医療事故で19歳息子を失った両親 病院調査あったから前に進めた
藤谷和広
2023年10月、岩手県の笹川純子さん(61)は病院のベッドで、すやすやと気持ちよさそうに眠る長男の健太郎さん(当時19)に声をかけた。「お母さん仕事だから。終わったらまた来るからね」
健太郎さんは、13トリソミーという先天性の病気で医療的ケアが必要だった。この日は、尿路感染症で岩手医科大付属病院に入院していたが、経過は良く、すぐに退院できるはずだった。
「急変したので、すぐに来て下さい」
翌朝、病院から電話を受けた純子さんは事態がのみ込めなかった。「てんかんの発作でも起こしたのかな」。夫の修一さん(60)と合流し病院に向かった。
病室には人が集まっていた。中に入ると、健太郎さんの胸骨を圧迫する救命処置が行われていた。顔は白く、手は冷たくなっていた。「もう生きているようには見えなかった」
まもなく、健太郎さんは亡くなった。
受け取った死亡診断書には「…
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