科博の特別展初のテーマとなる「大量絶滅」
地球上に生命が誕生してから40億年前から現在まで、多くの生命が絶滅することとなった“大量絶滅”は5回起きたとされている。通称「ビッグファイブ」と呼ばれるこれらの大量絶滅においても、一部の生命は生き残り、新たな時代に進化、多様性を得てきた。そんな5回の大量絶滅をテーマとする特別展「大絶滅展 - 生命史のビッグファイブ」が国立科学博物館(科博)にて2025年11月1日より開幕する。
長い歴史を持つ科博の特別展でも大量絶滅は初めてのテーマ。そんな今回は、各種の古生物や火山、古気候・古海洋などを専門とする科博の研究者10名による監修のもと、さまざまな角度から5回の大量絶滅の謎に迫る内容構成となっている。
なぜ大量絶滅は起きたのか、原因から事象まで一気に学べる展示会
約5年にわたって準備が進められてきたという同展の構成は、従来の科博の特別展のような1本道で各章を経ていくというものではなく、イントロダクションを経て出迎えてくれる球形の映像展示「大絶滅スフィア」を起点に、5つの大量絶滅が観測された地質年代区分のエリアに分かれており、基本的には各エリアを終えると大絶滅スフィアに戻ってくるというものとなっており、全部で6つのエピソード(+イントロダクションならびに第2会場)で構成されている。
エピソード1は、約4億4400万年前の「O-S境界」でオルドビス紀とシルル紀の境目に相当。テーマは「海の環境の多様化」となっている。エピソード2は、約3億8000万年前~約3億6000万年前の「F-F境界」で、デボン紀と石炭紀の境界に相当。テーマは「陸上生態系の発展」となっている。エピソード3は約2億5200万年前の「P-T境界」で、ベルム紀と三畳紀前期の境目に相当。テーマは「史上最大の絶滅」となっている。エピソード4は、約2億100万年前の「T-J境界」で、三畳紀後期とジュラ紀の境目に相当。テーマは「恐竜の時代への大変革」となっている。エピソード5は約6600万年前の「K-Pg境界」で、白亜紀と古第三紀の境目に相当。テーマは「中生代の終焉」となっている。そして5回の大量絶滅を経たエピソード6のテーマは「新生代に起きた生物の多様化 ~ビッグファイブ後の世界~」となっている。
エピソード6の注目展示の1つ。世界初公開となるステラーダイカイギュウの世界最古の全身化石(国立科学博物館蔵)。発掘地は東京都狛江市で、全長は約6m。SNSでこの化石の愛称を募集するキャンペーンを実施する予定だという
同展の特徴は、単にそれぞれの時代に生きていた生物の姿を見るだけではなく、各時代の大量絶滅は何が原因で生じたのか、最新の研究に基づくエビデンスを含めた内容になっているということ。研究という点では、今回の展示のために大量絶滅と関連の深いモロッコにて実際に発掘調査を実施。そこで得たオルドビス紀のフェゾウアタ化石群や三葉虫などの採集標本のほか、三畳紀末の絶滅に関わる火山活動の調査結果など、世界初公開となる成果なども発掘時の映像などを交えて見ることもできる。
スペシャルナビゲーターには福山雅治さんを起用
科博特別展おなじみの音声ガイドのナビゲーターには福山雅治さんが起用されている。福山さんは、展覧会のスペシャルナビゲーターでもあり、一部の展示映像にナレーターとして出演もするほか、第2会場では福山さんが世界をめぐって野生動物たちの生態などを取り上げてきたNHKの自然番組「ホットスポット 最後の楽園」にて世界各地に赴いた際に自身で動物たちの姿を撮影した写真27点が展示されている。最新の、2025年12月に前編が、2026年1月に後編が放送予定のNHKスペシャル ホットスポット 最後の楽園 Season4(仮)にて赴いたガラパゴス諸島で撮影した生き物たちの様子は、つい3週間ほど前に赴いた際に撮影したものだという。
なお、第2会場の先は特設ショップとなっており、ここでしか入手できないグッズや、コラボグッズも販売されている。今回のコラボグッズの目玉としては「すみっコぐらし」とのコラボグッズで、アクリルキーホルダーや雑貨、缶バッジなどが用意されているほか、11月下旬以降には「てぬぐい」、12月23日からは「てのりぬいぐるみ」など、時期をずらして販売されるグッズもあるという。また、古代の恐竜や動物ということで、過去にもコラボが行われたこともあるメカ生命体ゾイド(ZOIDS)も12月以降、「ディメパルサー レアボーンVER.2025〔ディメトロドン種〕」と「レドンダガブリゲーター レアボーンVER.2025 〔レドンダサウルス種〕」の2機種が発売される予定でもある。
特別展「大絶滅展 - 生命史のビッグファイブ」の開催概要は以下の通り。
会場:国立科学博物館(東京・上野) 地球館地下1階 特別展示室
会期:2025年11月1日(土)~2026年2月23日(月・祝)
開館時間:9時~17時(入場は16時30分まで)
休館日:月曜日、11月4日、12月28日~1月1日、1月13日、ただし11月3日、12月24日、1月12日、2月16日、2月23日は開館
入場料:一般・大学生2300円、小・中・高校生600円、未就学児は無料(国立科学博物館特別展券売所での当日券の販売のほか、オンライン購入として、公式オンラインサイト、ART PASS、アソビュー!、美術展ナビチケットアプリ、各種プレイガイドにて購入可能。各種プレイガイドでのチケット購入の場合、来場時に購入したコンビニ店頭で発行した紙チケットが必要なことに注意)
会場内は基本的に撮影可能だが、一部写真撮影禁止の展示物ならびに映像がある点に注意。会場内でのフラッシュ撮影、三脚、一脚、自撮り棒の使用および動画撮影は禁止