さてと。
『鬼太郎があてもない旅をたのしんでいると、ある浜辺にさしかかったところで』
『お助けー』
『人間には聞こえないがただならぬ叫び声を耳にしたのでそのほうに近づいてみた』
というあまりにも有名な導入で始まる『かまぼこ』。
えー、、かの包丁無宿、12集所収の『苦界放浪』によれば
『帰る所があるのが、旅ならば、帰れねぇ俺は放浪だ。苦界放浪だ』というように『あてのない旅』とはどういうものかと定義しておりますが、鬼太郎のこの『かまぼこ』、今、読み返すと意外にも包丁無宿の定義があてはまらないこともない。
あ、余談でした。で、エピソードの続きです。
先の『お助けー』なる悲鳴は。。。。
『それは一匹のかめが半魚人に食べられようとしているところだった』とのこと。
愛くるしいかめが半魚人に食われようとするところを見かねた鬼太郎は半魚人を押し倒し、かめを救いだすわけです。
だがしかし。
半魚人は、即座に手下の巨大イカを呼び出し、鬼太郎を襲わせます。
『うわっ』とかいって鬼太郎はサクッと巨大イカに食われてしまうわけですが、脳とちゃんちゃんこは消化されず、何とか巨大イカの脳を支配してイカとして生きながらえるというわけです。
で鬼太郎。『おい半魚人、なんとか元通りしてくれ』と交渉。
半魚人、『そうだなぁ、魚を百トンばかりとってもらおうか』
かくして交渉は成立、鬼太郎は魚を百トン獲ることになるわけです。
で、巨大イカの鬼太郎は、『大鯨と戦ったりして』魚を獲り続けますが、半魚人はいっこうに鬼太郎を元の姿に戻そうとはしません。
というのも半魚人、鬼太郎が獲った魚を材料にしてかまぼこを作って売り歩いていたわけです。
しかもそのかまぼこが大評判。
半魚人、そのままの格好でかまぼこを行商しているわけですが、人々はその味を絶賛。
『どうだね、大阪のほうにも出してみんかね、もうかるよ』などと助言まで行う始末です。
いや~、『美味しんぼ』の頭、いいかまぼこがありますぜ、ヒヒヒヒヒ。っとでも教えたくもなりますが。あ、またまた余談。
そして。。。『大阪では味の良いかまぼこなので大評判となった』。
おぉー、『美味しんぼ』の頭、いいかまぼこがありますよー、イヒヒヒヒヒ。何せ食の都大阪でも評判ナンやよってに。っと、また教えたくもなっちゃいますが。あ、またも余談。
一方、鬼太郎は相変わらずイカのまま。魚を獲る毎日。
片や『うわー、うれちい、こんなにたまっちゃったじゃない』とソロバン片手に喜び『お金、ガバショともうけて幸福になろ』とのたまう半魚人。
ところで、この半魚人、誰かににているなぁと昔から思ってたんですが、多分、オウムのあの人になんとなく見た目が似ているかなってさっき思いました。
それと微妙にカマっぽい話し方なんですね。あちゃーまた余談。
さすがにイカの鬼太郎もイカりまして、『いったいいつまでイカにしておくんだ』と半魚人に詰め寄ります。
詰め寄られた半魚人。『じゃぁ、あの、人のいかない、あの岬で待っていてくれ』と策謀が煤けて見える約束をして急場をしのぎます。
『人のいかない、あの岬』。
これほどまでに謀略の匂いがプンプンと香る言葉に、疑うことを知らない正義の人(鬼太郎)は約束の場所に出向き、半魚人を待ちます。
遅れて現れた半魚人。
『おい、これだ』、『これ、たべるんだ』。
鬼太郎イカ『ひもがついてるじゃないか』
半魚人『だまってたべればもとにかえるんだ』
鬼太郎イカ『もしゃもしゃ』
半魚人『おっと、そのひものみこんじゃだめだ』、『このひもが秘伝なんだから』。。。
で、半魚人、紐に火をつけ。。。
『ボッガーン』。。。『ははは』
半魚人『はははは、ダイナマイトたべさせて火をつければだれだって爆発するよこれでまたかまぼこの材料ができた』
鬼太郎、『大鯨』と戦ったりして頑張ったんですが、いいように殺られてしまいました。
このエピソードはここまで、といいたいところですがここからがこのエピソードのヤマ。
『ほいじゃ言うといたるがの。幽霊族はイモかもしれんが、いっぺんも旅の風下に立ったことはないんで。半魚人のもんは魚一匹通せんけえ、おどれらよう覚えとれや』と鬼太郎が断末魔で叫んだかはわかりませんが、ここからが鬼太郎の反撃の狼煙。
えっと少し長くなりましたが、イカとなった鬼太郎は半魚人にだまされ、爆破され粉々になります。で、半魚人はその鬼太郎の肉塊をもかまぼこの原料にしてしまいます。
となれば、霊力をもったちゃんちゃんこを持つ鬼太郎の事。
かまぼこにされてもなお、生き続けているわけでですな。
そして。。。。
『ある日、砂かけは街を歩きたい気持ちになった』。。。。
ま、砂かけのお婆もそんな気分になることもあるわけですね。私もそういう時がありますし。
しかしその理由は、、、
『鬼太郎はイカからかまぼこにされたのだが変形はしたけれど、まだ生命力はたもっていたので霊力で砂かけを呼んだのだ』
ということでした。鬼太郎の執念恐るべし。
で、目玉親父の『こりゃぁ天下の一大事、みんなでかまぼこを買い占めろ』との号令で鬼太郎縁の妖怪(ねずみ含む)が鬼太郎かまぼこを買い占めます。
鬼太郎かまぼこは、ちゃんちゃんこの霊力が宿っているので、黄色と黒のストライプが浮き出ており、妖怪でなくてもわかるような気もしますが、そこんとこはスルーします。
そして『このかまぼこをもって恐山の地下にある妖怪再生病院に行くんだ』。。。
そして三ヶ月。。。。
半魚人は商いに成功し邸宅を構えるほどになっていました。
しかも背広姿。
しかもメイドさん雇い入れ。
メイドさんは三ヶ月の約束だったのに代わりが見つからず、辞めることができません。
そんなところに、いきなりメイドさんになりたいと申す女子が現れます。
思いっきり鬼太郎が女装しているんですけども。
その女子、作る蜜豆はとっても美味、しかも良く気が付くということで半魚人はすっかり気に入り雇い入れます。
さらにその女子、半魚人が心に秘めていた人間になりたいとの願望を見抜いてか『そんなに人間生活にあこがれていらっしゃるなら、いっそ人間になられたら』、『妖怪から人間になることだって簡単なことよ』といって『妖怪病院』に誘い込み半魚人を人間にしてしまいます。
そうして半魚人は人間になった。
ところが。。。『人間になったとたん妖怪ほどは楽しくはない。働かねばならず、税金は納めねばならず、そのうえに面倒くさいことだらけ。そのうえに老いるし死もある。びっくりした半魚人は妖怪病院にいってみるが中はもぬけのから』
半魚人『いったいどうちてくれるんだ』
鬼太郎(まだ女装していたときのリボンが髪に残ったまま)『ははは、妖怪病院なんて真っ赤なウソ、オイラの仲間で作ってたんだ』
半魚人『なんでもいい、早く妖怪に戻してくれ』
鬼太郎『だめだ、お前は人間になって永遠に苦しむがいい』
半魚人『そんなばかな』
突然現れた半魚人の所にいたメイドさん『鬼太郎さん、ありがとう』
鬼太郎『うん、いっしょにかえりましょう』
~完~
どうだったでしょうか。
なんか、最後あたりでメイドさんが鬼太郎に救われたような展開を一コマで表現しているわけですが、もとよりこのエピソード。
きっかけは、鬼太郎が半魚人がかめを食うところを邪魔したことによるものです。
半魚人というのは、半分魚で半分人。つまり海における人間のようなもの。陸地で人間が鶏や豚、さらには牛を食うように海辺で半魚人がかめを食うことに違いはないかと思うわけですが。
それは自然の摂理。
鬼太郎が一匹のかめを救ったとて、それは鬼太郎の自己満足で、現実に『あてのない旅』で赴いていない土地では、半魚人が当り前のごとくかめを食っているでしょう。
それ以上に酷だなぁと思うのは、半魚人に対する仕打。あの『百々爺』でさえ減刑してあげる鬼太郎がですよ、あの最後のセリフですよ。
なぜソコまで。。。
ま、こき使われたあげく、かまぼこにされたわけですからね。
無理もないといったところでしょうか。。。
することもなく昼間っから酒を喰らいながら少年野球を見る親爺。
野次がうるさいんだよね。。。
あ、写真と文章に関係があるわけではありません。
というより今日の投稿は長文に過ぎる。。。