大学生の「自由の刑」と、会社員の「不自由の刑」

佐藤ひろおです。会社を休んで早稲田の大学院生をしています。
三国志の研究を学んでいます。

ぼくは会社員歴15年の、大学院 修士課程1年生です。
今回は、大学生(大学院生)と、会社員の生活の対比です。
結論をいえば、大学生(大学院生)は、「自由の刑」に処せられているなあと思います。サルトルの言葉らしいですが、もとの文脈は脇に置きましょう。サルトルの文脈で思い出したわけではないです。

かつて、ストレートな大学生だったとき(20歳前後)は、中学・高校と大学の対比はできても、大学と会社の対比はできませんでした。なぜなら、会社に勤めたことがなかったから。
会社に勤め始めると、「もはや大学生ではない」というわけで、大学と会社を比べる意味がありません。大学生と比べたところで、メンタルが不幸になるだけ。自由を喪失したという現実を見たくない。

人生2周目に入り、アラフォーで大学院に入学して気づくのは、
「会社員は自由度・裁量権がない分だけ、人生に対する責任がなくて、精神的にかなりラクだった」ということ。
会社員のほうが、仕事の責任・プレッシャーは大きい。それは当たり前かも知れない。しかし、「いま時間と労力を割いているこのことに、果たして意味があるのか?」「つぎに何をやるのが自分にとってベストか」を問いかけなくてもよかった。
むしろ、そういう本質的な問いを立てたら、目先のパフォーマンスが落ちるので、そんなことを考えているやつはダメなやつ。という世界観だ。

いえいえ分かります。会社を辞めず、会社のメンバーであり続け、日々の文句を垂れながら仕事に忙殺されることも、当人の選択の結果だろうと。近代人としての権利は保障されているのだから、毎日「退職するチャンス」はあるでしょうと。
そうなんですけど、それを忘れさせるぐらい、会社員は、仕事量においても、経済的な枠組み(定期収入、福利厚生、年金や社会保険料)においても、ハメこまれている。「毎日「退職するチャンス」がある」というのは、理論上はそうかも知れないが、心理的な現実ではない。

大学生・大学院生は、会社員よりも不安定な立場だ。仕事量がフルで詰め込まれているわけではない。経済的な仕組みに、組み込まれているわけではないから、自問自答が絶えない。
単位取得とか教授のお手伝いとかで、仕事量がフルで詰め込まれていたとしても、「法律に守られながら、月ごとに必ず数十万円が振り込まれる」わけではないから、より自問自答が深まるばかりだ。会社員のような安息の思考停止には、逃がしてくれない。

どの単位を取るのか、落とすのか、単位取得のペースはどうするのか。どのチャンスを取りにいき(どの先生・先輩や後輩・サークルとの関係性を強化し、あるいは切り捨てて)、どのコストを削るか(卒業に必要な単位をラクして揃えるか)。
このレベルの「経営判断」って、会社員では、なかなかさせてもらえない。伝統的な会社でイメージされる、「40代・課長」でも、大学生に求められる性質の経営判断を任されているひとは、ほぼいないのではないか。

大学生は、自分1人で数百万円の規模。会社の責任者は、数十人から数万人を巻き込んで数億円の規模の判断を日々やる。サイズの違いはあるが。

大学生(大学院生)は自由すぎる。経済環境や教育制度としてグラついており、過剰な判断を学生に求めている。それと同時に、日本の伝統的な会社では、社員の思考力を奪い過ぎている。
おそらく、両方なんだと思います。
大学生は、何でもできちゃうけれど、何をしたらよいか分からず、何もできずに立ちすくむ。会社員は、何もできないから、ゾンビになる。「中和しろ、平均を取れ」なんて言えませんけど、どちらも生きづらい。

「以上の現状認識を踏まえて、社会を変革し……!!」
という方向に、ぼくの気持ちは向かないです。既存の環境のなかで、自分の人生の時間や所属を、適宜ふり分けるのがいいのかなと思ってます。

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コメント

1
きょう
きょう

社会人になっても、思考停止も求められますが、すくなくとも自分の生活には思考は必ず必要になると思います。その一方で、産学連携とはいっても、どっちもの立場が理解できていないと難しいところはあると思います。振り分けられた後に出来上がったものの中で、新しい視点がみえてくるといいですね。

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大学生の「自由の刑」と、会社員の「不自由の刑」|佐藤大朗(ひろお)|三国志研究家
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