるからと思います。その誤解はしかし、性被害を怖れる声があまりに軽んじられた負の経験に裏付けられていると思います。性暴力対策ももちろん大事で、女性が恐怖を感じるような機会自体そもそも減らさなくてはいけないのはいうまでもありません


【ここから下は、それはトランスジェンダーへの偏見でしょう・排除でしょうというTwitter上の投稿に対しリプを返してみた記録です。ある一時期、ひたすらリプを返し続けるということを試しにやってみたことがあり、その一部です。差別的言説が目に触れることになりますのでご注意下さい。上手な説明ではないもの、言葉足らずなものもあるかもしれませんが、もし、「なんだかおかしいと思っていてもうまく説明できない」という方に、説明例の一つとしてご参考になればと思います。】

「フェミニズムは、女性への暴力に抗議し、女性の安全を大事に考えていますよね?「トランス当事者を差別するな」という「正しい思想」で女性の声を黙らせようとするのは「フェミニズムへのバックラッシュ」ではありませんか」 に答えてみる

1 女性の安全と権利のため声を上げることはもちろんフェミニズムですね。ただ「何が女性の安全と権利を脅かすと考えるか」において差別があってはならないですね 私も、なぜそれがトランス差別になるのかすぐには理解できなかったのです。でも差別を内包してしまうフェミニズムは弱体化すると思うから、

2  フェミニズムを大事に思うなら、トランス排除言説を問題視するスタンスになると思う フェミニズムにもいつも克服すべき課題はあって、今日的課題ですね。 フェミニズムとトランス当事者の権利実現は全く矛盾しないし、誰かを差別して誰かの安全を守るなんていうことはやっぱり原理的にもおかしいです

3 日本で女性の権利と安全があまりに軽視され続けてきたことは、トランス排除言説の背景の1つにはあると思っていて、だから差別していいわけでは断じてないですが、やりきれない気持ちです。

4 フェミニズムへのひどいバックラッシュというのは確かにあって、私はそれにずっと問題視して警戒してるし、それを傍観することでバックラッシュに加担してる人達に怒りもあるけれど、しかし、「トランス当事者を差別するな」は「フェミニズムへのバックラッシュ」ではありません。

トランスジェンダーの権利尊重とフェミニズムが矛盾したり緊張関係にあると捉えること自体がおかしいのです。「トランスジェンダー入門」(周司あきら・高井ゆと里 集英社新書)の6章「フェミニズムと男性学」から一部引用します。

「本書をここまで読んできてくださった方には、トランスジェンダーたちが何を求めているか、ある程度お分かりいただけたと思います。これまでの本書の内容を想起しつつ、改めて具体的に挙げてみましょう。
・身体の自律性を持つこと。身体の統合性を侵害されないこと。
・性と生殖について自己決定権を持つこと。
(中略)
・どのような服装や身体の状態であっても、差別を受けないこと。
・女らしさ、男らしさを押し付けられないこと。
(中略)
・自分が生きていける物語を手に入れること。自分たちの正しい姿がメディアで伝えられること。
(中略)
どうでしょう?これらの要求は、フェミニズムが歴史的に求め、また部分的には獲得してきた権利や正義と幅広く重なっています。フェミニズムとトランスジェンダーの政治は、対立するわけでも、バラバラに存在するわけでもなく、密接にかかわっているのです。 (183-184p)

「トランスジェンダー入門」(周司あきら・高井ゆと里 集英社新書)
6章「フェミニズムと男性学」

「女湯に、男性器がある人が入ってきたら、怖くても通報したら『トランスジェンダー女性なのに差別だ』と言われてしまうのでしょうか。通報したら差別になってしまうから怖くても我慢しなくてはいけないのでしょうか」 に答えてみる

男性器がある人が女湯に入ってきたら通報しても問題ないです その人が「自分はトランス女性だ」と述べるのがウソかは事案によるので一般論では言えません。捜査機関が必要なら調べるでしょう。通報者は判断しなくていいというのもこの辺で書いてるので読んで頂けると幸いです

周囲は、トランス女性のふりをしてる男性なのか、トランス女性なのかという性自認を見分ける必要はないです(そもそも普通わからない) 。↓に書いたように性自認を見分けようなどと思わず、不審な行動に気づいたら不審な行動として扱うことで構わないのです。

「通報しても問題ないのか」に対して「問題ない」と答えると、今度は「通報など怖くてできない、実際にはできないのにそれしかないというのか」という質問がくるというループを今まで何度も経験しています。 「通報しても問題ない」というのは「通報さえすれば解決」とイコールでは全くありません 続

通報が解決策のはずないですね。トイレ設置位置を考えるとか、盗撮カメラのチェック強化、パトロール強化、そういうことがトイレでの犯罪防止になるんじゃないかと何度か書きました 「通報しても問題ない」というのは「通報さえすれば解決」とイコールでは全くありません

「女性トイレに男性が入ってて不安だ、と女性が思ったところで、そんな曖昧な感情で通報するなってことですよね?」に答えてみる

「トランスジェンダー女性とシスジェンダー男性をどうやって見分ければいいですか? 」に答えてみる

 こういう「質問」は、何のために「見分ける必要」があると思っているのか、から解きほぐす必要がありますね。

 トランス女性かシス男性かを女性トイレで見分ける必要ないです。どんな性別性自認であれ性犯罪してはいけないわけで、それを疑うような行動をしてる人がいたら性自認を見分けようなどと考えず通報していいからです。確率としては不審者の圧倒的多数はシス男性です。

性別性自認がどうであれ、非難対象は外形に現れる行為ですから、例えばこういう行動に気づいたらおかしいよ、と不審な「行動」の見分け方を教えたらよいのではと思います。「性自認の見分け方」など教える必要はないし非現実的です

トランス当事者は人口の0.5%位という調査があります トランス女性は単純に半分の0.3%位としても、シス男性は人口の約50%なので単純な人口比で見ても不審者事案の大半はシス男性といっておかしくないです。多くのトランス女性はなるべくトラブルになりたくないのです


「何故男性身体のまま女性スペースに入って欲しくないという発言をすると差別者扱いされるのでしょうか」に答えてみる

 こういうのは、トランスジェンダー当事者の日常、実態を理解すれば、出てこない「質問」だということだと思います。トランスジェンダー当事者がどういうことに困難を抱えているかという現実から遊離して、【とにかくどういう状態でも自分が希望する性別のほうのトイレやお風呂を使いたいって言ってる人達】であるかのようなイメージで語る姿勢が、差別だという批判を受けるわけですね。
 上にあげた、「はじめてのトランスジェンダー」など読む人が増えますように。

エマ・ワトソンとJKローリングとの間で起きているらしきトランスジェンダー排除をめぐる議論はどういうことなのか?


 トランスジェンダー排除言説をめぐり大変なことになっているのは日本だけではないというか、むしろ海外の排除言説が日本に入ってきたというところもあるようですね。とはいえ海外の事情はよくわからない・・・なか、「JKローリングはトランスフォビア(嫌悪)だ」とか「いや、そうではないのにトランス差別だとJKローリングを批判しているエマ・ワトソンのほうがおかしい」とかもうわけがわからない、という人のために、私が知っている情報をとりあえずおいておきたいと思います。量は十分ではないかもしれませんが、信頼できる情報源と思います。

そもそもJKローリングは何を言ったのか?

 トランスフォビアだと議論がまきおこった2020年のJKローリングのツイート投稿  

私はハリポタに全然関心がなく、したがってJKローリングのことも全然知らなかったのですが、このツイートの前から、トランス排除的価値観ではないかとウォッチされていたようで、そしてこのツイートがものすごく物議を醸し、ハリポタに関心がない人間にまで聞こえてきました。
 「これがどうしてトランスジェンダー差別といえるのかがわからない」という声もあるわけですが、ある程度の前提知識と文脈の理解があると、これはひどいな、とわかります。これはちょっと、擁護は難しい。
説明は後述。


「‘People who menstruate.’ I’m sure
there used to be a word for those people. Someone help me out. Wumben? Wimpund?
Woomud? 」
「“月経がある人”ね。以前はこの人たちを表す言葉があったと思うんだけど。なんだったっけ、誰か教えてくれない?ウンベン? ウィンパンド? それとも、ウーマッド?」

https://front-row.jp/_ct/17368287/  
FRONTROW 2020/6/9

  JKローリングが引用した元記事は、タイトルが
 「Opinion: Creating a more equal post-COVID-19 world for people who menstruate」 というものでした。
この「 people who menstruate」(月経がある人たち)という表現がキータームですね。なぜこの表現が使われたかというと、

新型コロナウイルスというパンデミックによって得た教訓をもとに、月経にまつわる健康への意識を高め、さまざまな理由により生理用品を入手するのが困難な人々をサポートするシステムを整えるべきだと論じたこの記事では、トランスジェンダー(※1)の男性(生まれ持った体は女性)やノンバイナリー(※2)の人たちも考慮に入れ、「月経がある=必ずしも女性ではない」ということを強調するため、タイトルでも「月経がある人々」という書き方をした

https://front-row.jp/_ct/17368287/  FRONTROW 2020/6/9

 というものでした。

 重要なことですが、別にこれは、「女性」という言葉を使ってきたあらゆる場面で、女性という言葉を「月経がある人」という表現をしようという話ではないわけです。医療、健康に関する情報をなるべくあまねく必要な人に届けようと思うと、今女性として暮らしていなくても子宮がある、月経があるという人にも、子宮があることに由来する必要な情報(たとえば子宮ガン健診だってそうですね)を届けるために、少数者にも配慮した表現をしたということなわけです。
 例えば、男性として暮らしている人には、(実は子宮や卵巣があって「婦人科健診」に行った方が健康管理の観点から望ましくても)実際問題「婦人科健診」には行きづらいだろう、というのは、言われてみればそうだよな、と思います。なので、数として少数派であっても、その少数派もいることを念頭においたインクルーシブな表現を心掛ける という配慮に基づいた試みを肯定的に紹介する記事ですが、これを揶揄的に引用し「女性って言葉があるじゃないの、なんで女性っていわないわけ?」と言わんばかりだったのがJKローリングの投稿だという文脈が大事です。
 マイノリティへの配慮の必要性自体を軽視あるいは否定していると受け取られても仕方ありません。こういう表現をしてマイノリティに配慮することで、なにかマジョリティーに不利益はあるでしょうか。ないですよね。なぜこのような、マイノリティへの配慮の試みを揶揄したのでしょうか。ことは健康に関わる切実な問題です。それを、トランスジェンダーではない人が揶揄するというのは、マイノリティにどう聞こえるか想像してみることが必要ですね。

 文脈が大事なのです。この文脈から切り離して、「女性のことを『月経がある人』『子宮がある人』と呼ぶなんてひどい」みたいな反応することがいかにおかしなことか。

 

エマ・ワトソンやダニエル・ラドクリフらはどのようにエマ・ワトソンを批判したのか?


 JKローリングのスタンスに批判的な態度を示したハリポタ出演俳優らの言動などまとまった記事です 



 

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C H A N C E

日本におけるフェミニズムが第二波的思想から脱却しインターセクショナリティという価値観を手に入れることが出来なかった、というのがもどかしい問題ですよね。 欧米と比較して日本の特性上第三波で最も注目された人種差別や階級の差がほとんどなかった(逆説的に言うと可視化されづらかった)ため第…

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