ボウガン親族4人殺傷事件 被告に『無期懲役』の判決「生涯をかけて犯した罪の重さと向き合わせるのが妥当」神戸地裁
5年前、兵庫県宝塚市で親族4人をボウガンで殺傷した罪に問われた男の裁判員裁判で、神戸地裁は31日、検察の死刑の求刑に対し、男に無期懲役の判決を言い渡しました。
野津英滉被告(28)は2020年、兵庫県宝塚市の住宅で、ボウガンを使って矢を撃ち、祖母、母親、弟の3人を殺害したほか、伯母を殺害しようとして大けがをさせた罪に問われていました。
■家族へ恨み募らせ犯行に 殺傷能力の高さからボウガンで
これまでの裁判で、野津被告は起訴内容を認めたうえで、子どものころから母親からの愛情を受けられず、弟からも暴言を浴びせられるなどしたことで恨みを募らせ、家族4人を殺害して死刑になりたいと望むようになったとみられることなどが明らかになっていました。
また、事件前、ナイフ2本を購入したものの、一度は犯行を断念。その後、殺害に対する抵抗が少なく殺傷能力が高いことなどを理由にボウガンを購入し、試し撃ちを経て犯行に及んだこともわかっています。
■野津被告「早く死刑になりたい」
野津被告は、殺害の動機について「自分が死刑になるためには3人以上を殺さないといけないということを学校で習っていたので3人以上殺した」と話したほか、死亡した3人について「殺されるに値する人物だった」などと述べ、罪の意識について「全くない」などと主張。そのうえで、現在の心境について「早く死刑になりたい」と語りました。
こうした中、弁護側は「事件当時、被告人は心神耗弱だった」などとして減軽を求めていました。
検察側は15日に行われた論告で「合理的な計画のもと犯行が行われていて完全責任能力が認められる」などと死刑を求刑していました。
■神戸地裁“完全責任能力”認定も…「精神疾患は動機の形成に影響」
31日の判決で神戸地裁は、被告が犯行前にクロスボウの使用感を何度も試していたことなどから「犯行の計画性は極めて高い」としました。
また、争点となっていた刑事責任能力について「殺害の順序など一貫して合理的な行動をとっていたことなどから完全責任能力が認められる」と認定しました。
一方で、「被告の精神疾患は動機の形成に影響を与え、犯行は家庭内にとどまり、死刑が真にやむを得ないとは言えない。生涯をかけて自分の犯した罪の重さと向き合わせるのが妥当と判断した」として、野津被告に無期懲役を言い渡しました。