第11回弾丸の軌跡、撃ちおろす形の理由を立証 「陰謀論を意識、でなく…」

阪田隼人 周毅愷

 安倍晋三元首相銃撃事件の第3回公判(奈良地裁)があった30日は、安倍氏の司法解剖を担った医師も出廷し、山上徹也被告(45)が放った弾丸がどのような傷を生じさせたかを説明した。

 証言したのは、奈良県立医大の粕田(かすだ)承吾教授。遺体から死因や病状を特定する法医学者で、これまで死因の鑑定については約1千件の経験があるという。

 粕田教授は裁判員への配慮から白黒にした写真を使いながら、安倍氏の傷について説明した。弾丸が体に入った部分は首付近と左上腕部の2カ所で、ほかに擦り傷もあった。

 首付近から入った弾丸は、右腕の骨にめり込んでいたという。その軌跡が上から撃ちおろす形になっていた理由について、粕田教授は安倍氏が右腕でマイクを持ち上げていたことを踏まえ、被告が横から撃ったとみて「不思議はない」と証言した。

 左上腕部から入った傷は右の肺あたりまで達し、致命傷になったという。弾丸は見つかっていないが、救急対応で血液を吸い出した際に「一緒に吸引されたとしか思いつかない」と説明した。

 今回の事件をめぐっては、傷口の軌跡や、弾丸が一つ見つかっていないことに絡めて「建物の上から別の人物が撃った」「山上被告が撃った証拠はない」との言説もネット上などにある。

 閉廷後、奈良地検幹部は「『陰謀論』を意識したわけではないが、弾丸が見つかっていないことなどに疑問を持つ裁判員もいるかもしれない。疑問点を解消し、立証責任を果たしたかった」と尋問の趣旨を説明した。

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安倍晋三元首相銃撃事件

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