ゲマトリア所属生徒『西条レイナ』   作:ガガミラノ

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VS.ヤンキーメイド

 

 

 

''レイナ!?''

 

「ふう、あー……やっぱり髪の毛が変になるから普段使いは無しね」

 

 

窓から突如現れた彼女はジェットパックを床に降ろし、片手で銃を握っている。

 

 

「ど、どうしてここに!?」

 

「エンジニア部のジェットパックをテストしてたら貴方達が襲われてたから来たわ」

 

 

ミドリの質問にそう答えて、平然とした表情で現れた彼女はやはりどこか不思議だ。

でも、それと同時に頼り甲斐がある事を認識した私は彼女に期待を寄せていた。

 

 

「……先生、ボディーガードはもう必要ないわよね?」

 

''うん、大丈夫だよ''

 

 

彼女はそれを聞くとくすっと笑う。

それを見たネルはレイナに銃を向け、問う。

 

 

「……あんたが先生のボディーガードか?」

 

「あら、私にもちゃんと名前があるのよ?」

 

「ちびっ子メイドさん」

 

「あぁ!?」

 

「けけっ」

 

 

ニヤニヤと笑うレイナに顔を真っ赤にさせたネルはアリスの方を向いて叫んだ。

 

 

「おい!そこのチビ!こいつをとっちめたら戦ってやるからちょっと待ってろ!」

 

「は、はい……」

 

 

困惑した表情で頷くアリス。

 

 

「行くぞっ、白髪野郎!」

 

 

飛び出したネルがサブマシンガンをレイナに向け発砲するもレイナは弾丸の雨を簡単にすらりすらりと避ける。

 

 

(二丁サブマシンガン、インファイトスタイル(至近距離戦型)、スピードもパワーも侮れない……いや、あの身体でインファイトスタイルという事はタフさもあるかもしれない)

 

 

「逃げるだけか!?」

 

(速い!)

 

 

レイナが避けている隙にネルはあっという間に彼女の目の前に距離を詰め、顔に銃口を向けた時。

 

 

「邪魔っ!」

 

 

至近距離にいるネルに対し鮮やかな飛び蹴りをして距離を取る。

レイナの蹴りを喰らい、吹っ飛ばされたネルはそのまま壁を使い両足で受身を取り、立ち上がった。

 

 

「ちぃ……」

 

 

被弾した事に苛ついたネルはレイナの事を睨みつつ、弾倉をリロードする。

 

 

(インファイトは私の間合いじゃない、距離を取って戦うべきね)

 

 

レイナはネルに対し慎重に距離を取りながらネルを睨む。

 

 

「まだまだ行くぞッ!」

 

 

ネルは思いっ切り地面を蹴り上げてレイナの方へ勢いよくジャンプし、自分の得意な至近距離戦を挑もうとするも━━━

 

 

「そう何度も……やらせないわよ!」

 

 

ジャンプしたネルを的確に捉えたレイナは両手でリボルバーをネルに向け、三発発砲した。

 

 

「ぐっ!?」

 

 

弾丸を食らったネルはそのまま撃ち落とされ、地面に叩きつけられる……がすぐに立ち上がりレイナの事をまた睨んだ。

 

 

(っ、クソ痛え……ホローポイントか?)

 

(.50AE弾、流石の威力ね)

 

 

ネルが体勢を立て直そうとした時、レイナはネルに対し間合いを詰め始めた!

 

 

「次はこっちの番」

 

(至近距離戦を自ら挑むつもりか!?)

 

 

自殺行為だ、リボルバーとサブマシンガンでは手数が違いすぎる!

間合いを詰めるレイナに対して迎え撃とうとネルはサブマシンガンを乱射するもレイナはまたひょいひょいと避ける。

 

 

「戦い方を間違えたな!」

 

「計算の内よ」

 

 

そのままネルに向かって走ったレイナは走りながらネルに対し二発撃ち込む。

しかしネルは横にステップをしてレイナの撃った弾丸を避けてみせた。

 

 

(スピードは互角か)

 

 

引き続きネルに対し二発撃ち込み、また間合いを詰めたレイナは着実にネルに迫っていた。

 

 

(何を考えてやがる……?)

 

 

何故か執拗に間合いを詰めるレイナを不気味と思ったネルは一度後ろに転がり二発の弾丸を避け、向かってくるレイナを迎え撃とうとした時━━━レイナはそこにはいなかった。

 

 

(何処だ!?)

 

 

ネルがキョロキョロと周りを見ていたその時、カタンと右から音がした……しかしそこにもレイナはいなかった。

 

 

「上か!」

 

 

転がった隙にジャンプしたと考えたネルはサブマシンガンを乱射するも━━━

 

 

(いねぇ!?)

 

 

しかしネルが撃ったのはレイナではなく、天井にあったスプリンクラーだった!

ネルが発砲した9mm弾はスプリンクラーのトリガーを破壊し、この空間全体にスプリンクラーの水がばら撒かれる。

 

 

「っ!」

 

 

ネルの頭上に水が滝のように流れ落ち、視界と思考が強制的にリセットされた。

 

 

「水!?」

 

「うわああああっ!?ミドリ、ゲームガールアドバイスSP大丈夫!?」

 

「大丈夫……って、心配するのそっち!?」

 

「ちぃ……アイツは何処だ━━━」

 

 

ネルが水によって視界を遮られている中、レイナはネルの背後を正確に狙っていた!

 

 

バン、バン、バン!

 

 

「ッ!?」

 

 

銃声が三発響いたと同時に、スプリンクラーは停止する。

ネルが背後を見るとびしょ濡れのレイナがそこにいた。

 

 

「てめえ……小癪な真似するじゃねえか」

 

「まだ立てるの?」

 

「当たり前だ!!」

 

 

ネルは既に何発も食らっているがケロッとしている。

体勢を立て直したネルはそのまま片足を踏み込み……

 

 

「こっからが本番……だッ!!」

 

 

レイナの懐へ即座に潜り込んだ!

 

 

(さっきよりも速━━━)

 

「オラオラオラァッッ!」

 

 

そのままサブマシンガンをレイナの腹部に向けゼロ距離射撃をして━━━

 

 

「ぶっ飛べッ!」

 

 

先程レイナがやったように、ネルはレイナの横腹に対し勢い良く回し蹴りをし、そのままレイナは回し蹴りをモロに食らって壁に激突、床に叩きつけられてしまう。

壁にめり込む程の威力がある蹴りを食らい、レイナは狼狽えるも立ち上がってネルを睨みつけた。

 

 

「っ……ったいわね」

 

「降参か!?」

 

「馬鹿にしないで……!」

 

 

フラフラと片手でリボルバーを持ち、ネルを睨みつけるレイナ。

 

 

(私はアイツみたいにタフさがある訳じゃない……ただスピードはこっちの方が上……!)

 

(パワーは互角、ただこのまま長期戦になれば苦戦は必至)

 

(正直舐めてた、油断大敵ね)

 

 

(アイツ、アタシがあんなに鉛弾ブチ込んだのにまだ戦えるのか……)

 

(こっちの方がタフだがスピードは向こうの方が上みてえだな)

 

(軽はずみに至近距離に走ると、さっきみてえに返り討ちに遭うだけだし……)

 

 

「……来ないの?」

 

「はっ、そっちが来ても良いんだぜ?」

 

「分かってるくせに」

 

 

睨み合いが続く中、レイナは━━━

 

 

「……へっくち!」

 

 

と、大きなくしゃみをした。

 

 

「へっくち!………………さむ……」

 

 

突如、震え始めるレイナ。

そういえばスプリンクラーの水はレイナにも思い切りかかっている。

 

ガタガタと震え出したレイナは鼻水まで出てき、顔を少し紅くしていた。

 

 

「…………風邪か?」

 

「いや、全然……」

 

「…………鼻水出てんぞ」

 

 

顔を真っ赤にしつつも銃を握りしめている彼女にネルは呆れつつ心配していた。

 

 

「あははっ!レイナちゃん風邪引いちゃった?」

 

「ち、ちが……」

 

 

と、恥ずかしさから否定するレイナの傍に私は近寄り額に手を添えた。

 

額からはじんわりと熱を帯びており、高熱を出している事が分かる。

 

 

''…………熱が出てるね''

 

「触んないでよ!」

 

 

と、私の手を振り払う彼女。

 

そういえば彼女は初めてシャーレに来た時も雨でびしょ濡れになっていた。

そう考えると、今回のスプリンクラーが決め手となったのだろうか。

 

 

「レイナ!熱が出た時はヒーリングのPSIやかぜぐすりを使うと効くそうですよ!」

 

「私はヒーリングの超能力なんて持ってないわよ……」

 

「…………ちっ、先生、そいつを保健室に連れてってやれ」

 

 

舌打ちしつつも、ため息を吐きながらネルはレイナの身を案じてそう言った。

 

私は魘っているレイナを背負い、苦笑いしつつもネル達の方を向いた。

 

 

''…………ちょっと、席を外すね?''

 

 

 

━━━━━

 

 

 

さて、その後……

私は一旦レイナを保健室にまで運び、「安静にして」とだけ言い残し、アリス達のいる方に戻るとアリスとネルとで戦いが行われており……結果は損傷を受けたアリスが撤退する事になった。

 

そして、保健室にて……

 

 

「けほっ」

 

「レイナさん、大丈夫……?」

 

「ん……」

 

 

冷えピタを貼ってマスクをして熱で顔が真っ赤になっている彼女。

しかし、そんな体調不良の中彼女は手を握りしめて険しい表情をしていた。

 

 

「あんのチビメイド……いつかケリをつけてやる……」

 

「ひぃっ!?」

 

「……?」

 

 

と、レイナが『メイド』と言った瞬間アリスが酷く怯えて震え始めた。

 

 

「あ、アリスちゃんアレからすっかりメイド恐怖症になっちゃったみたいで……」

 

「ああ、結構ボロボロになってたものね」

 

「レイナさんは凄いですね、あのネル先輩と互角の戦いでしたし……」

 

「私は……けほっ、あのタイミングで風邪を引いてなかったら絶対に勝ってたわ……!」

 

「そうなんですか?」

 

「ええ、絶対にいつかケリをつけて……けほっ……う゛っ……頭痛い……」

 

 

と、席をして唸り始める彼女に私はある事を提案した。

 

 

''一度シャーレに帰って病院に行こうか''

 

「病院?」

 

''うん''

 

「拒否します」

 

''ええっ''

 

 

布団にばふん、と潜り込む彼女に私は困惑していると彼女は顔だけ出して睨みつけた。

 

 

「そもそもシャーレまでどうやって連れていくの?」

 

''おんぶ!''

 

「ぶっ殺すわよ、それにこんな状態の私を背負ったら余計に風邪が悪化しそうだし……」

 

 

とは言ってもこのままミレニアムの保健室でお世話になる訳にもいかない。、

そう悩んでいると誰かが保健室のドアをノックして入る。

 

 

「やあ、先生、レイナさん」

 

 

ノックをしたのはエンジニア部のウタハだった。

 

 

「あのジェットパックならセミナーが回収しちゃったわよ」

 

「ああ、それについては回収済みだよ、詳しいデータが取れたおかげで制作も捗りそうだ、ありがとう」

 

 

ジェットパック……レイナがあの空間に来た時に着けていたジェットパックだろうか。

アレは凄かったなあ、人間としてのロマンが燻られる何かがあった。

 

 

「でも戦闘で使うのはハッキリ言って無理よ?」

 

「そこを何とかするのがマイスターさ、それより今熱を出しているんだってね?」

 

「そうだけど……」

 

「良かったら高速で飛べる雷ちゃんに乗って━━━「先生、背負って」

 

 

そうウタハが話していた途中で私に嫌そうな表情を向けながら提案するレイナ。

 

私はサムズアップをして微笑みながら言った。

 

 

''任せて!''

 




Vs.美甘ネル
窓が割れる、破片が飛ぶ、火の粉が舞う、灰の臭いが漂う。
二丁のサブマシンガンを持ったスカジャンチビメイドは怖い顔で私の事を睨んでいる、小癪な奴だ!
どうやらミレニアムでもトップレベルの実力者らしいが関係ない、ズタズタにしてみせる!

……そういえば、少し身体が熱いな、ジェットパックの熱だろうか。

レイナに何を食べさせる?

  • 甘酒
  • 闇鍋
  • オレンジジャムのっけたトースト
  • パンちゃん
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