クマ被害多発、自衛隊出動でも銃で駆除難しく 火器使用に厳しい制限
クマによる人身被害に歯止めがかからない。秋田県の鈴木健太知事は28日、防衛省を訪れ、駆除を支援するよう自衛隊派遣を緊急要望した。鳥獣対策で出動したケースは過去にもあるが、銃などの火器使用は法令で厳格に制限されている。犠牲者数が過去最悪となるなか、どのような対応が可能なのか。
「人も物資も足りず、限界を超えている。自衛隊の力を借りたい」。27日、鈴木知事は記者団に語った。同県では東成瀬村の役場付近...
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(更新)- 深尾三四郎伊藤忠総研 エグゼクティブ・フェロー、MOBI 理事分析・考察
「人口減少と自衛隊」の課題が深刻化している。 母の故郷である秋田での異常事態に気を揉む毎日だが、熊の生息域と人間の生活域との間の境界線が消えつつあるのは少子高齢化の結果であるので、東京都西部でも熊が出没している現状を日本全体での問題として捉えなければならない。秋田県の人口減少率は都道府県別トップが長年続いており、熊出没の増加と人口減少は比例関係にある。自衛隊の出動は自然災害時の緊急対応に加え、熊の冬眠前の秋口といったいわば平時対応での必要性も高まる。人口減少社会における自衛隊の負荷上昇と人手不足の課題が深刻化しており、新常態での然るべき自衛隊の適正能力と隊員不足への対策を議論する必要がある。
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(更新) - 鈴木亘学習院大学経済学部 教授分析・考察
それは、防衛省に当たれば、法令上出動は難しい、対応できないという答えが返ってくるのは当たり前だ。しかし、日々、人々が死んでいる。こんな時に国民を守れない自衛隊では、何のための自衛隊かという声が上がるだろう。これは、コメ不足問題の当初、農水省が、備蓄米を出すのには原則があるので、出せないと言っていたことを彷彿とさせる。しかし、コメ不足の時に備蓄米を出せないのであれば、何のための備蓄米かという国民の声に押されて、その後、備蓄米の放出が始まった。やる気になれば、自衛隊も何らかの対策を考えられるのではないか。それにしても、小泉進次郎氏は何かを持っている。農水相に続き、今度は防衛相としての見せ場である。
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(更新) - 高橋祥子TAZ Inc. 代表取締役社長別の視点
クマ出没増加には複合的な要因があります。気候変動の影響でドングリなど木の実が不作の年が増え、山に十分な食料がなくクマが人里に来るリスクが高まります。日本特有の課題として、過疎化・高齢化による管理放棄で手入れされない山林が増え、クマが隠れやすく人間の居住地に近づきやすい環境になります。近年の研究でもある通り、クマは高い学習能力を持つ動物で「人里=食べ物が得られる場所」と認知すれば、学習して行動を繰り返します。自治体・研究機関・住民が連携し、データに基づいたモニタリング体制やAIによる出没予測モデルの活用など、科学的知見をもとにした中長期的な生態系マネジメントを行う段階に来ているかもしれません。
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クマ(熊)による被害が過去最悪のペースで増えています。被害状況や対策などを解説します。