goo blog サービス終了のお知らせ 

から揚げが好きだ。

映画とサウナ。

A GHOST STORY / ア・ゴースト・ストーリー 【感想】

2018-12-02 08:00:00 | 映画


死者の視点から描いた現世の世界。幽霊は誕生して死す。愛とホラーとファンタジーと。

公開3週目の終了間際で鑑賞。間に合って良かった。
もっと奇抜な物語を想像していたが、死という現象に真正面から対峙した映画だった。

体温、感触、匂い。ベッドで密着する男女のカップル。心身ともに依存関係にあった愛する人が、突然、死によって消える。残された人間の、悲しみではなく喪失として受け止める描写に嘘がない。亡くなった男は俗にいう"幽霊"として現世に留まる。霊安室で覆われたシーツをそのままかぶった姿で映る。目に見えぬ魂を視覚化するためだ。幽霊となった男は、残されたパートナーの女子の傍らでずっと見守る。日本的にいえば怨念が残り、成仏ができない状態だ。ここまではセオリー通り。

異変が起きるのは、残されたパートナーがかつての愛の巣を離れてからだ。幽霊は彼女についていくことなく、その家に留まるのだ。幽霊としての"生還"する引き換えに、自己や記憶が失われているらしい。わずかに残るパートナーへの愛は、その場所への執着に変わったのか。幽霊の執着は、その場所に新たに住み着く住人を邪魔者として排斥しようとする。幼い子どもを育て、移民として苦労をしているメキシコ人の母子家庭でも容赦はない。同情といった人間的心理は幽霊たちは持ち合わせない。時間の概念も大きく異なるようで、ほんの一瞬で何十年という先の未来に変わり、ほんの一瞬ではるか昔にタイムスリップする。場所は1つの地点で変わらない。幽霊とは時間を永久的に彷徨う旅行者といえるかもしれない。

では、その一生に終わりはあるのか。場所への執着と共に、唯一残されていたかすかな記憶。果たせることなく死んだ隣人の幽霊とは異なり、主人公の愛の強さゆえの変異と思えた。想いの強さで寿命が変わるのかも。

カテゴライズするのが本当に難しい映画だ。確かなのは、死後の世界について1つの仮説を提示した映画ということ。その新たな価値観と壮大なテーマを見事に映像化した1本。但し、答え合わせは永遠に叶わない。自分が死んで幽霊として誕生したなら、時間よりも自由に動きまわれる空間的自由が欲しい。

【70点】

最新の画像もっと見る