西武の育成ドラフト4位、川和(神奈川)の浜岡蒼太投手(18)が30日、横浜市内の同校で指名あいさつを受けた。
「指名されたことにまず感謝です」とし「世界一の投手を目指して、サイ・ヤング賞を取れる投手に。完成度の高い、スキのない投手になりたいと思います」と夢を口にした。
大志は“口だけ”じゃない。もう動いている。
ドラフト指名後の2~3日後、育成6位指名の上智大・正木悠馬投手(22)のSNSにダイレクトメッセージを送った。
「いろいろ考えて野球をなされていることは記事で見て知っていたので、最初から1日でもムダにしないでいろんな話を聞けたらなと思ったので」
同期入団予定の高校生選手たちにも、自分から接点を持ちに動いた。1年半前には慶大・広池浩成投手(3年)にもSNSで質問。
「自分にはない理論をSNSで発信したので、質問したいなと思ってコメント欄で質問したら、メッセージをいただいて」
実は同投手の父は西武広池浩司球団本部長(52)。今回の指名はたまたまだったとはいえ、そうやって結びつく縁もある。
神奈川県内や関東圏内ではドラフト候補左腕として、2年秋には一定の注目を集めていた。それでも西武の入団テストを受けた。
「今しないであとから後悔するのは、選択の間違いかなと思うので。受けずに指名漏れというのが、自分の場合は後悔すると思ったので」
過去の例から判断すれば、入団テストに合格した場合はドラフト会議では育成指名が濃厚だ。支配下指名で呼ばれる確率は下がる。しかし。
「自分は育成指名でも行くつもりだったので。逆に入団テストで圧倒的なピッチングをして支配下(指名)というのも0ではないと思うので。高校に入った時はドラフト1位目指してやってたので、そこは最後の最後までぶれずにやれたと思います」
そうやって受験した入団テストで高い能力を示した。秋元副本部長は「変化球4種類の1つ1つの性質がプロ(の平均)レベルを超えていたという評価がありました」と明かす。
「迷う前に行動する」
そう思って能動的に、自分で考えて高校3年間を過ごしてきた。
横浜市北部を代表する県立の進学校、川和高校。校風は昔から変わらない。
22年前にもドラフト候補がいた。浜岡と同じ左腕、加藤幹典氏(40)だ。広島から下位指名を打診されたが「自分はケガに苦しみました。大学でピーキング理論などを学んで今後に生かしたいです」と慶大のAO入試に挑戦した。
慶大進学後、4年後にヤクルトにドラフト1位で入団。プロ生活は短かったが、今は自身が中心となって立ち上げたBCリーグ山梨の球団代表を務めるなど、自分で道を切り開いた。
千葉ロッテマリーンズのスタッフを務める中溝雄也さん(36)も川和出身。本業でチームを献身的に支えながら、SNSでは「なかみぞさん」として人気者。野球界を盛り上げようと自分の判断で動いている。
浜岡も先輩たちと同じように学んできた。野球にとどまらない。同級生たちは今、受験勉強に必死だ。
「今は応援しかできない立場なので。『受験は団体戦』って川和高校では言うんですけど、その一員となってやってます」
その言葉があたたかい。プロ野球は皆がライバル。でも1人だけじゃやっていけない。母校で多くを学び、心穏やかながらも自分から狩りに行ける獅子になった。【金子真仁】