パンパカパーン!レイナが仲間になりました!
まず、彼女は仕事が出来る人間だった。
というのも単純に彼女は仕事が早く、的確な人間だったのだ。
「終わったわ」
''早いね''
様子を見に来たリンちゃんは彼女を連邦生徒会に欲しいと言ってたなぁ。
「レイナさん、凄く仕事が早いですね」
「そう?」
「ええ、連邦生徒会に欲しいくらいです」
実際、彼女が来てくれたおかげで仕事の速さは以前とは比べ物にならないほど速くなった。
だけど、彼女はなんだか退屈そうな顔をしていた。
「先生」
''どうしたの?''
「…………暇」
''うーーーん……''
それと、彼女についてもう一つ困った事が。
''おはよう……レイナ''
「…………あ、おはよう」
''レイナは早起きだね……昨日私の方が寝るの早かったのに……''
「……?私、寝てないわよ」
''え?''
「私、一昨日から寝てないけど」
''…………今すぐ寝ようか''
「いや、あと三日は大丈夫」
''寝よう?''
「いや、別に眠くないし……」
''ダメだよ、しっかり休まないと''
「あ、この書類のこの部分間違えてるから直した方がいいわよ」
''えっと''
「あと今日の昼からの予定についてだけど」
''あの……''
彼女はあまり眠らない。
今のところそれで何か支障は起きてはいないが、子供なのにあまり眠らないのは良くない事だ。
私も徹夜はたまにするが、育ち盛りの生徒にそんな事をして欲しくない。
……まあ、全て私がもっと仕事が出来れば解決する話なのだが。
とりあえず、私が彼女にさせたいのは書類仕事では無く人と関わる事だ。
以前シロコからモモトークでレイナと偶発的に出会ったと聞いたが、逆に言えばレイナが他の生徒と話したのはそれくらいだろう(あとはリンちゃんくらいだ)
一方、ミレニアムでは「鏡」というものを奪還しようとヴェリタスとゲーム開発部、エンジニア部で色々と画策している頃だった。
この作戦は三つの部が協力して鏡を奪還する凄まじい作戦になっており、私はこの作戦にレイナを入れる事で他者との関わりを増やそうと考えた。
''ミレニアムで鏡っていうのを取り返そうとヴェリタスとゲーム開発部が躍起になっていてね''
「それを阻止する、と」
''いや、レイナにも奪還するのを手伝って貰おうかなって''
「そっち側だったか……」
レイナを鏡奪還作戦に誘うと彼女は二つ返事で了承してくれた。
…………そして、作戦開始の前日。
「……あ、先生!」
''おはよう、モモイ、ミドリ''
ゲーム開発部の部室に入ると、パソコンでシナリオを書いているモモイとイラストを描いているミドリがいた。
「おはようございます、先生……あれ、その方は……」
''この前、シャーレに入ってくれた子だよ''
「はじめまして」
そう、彼女はスカートの裾を持って丁寧にお辞儀をする……所謂カーテシーを二人にした。
「うわぁ、すごく上品な人が来ちゃったよ、ミドリ」
「お姉ちゃん、失礼だよ……」
二人がこそこそと話していると、モモイは立ち上がって元気満々に挨拶をする。
「はじめまして!私は才羽モモイ!ゲーム開発部のシナリオ担当をやってるよ!」
「えっと、才羽ミドリです、ゲーム開発部のイラストレーターをしています、よろしくお願いします」
元気よく挨拶するモモイととりあえず丁寧に挨拶するミドリを見てレイナは微笑んだ。
「西条レイナです、よろしく」
(……あれ?西条レイナってどこかで聞いたような……)
「部員は二人だけなの?」
「部長のユズと最近入ってきたアリスって子がいるんだけど、ユズは今寝ててアリスは妖怪MAXを買いに行ってくれてるんだ」
「……へえ、そうなんだ」
「ところで作戦決行前日なのにゲームの開発してて大丈夫なのかしら」
レイナの言葉を聞いた瞬間、二人は固まる。
「…………え゛」
「な、なんで作戦の事レイナさんが知ってるんですか!?」
''あ、私の方から説明しておいたよ''
と、慌てる二人に注釈を入れると二人は落ち着きを取り戻す。
「びっくりしたぁ……」
「え、えっと……レイナさんも作戦に協力してくれるの?」
「先生にそう頼まれたから、やらせてもらう予定だけど」
そうレイナが言うと二人は私の方に詰め寄る。
「先生!こんな上品な人を戦いに巻き込んだりして大丈夫なの!?」
「そうですよ!これは凄く危険な作戦なんですよ!?」
そんな二人を見て呆れながらため息を吐く彼女、私は二人を「まあまあ、落ち着いて……」と宥める事しか出来なかった。
「なんか、心配されるのって新鮮ね」
レイナはまたため息を吐いて、言った。
「……射撃訓練場は何処?」
「しゃ、射撃訓練場なら一階にあるけど……」
「連れてって」
「えっ」
「私がその危険な作戦とやらに協力する力がある事を証明する」
━━━━━
「ここが射撃訓練場だけど……」
二人が射撃訓練場にまでレイナを連れて行くと、彼女は遠くにある的を指さす。
「あの的、多分250mはあるわよね」
「ああ、アレ?スナイパーの照準合わせの……」
ズダン。
「…………うわあ、先生凄い人連れてきたね……」
「ピストルでスナイパー用の的を真ん中に当てるって多分C&Cの人とかじゃないと出来ないよね……」
「本当にハンドガンですよね……?その銃」
「少しだけ弄った」
「本当に少しだけ????」
250m先の的の真ん中にはレイナが撃った銃弾が着弾しており、その狙いの正確さが伺える。
「作戦に入ってもいい?」
「うん!レイナさんみたいに強い人が来てくれると安心だよ!」
「……ふふっ」
モモイから褒められたレイナはニコリと一瞬だけ笑う。
その時、後ろの廊下から聞き馴染みのある声が聞こえた。
「あ、モモイ!ミドリ!」
アリスがこちらに気づき、大きなレジ袋を持って近づいて来る。
''おはよう、アリス''
「おはようございます!先生!……えっと、隣にいる人は……」
「…………貴方が、アリス?」
「はい!ゲーム開発部所属の天童アリスです!」
暫くレイナはアリスを見つめて……微笑む。
「西条レイナよ、よろしく」
「よろしくお願いします!レイナ!」
(言語機能は完璧、ただ……)
(その大きすぎる銃を普段から持っているのは人間離れしている証拠ね)
━━━━━
「うん、いいよ!人手はいくらあっても困らないしね!」
ヴェリタスの部室に着き、レイナを作戦に入れて欲しいとお願いをするとヴェリタスの子達から快諾してもらった。
「そういえばレイナさんはいいの?結構危険な作戦になるけど……」
「大丈夫、最近ずーーーっと書類仕事ばっかりで退屈してたし」
ニコリと笑うレイナにヴェリタスの子達も安心したようだ。
「よし、それじゃあレイナさんに作戦の概要を話すね」
「私達が欲しいのはセミナーの押収室に保管されている鏡っていうプログラム」
「鏡は暗号化されたシステムを開くのに最適なツール、そしてその鏡を取り返すには生徒会とミレニアムが誇る武力集団、C&Cを突破する必要があるの」
「となると大規模に強行突破するしかない、って訳ね」
「エンジニア部も協力してくれるらしいし、決して不可能では無い……けど、かなり危険な作戦になると思う」
「……私は何をすればいい?」
「レイナさんは……そうだね、先生を守ってもらおうかな」
「先生を?」
「うん、先生は私達の司令塔で作戦においてかなり重要な存在になると思うから、それの援護」
その言葉を聞くと、彼女はきょとんとした顔でハレにもう一度問う。
「司令塔……?先生が指揮するの?」
「知らないの?先生の指揮はすっっっごいんだからね!」
「ロボットの大群がいても先生の指揮があれば何とかなるしね」
モモイとミドリがそう私の指揮について補足するとレイナにちら、と見られけらけらと笑われる。
「へえ、いつも書類仕事で誤字ばっかりしてるから意外ね」
''これでも皆を守る為に頑張ってるんだよ!?''
そう言うとレイナは「分かった分かった」と、笑いながら言い、冷静な表情に戻ってハレ達に聞いた。
「……それじゃ、作戦についてもっと詳しく教えてもらえる?」
「パンパカパーン!レイナが仲間になりました!」
「パンパカ……?」
「レイナの役職はなんですか?」
「役職……?」
「アリスは勇者です!」
「…………?????」
レイナに何を食べさせる?
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甘酒
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闇鍋
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オレンジジャムのっけたトースト
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パンちゃん