文系博士がエンジニアになるということ
ブログを徐々にアクティブにしていくために,とりあえず月一くらいで更新しようと思っていて,1月を逃してしまった。 とりあえず今回は,最近考えてること,以前からブログにしたいと思ってたことを羅列してみようと思う。 ちょうどはてブの今週のお題が「自分の好きなところ発表会」らしいので,好きっていうほどではないけど,文系博士がエンジニアになってみて得たものを整理する良いタイミングだ。
文系博士がエンジニアになるということ
私のキャリアはおそらく少々特殊だと思う。 ブログのタイトルにあるように,文系の大学院生として博士号を取得し,その後アカデミアに残らずにエンジニアとして民間企業に就職した。 今はエンジニア歴6年目くらい。 PCはもともと強かったけど(自己紹介の下の方参照),プログラミングとかデータベースとかを本格的に・体系的に学習し始めたのは民間企業に就職してから。 私は言語学も学部から始めたので,そこを物差しに使うことが多い。なので,大学入学から6年というと,今はやっと修士を終えたくらいだろうか。
最初の頃は結構たいへんだった。 今までの自分のキャリアが全くリセットされると当時は思っていたので,とにかく必死でキャッチアップをしようと無駄に頑張っていた。 博論自体がかなり産みの苦しみを味わうのに,いきなり転職してそこから休む間もなくバリバリ働いていた。 加えて自分に自信がまったくなかったので,30代からエンジニアになるなんて相当ビハインドだな,と勝手に思っていた。
さらにさらにロールモデルがあまり見つからない。 30歳で,しかも非情報系博士修了者でエンジニアなんて身近にはいなかったし,当時ググったりもしたけど全然ヒットしなかった。 今ではぐぐるとちらほらいなくもないという感じ。 なのでなんとかして自分で道を切り開かなきゃ,という強い想いがあったように思える。
ただ,今思うと博論のバーンアウトでベースがネガティブになっていた時期に,過剰に自己を追い詰めていたとも思う。
博論を書くってたいへん
まず博論を書いたってことがとてもたいへんだったということを自覚するのに数年かかった。 自分の博論なんて燃やしてしまえばいいと割と本気で思ってた時期もあった。 アカデミアで色々頑張ってできたのが結局100ページくらいの論文で,その価値が全然理解できていなかった。 そのころの闇はこのブログの古い方に残しているので見たい人はどうぞ。リンクは貼らないぞ。何回見直しても病んでる。
基本的に自分に自信がないタイプなので,自分がすごいことをしたとかがんばったとか基本言いたくない性格をしてて,なので博論の価値とか以前に「たいへんだった」ということを素直に自分で受け止めることができなかったような気がする。
最近はすっとそれができるようになってきた。あのときマジでたいへんだった。 人生初の2徹で頭をフル回転させるみたいなこともやった。たいへんだったなあ。
ちなみに,私が書きおわってほっぽりだしたテーマは,指導教官の先生が引き継いでプロジェクト化してくれた。 そもそも引き継いでもらえるとも思っていなかったし,さらに結構人数の多いプロジェクトで,自分の書いたものがあんなに多くの人に多くの影響を与えるなんて考えてもいなかった。
そういう意味では書いた意味っていうのはあるんだろうなあとポジティブに捉えることが最近できるようになってきた。 そしてその課程で得たものが仕事にもちゃんと活かされているという体感も多くなってきた。
意外と使えるアカデミアの経験
最近はアカデミアの経験がエンジニアライフを送るのにとても有益なんじゃないかと思ってきた。 アカデミアはいうなれば知的生産の専門家集団なので,知的生産をするうえでアカデミアでの経験は絶対プラスにはなるという想いはあった。 でもそれがなかなか具体的に言語化できずにずっと過ごしていて,結構モヤモヤしていた。 最近になってやっとちょっと腑に落ちるようになってきた。ぱっと思いつくものだけ書いていこうと思う。
アカデミックライティング
アカデミックライティングは院生時代よりも前,学部時代から基礎を叩き込まれていた。 院に入ってからも,相当鍛えられたと思う。これが結構いろいろなところに使えると思っていた。
コードを書くという作業は,論文を書く作業ととても似ている。 論文は構造を持った文章。コードも構造を持った文章。あれ,一緒だ。
ちなみにこれはプレゼンでも応用できる。文章の構造をそのままプレゼン向けに縮小版で作ればよい。
現象を観察する
科学は観察から始まる,観察の道具の発展が科学の発展を促す,ってマクドで隣の女子高生が言ってた。 なので物事の観察する際の解像度は高くしたいなあと思っていたし,実際院のトレーニングを経て,解像度はかなり高くなったような気がする。
PDCAとかOODAみたいなサイクルを回す
観察から課題発見をして仮説を設定してアプローチして,というサイクルを回すのが科学の営みだと思っている。 実際にアカデミアではそういうサイクルを回してきたし,それぞれのステップに関して鋭いツッコミがいっぱい飛んできたりして,どんどんレベルアップしないといけない環境にいた。 なので,それなりの観察眼はあるのかなあとなんとなく思い始めた。今まで無意識にやってたのであんまりよくわかっていなかったんだが,こういうのが「強み」っていうのかしらね。
論文の校閲をする
院生してると先生の論文の構成をアルバイトでもらうことがある。 卒論をTeXで書いたのもあるけどもともと校閲とか組版とかにもちょっと興味を持っていたのもあるので,めっちゃがんばって校閲した。 校閲って結構細かくて奥が深い。最近だと毎日新聞校閲センターさんが旧Twitterで校閲の世界を詳しく説明してくれている。 流石にプロには勝てないけど,禁則処理とかそういうのを考えつつ,日本語として読みやすいか,誤字脱字はないか等細かくチェックして赤を入れまくっていた。 特に文章にしたときにストーリーとして一本の筋が引けるか,後戻りをすることなくすっと読める日本語になっているかという点に関しては結構意識していた。 この経験が結構全体の流れに配慮しつつ細かいところに目を配るという力を育ててくれたような気がする。 ぽけーっとしててもスッって入ってくる文章が一番いい文章だよ(文学除く)。そういう文章を私は書きたい。
非常勤で授業を持っていた
院生は博士課程くらいになると非常勤講師の話が回ってきたりする。 私も授業をいくつかもっていたが,その時に学生とコミュニケーションをするときになんとなくやっていたことが結構リーダーになったりしたときに役に立ったなあと思いはじめた。 特にいかに学生とコミュニケーションをとるか,壁を作らないか,ってところを結構意識していた。
具体的には,学生の出席をコメントシート方式にして,授業の質問でもそれ以外の雑談でも何でもOKなので,一言書いて出席とカウントすることにした。 そして次回の授業の45分くらい(1コマ90分)のタイミングで休憩としてコメント返しをしていた。 これはマイアイデアというわけではなくて,ICUで結構そういうスタイルの授業をしている先生方がいたので,とりあえず真似してみた。
これが結構面白くて,何でも書いていいよって言うと本当になんでも書いてくれる学生とかもいて,結構プライベートなことも聞かれたりするので,素直に答えていた。 結構自己開示はするタイプなのだが,これが大事なことなんだなーというのは後に仕事したりとかしながらわかってきた。
あと,未だに覚えているコメントで,「先生が楽しそうに授業していたので,私も英語に興味を持つようになりました」ってコメントがあって,めっちゃ嬉しかった記憶がある。 英語は一般教養で興味がなくても取らなきゃいけないという学生が多い。 なので,最低目標としていかに英語に興味を持ってもらえる学生を増やすかという点を意識していたので,実際にそれが形として現れたときはガッツポーズ取った。 多分帰りの高速バスの中だった気がする。 これ書いてくれた学生元気にやってるかな。
なので基本は楽しく生きようとしている。 楽しく生きようとするために苦しくなることはある。
ざっと書いたらこんな感じ。本当はもっとあるような気がする。 折を見てまた言語化していきたいと思う。
よくある質問で「なんでアカデミアに残らず就職にしたの?」とも聞かれるので,そのへんも記事にできたらいいなー。
今年一年を振り返る
今日はもう大晦日。あっという間である。 毎年それなりに濃い一年を過ごしている気はしているのだが,今年は特に激動の年だったので,今年一年を振り返ってみようと思う。目次はこんな感じ。目次だけでも十分濃い気がする。
教会に通い始めるようになった
ド頭から宗教の話になるが,今年から教会の礼拝に通い始めるようになった。 厳密に言うと去年のクリスマスのキャンドルサービスからなんだが,日曜日の主日礼拝に行くようになったのは年が明けてからなので,今年から通い始めたということになる。ちなみに洗礼はまだ受けていない。
実は私の人生は結構キリスト教とご縁がある。「ご縁がある」をキリスト教的に言うと「神様のお導き」ということらしい。 ということで,言い換えると私の人生は結構神様に導かれてキリスト教に触れる機会が多かったように思える。
まず幼稚園がたまたまキリスト教系だった。先生たちがどうだったのかは覚えていないけど,少なくとも園長先生・副園長先生はクリスチャンだったように記憶している。あとおぼろげな記憶だが,キリスト教にまつわる紙芝居のようなものもやっていたように思う。もちろん内容は何も覚えていないのだが。
小学校は公立,中学・高校は私立だったが,特定の宗教を掲げているような学校ではなかったので,小学校から高校卒業までは特にキリスト教に触れるような習慣はなかった。
そのあとキリスト教に触れるようになったのは大学の学部時代。 なんといっても大学の名前に基督教って入っている。 そんなわけで,大学的にはクリスチャンは多いし(教員は基本的に全員クリスチャン),キリスト教系の授業も1つだけ必修があった。といっても,キリスト教を文献学的あるいは神学的に批判的に見るとか,アメリカという国自体がいかにキリスト教的な文化を持っているかとかそういう話が多く,いわゆる宣教的な側面はなく,あくまで学問の対象としてのキリスト教という感じではあった。
入学式の時に聖書箇所を教員か牧師か覚えていないけど読んでくれていて,中身は今でも明確に覚えていて好きな箇所なので引用しておく(マタイ7:7-8)。
求めなさい。そうすれば与えられます。探しなさい。そうすれば見出します。たたきなさい。そうすれば開かれます。 だれでも、求める者は受け、探す者は見出し、たたく者には開かれます。
新日本聖書刊行会. 聖書 新改訳2017 (新改訳聖書センター) (p.3677). いのちのことば社. Kindle 版.
あとはキリスト教に関連したイベントとかもあった。年一でC-weekという週間があり,キリスト教に関係した様々なイベントが大学全体で行われている週間があった。でも参加するしないは完全に個人の意思で,私はそんなに積極的には参加はしていなかった。礼拝も一回もちゃんと行かなかったし。一つだけ好きだったのは,教会にラビリンスが置かれるイベントがあり,それに参加するのは好きだった。口で説明するのは難しいので,Instagramのリンクを貼っておこうと思う。
こんな感じの迷路っぽいシートが教会のど真ん中に敷かれていて,中央にたどり着いたらゴール。 中央にたどり着いたら別にすっと抜けてもいいし,逆に元来た道を戻ってもよい(たしか)。私は真ん中に着いたらとりあえず座って目をつむり,教会の空気を感じるのが好きだった。そういえばこれがキリスト教とどういう関連があるのかよく知らないでやってた。一応Wikipediaで調べてみたが,とりあえず教会の床に書いてあることは多いけど,何でそうなったかはよくわかっていないらしい。へーなるほどそうなんだ。
そのあと大学院に進学するのだが,ICUの大学院ではなく,関西のとある大学院に進学することになった。大学的には国立だったしキリスト教系ではないのだが,たまたま指導教官がクリスチャンだった。といっても院在籍中に宗教の話はほとんどしておらず,その先生がクリスマスのキャンドルサービスだけは案内をくれていたので,そこに何回か参加したことがあるくらいの感じではあった。
博士課程の途中から,合唱団に所属することになった。合唱と言えば歴史的に見ると賛美歌ということになるので,歌詞も必然的に聖書の引用とか聖書を題材にしたものとかが多かった。なので歌の背景としてキリスト教の知識が断片的には入ってきてはいたけど,音楽指導的なことをやっていたひとはクリスチャンというわけではなかった。
博論を出して民間企業に就職してからは,合唱は続けつつもまたキリスト教とは離れた生活を送っていた。コロナ禍でもあり,様々なイベントがキャンセルされ,キャンドルサービスもオンラインになっていたようだし,博論のバーンアウトと仕事の忙しさで,しばらく先生とも連絡は取っていなかった。合唱団も仕事で忙しくなったり他にもいろいろあって辞めてしまった。
教会に再び導かれたのは,たまたま妻(当時はまだ未入籍)と同棲するにあたって引っ越した先がその教会の近所で,キャンドルサービスも再開していたようだし,先生にもしばらく会ってないから行ってみるかと妻を連れて参加したのがきっかけだった。先にも書いたとおり,もともとキリスト教に親しむ機会が多かったのもあり,せっかく近いのだから主日礼拝もちゃんと参加してみるかと思って参加し始めたのが今年の頭である。
ちなみに最初は朝全然起きれなくて何回かオンラインで参加したり礼拝自体欠席ということも何度かやったが,教会の雰囲気的にも牧師さんの姿勢的にも礼拝を強制するつもりは全くないというスタンスだったので,とても助かった。今はわりとちゃんと起きれて毎週通えている。
ここまで導かれると,もう洗礼を受けた方がいいんじゃないかとも思っている。そんな話もこの前少し教会でした。どうせなら早く受洗したらいいじゃんとも思うけど,まだキリスト教のこと全然わかってないし,そんな人間が受洗してもいいのかなあという気持ちもある。はたして来年はどうなることやら。
仕事でチームリーダーになった
これも1月頃からなのだが,異動したらなぜか突然チームリーダー的なことをやることになって(詳しい経緯は書けないが急だった),メンバーが6, 7人くらいつくことになった。別に明示的に頼まれたわけではないが自然とそういう感じになっていて,そういう感じになっているとCTO*1も言ってたので,それ以降は自分からチームリーダーと名乗ることにした。 以前チームリーダー的なことをしたことはあって全く未経験というわけではないのだが,前回はどちらかというと教育的な側面が強いサブプロジェクトのリーダーという感じであった(データセンターにラボを構築するというプロジェクトなので,ラボプロジェクトと呼んでいる)。詳しいことは会社のブログに書いてあるので,そちらを参照してもらいたい。
同じくラボプロジェクトのチームメンバーであった日下部(み)さんも違う視点で記事を書いていろいろ言語化してくれている。
blog.bbsakura.net
私自身の記事や日下部(み)さんの記事に出てくるように,当時チームビルディングに課題意識があったので,今回はひと月チームビルディングにかなりエフォートをかけた感じにした。具体的にはとにかくひたすら1on1。私が異動してきた側なので,初めましてから始まり,趣味の話を聞いたり,今の仕事の状態を聞いたりを,コードやアーキテクチャの把握と並行して行っていた。一緒に働く人がどういう思考・行動パターンや文化を持っているかってちゃんと聞いたり自己開示をしたりして信頼関係を築かないと私自身が仕事しづらいという側面もあった(結構人見知りするので)。 あとはミーティングの体制とかもあまり整理されておらず,コミュニケーションが完全にテキストのみで頻度も少ないという状態だったので,もっと量を増やしたくて,meetという違うメディアを使った朝会を作ったり,Slackで超どうでもいいことをガンガンつぶやくようにして雑談が自然発生的に起こりやすいような環境作りとかもしていた。
あとは同じく日下部(み)さんが振り返りカンファレンスっていうのに参加していて,ちょうど前述のラボプロジェクトの振り返りの話をしていた。
普段からmiroとか使ってうまーくやっているような感じをチラ見していたので,それを真似して自分のチームでもオフラインで顔を合わせつつmiroも併用して振り返り会をやったりとかもした。miroだけでリモートでやってもよかったんだが,初めましての人も多かったし,miroを大画面に写しつつ,各自のPCでも見つつ,オフラインでやるという方式であえてやった。やっぱりリアクションが見えやすいし,それを同じ空気の中でやるので,一体感とかがオンラインとは全く違う。あとその部屋にホワイトボード(物理)もあったので,いろいろ整理するのも楽だった。お昼ご飯をみんなで食べにもいけたので,何定食を選ぶかみたいな雑談もできて楽しかった記憶がある。ちゃんと飲み会もやった。
でも,プロジェクトのメンバーアサインとかも初めての経験だったし,メンバーのスキルと特性や納期を見極めてアサインし,リスクヘッジも行うというのはなかなか難しかった。そのうえで進捗管理をしつつ,技術的なアドバイスをしつつ,コードレビューをしつつ,時々手を動かしたりという感じで,手を動かすことがめっきり減ってしまった。マネジメント系のロールに興味はあったので,やること自体は全然歓迎だったし,いいチャレンジになるなとは思っていたが,とにかくコーディングとレビュー以外の業務のすべてが新しいことで気が休まる時がなく,とても大変だった。それに技術的にもまだまだひよっこで,変化の激しいフロントエンド界隈に一応身を置いているので,技術的にどんどん置いて行かれている(というかそもそも元から追いついていない)という感じがしていてその点もプレッシャーにはなっていた。プレイングマネージャーの話はよく聞くけど,実際になってみると本当に大変だなあと思った。
さて今後はどうしようかなあ。もうちょい技術的なことを勉強したいなあという気持ちもあるし,マネジメントするならしっかりマネジメントの勉強したいという気持ちもある。というかそもそもマネジメント専任の人がいるチームで体系立ったマネジメントををされたことが今までないので,マネジメント方面いくなら一回ちゃんとマネジメントされてみたいという気持ちも芽生えている。ということでキャリア的には非常に迷子中。どうしようかなー。まあまた来年考えよう。
入籍した
入籍しました。平日だったので有休取って区役所に行ったんだが,書類書いたあと1時間くらい待たされたので,これだったらPC持って行って人気のないところでリモート出勤できたなと思った。同棲はもうすでにそれなりの期間していたので,私の感覚としては特に変わらず。妻は姓が変わった。これも事前にどっちの姓にするかを話し合った上で決めてあったので,特にもめたりとかはなく。本人はしばらくは呼び慣れてない感じがあったのと,やはりいろいろな登録を変更するのは大変そうではあった。あと結婚指輪をちゃんとし始めたのはこのときから。
結婚式をした
無事に入籍も済ませたので,結婚式をやろうということになった。でもお金もかかるし,そんなに急ぎでやらなくてもいいよねといいつつ探していたら,結局年内が一番安くできるという話で12月に執り行うことになり,12/8に無事結婚式を挙げた。
周りの知人友人はだいたいもう既婚者で,普通の結婚式じゃ面白くないよねという話になり,とにかく新郎新婦のキャラクター全開で好き放題やったという感じの式にした。あと大阪でやったので,関西の文化的にも多少なりともボケても許されるというかウケるだろうという打算もあったりした。新郎は元言語学者,今はシステムエンジニアで,ピアノと飛行機が趣味,新婦は昆虫好き,あと手作りでいろいろ作るのが好きということで,以下のような分担で準備を進めていくことになった。
新郎
- PM (Project Manager)
- 全体進捗管理
- タスク整理
- 締め切り設定・線表管理など
- 学会発表風プロフ紹介
- 新婦家族への手紙のBGMでピアノ演奏
- (本当はWeb招待状を自作しようと思ったんだけど,個人情報周りを気にしなきゃいけないし,ピアノの練習でそれどころではなかったので結局大手さんのを使った)
新婦
- フードメニュー(コース)デザイン・印刷・裁断
- ドリンクメニューデザイン・印刷・裁断・半分に折る(立つように)
- ライトトラップ風エスコートカード作成
- 昆虫採集業界ではライトで白い布を照らしてそこに正の走光性がある昆虫を集めるトラップを使うらしく,それをモチーフにしたエスコートカード
- ウェディングドレス姿で虫取り網を振り回して紙飛行機をキャッチする企画
ついったのほうに画像を貼ってるので,いくつかここにも貼ってみようと思う
これだけ好き放題やってたので,タスク管理が大変だった。結婚式が無事終わってタスクが完了位置に全部並んだのは結構達成感があってよかったなあと思った。なんだか剥がすのがもったいなくて'24/12/31時点でまだ貼ってある。
あとはひたすらピアノの練習だろうか。人生でこんなにピアノを弾いてた時間はなかったと思う。8月か9月あたりにこれでいこうって決まって楽譜を買い,毎日ひたすら譜読みと練習。ギリギリ間に合うか間に合わないかみたいな感じでいざ本番。でも本番慣れしてないので,手汗で滑るし,たまたまピアノの譜面台に結婚指輪を外して置いてしまったので,夫婦の近くだけめっちゃ金属の共鳴音が響いてて,とても気持ち悪かった。。。結婚式でピアノ演奏を考えている方,指輪はつけっぱなしで弾くか,外すならハンカチに包もうな。おまけに途中で汗が目に入って猛烈にしみるのを耐えながら弾いていたので,もう最後の方は開き直って感極まってることにした。後で妹に聞いたけど,そういう演出だと思ったって言ってたからまあ多分ごまかせてる。多分。
当たり前だけど毎日ちゃんと練習してたら嫌でも上達する。合唱団にいたおかげで音楽的な下地が強化されていたのもあり,多分今人生の中でピアノが一番うまく弾ける時期だと思う。なので終わった後も結構楽しくピアノを弾いている。昔弾いてた曲を弾き直してみたり,新しい曲に挑戦してみたり。
前撮りも私たちらしくということで,千里側土手(飛行機の撮影スポットとして有名)と伊丹市昆虫館で行った。両方伊丹で二人の趣味がカバーできたのもよかったポイント。
飛行機の撮影スポットが気になる人は昔書いたこの記事を参考にするとよいと思う(宣伝)
まとめ
という感じで,毎年それなりになんかあるけど,今年は特にいろいろ大変だったので,せっかくだから記事にしてみた。 書いてみたらめっちゃ量があって,なんならこの一年どころかここまでの人生総振り返りみたいになってしまった。 結婚自体がそういう性質あるしね。まあスティーブ・ジョブズがconnecting the dots*2って言ってたのを地でやれてるからそれでいいんだと思う。とりあえずだいたいちゃんとつながっている気がする。 ここまで読んでくれる人が果たしてどれだけいるのだろうかと不安になるが,ここまで読んでくれた人はありがとうございました。
来年はもうちょいアクティブに動きたいなあということで,元気に楽しくやっていけたらいいなと思っています。毎年そう言ってる気がするがまあ気にしない。 というかこのブログももう少しアクティブにやった方がいいんじゃないかとは思ってる。気持ちだけ。やりたいことが多すぎる。
今年もいろいろな方に大変お世話になりました。来年も引き続きどうぞよろしくお願いします。
おまけ
今年頑張ったご褒美としておとといmy new gearが届きました。これで寿司打やったら最高記録出た
エビングハウスフセンを使って1ヶ月位学習のスケジューリングをしたら捗った話
文章を書きたいという記事を書いてはや3ヶ月。お久しぶりです。
私は覚えることに大の苦手意識があります。 新しい知識を学んでも,略語がいっぱいで大変とか,あれこれこの前やったのになんだっけ。。。みたいになることが多数。 もっと効率的に物事を覚えたり勉強する方法がないだろうか。。。とずっと考えていました。
そんなある日,こんな物を見つけました。その名も「エビングハウスフセン」。
「エビングハウスフセン」の「エビングハウス」とは,忘却曲線で有名なエビングハウスさんの名前です。 超ざっくりいうと,どのタイミングで復習を行えば効率的に覚えられるかを実験してグラフ(曲線)で示したのが忘却曲線。 詳しいことはググって頂いたりWikipediaの忘却曲線 - Wikipedia等を読んでいただければ概要がつかめるかと思います。 理論的な背景はおいておくとして,要するにフセンの日付のタイミングで復習をすれば,効率的に物事を覚えられるという仕組みです。
ということで実際に1ヶ月間使ってみました。使い方は簡単で,一番下の数字が学習した日付なので,勉強した日に勉強した箇所に貼り付けるだけ。さらにその上に3つの数字とキリトリ線があるのですが,この3つの数字が次に学習すべきタイミング。そしてその復習を終えたら一つづつ上からカットしていきます。
上の写真だと,初回の学習日は2日(今のタイミングだと多分8/2にやってる)。すでに2回切れてるので2周回してますね。そして次回が30日で最終回となります。一番奥に貼ってあるのが,まだ初回だけ回して復習のタイミングが来てないフセンで,16日(今日じゃん!)と22日,そして隠れてますが9/12に復習をして終了という感じになります。
以下1ヶ月くらい使ってみた感想を書いてみようと思います。
学習のペースメーカーになる
まず楽だなあと思ったのは,学習のペース配分をしてくれるところ。いつやればいいかは全部フセンが教えてくれます。何をいつどれくらいどのペースでやるのかって結構考えるとそれだけで思考を使うし,仕事が忙しかったりすると忘れたり飛ばしたりということも発生しがち。でもエビングハウスフセンを使えば「今日はここやる日だぞ」とフセンが勝手に教えてくれるので,そのあたりを考える必要がなくなり,学習しやすくなりました。また,突発的な事情でスキップになっても,次の日にはちゃんとやらなきゃという風にリカバリーもしやすくなりました。
フセンなのであらゆる学習に使える
エビングハウスの忘却曲線に基づいた学習支援ツールとして有名なのはAnkiみたいなフラッシュカードアプリがあったりしますが,Ankiはフラッシュカードのアプリなので,PCやスマホで単語を覚えたりみたいな学習には合っているのですが,他のジャンルの学習には使えません。でもフセンの形なら貼り付ければいいだけなので,本を読んだときにも使えるし,ノートに貼っておくこともできます。今の時代だと結構Kindle等で技術書を読む人が多いと思うのですが,未だに紙とノート派の私はフセンがピッタリ。物理的実体があると一覧性も高いし,開くのも楽です。
目標が設定されるのでトド打ち感覚で楽しめる
人間不思議なもので,日付が設定してあってそれを達成すると快感を覚えるものです。ゲーム感覚でフセンを切り落として行くような楽しみ方もできるので,学習に対するモチベーションが高くなりました。その辺のゲーム化をフセンを貼るだけでできてしまうので,とても効率的だなと思っています。
とまあこんな感じでメリットだらけのエビングハウスフセン,入手はネット通販でできます。
なんか種類がめちゃくちゃいっぱいあります。私が買ったのはとりあえず31日片面タイプと30日両面タイプ。何を買えばよいか分からなかったのでとりあえずお試しに2種類買ってみた感じですが,個人的には31日分のどれかを買っておけばいいかなーという感じです。というか30日タイプと28日タイプの使い道がよくわかっていないので誰か教えてほしい。。。今のところ31日分で困ってはいないです。ミシン目の有無や両面片面で色々選べるので,お好みのものを見つけてみてください。
ということで今回はエビングハウスフセンの紹介でした。皆様の学習ライフに幸あれ!
超ひさしぶりに文章を書いてみる
ここ数年文章を書いていない。
最後に文章をまともに書いたのっていつだっけって思い出して,そういえばこのまえアドベントカレンダーにブログを書いたなあと言うのを思い出した。書いてたわ。
そういうのじゃなくて,なんだろう,こう頭の中にあるものを整理するために書くみたいな。 雑文みたいな。そういうのを書いていない。
確か今年のはじめあたりに,社内Slackかなんかに,ブログをやるとか宣言していたような記憶がうすぼんやりとあるんだけど,結局できていない。 思い出したから,リハビリを兼ねてとりあえず記事を投稿してみた。校正はしないぞ。
そういえばこのブログでは自分が何をしているのか書いていない。 過去を漁ると博論で死んでたときの悩みとか出てきてなかなか香ばしいのだけど。 今は無事に博論を提出して,博士号を取得したあと,民間企業に就職し,ITエンジニアとして働いています。
気づけばそれも4年経ち,もうすぐ5年経とうとしているところ。 結構プログラムを書くことは論文を書くことに似ているので,そういった意味で院でのスキルの応用とかが効いたし,もともと小さい頃からPCで遊ぶのはやってたから,比較的相性は良いように思える。
博論を出した,ということを受け入れるには数年かかった。 出した直後はあんな紙切れに意味はないと思っていた。 今もあんまり意味はないと思っている。あの紙切れ自体には。
でも,仕事をする中で,課程中にみにつけた色々なスキルが応用できるのをみつけたりしたときに,頑張ってみてよかったなと思うことがある。 文系エンジニアは結構増えてきているみたいだけど,文系博士エンジニアなんてなかなかいないと思うので,そのキャリアを活かした仕事ができたらなーと思いつつ日々働いているのでした。
行きつけのカフェケシパールを全力で紹介する
私の住んでいるた神戸はカフェ激戦区。そんな中でも数年前から通っているお気に入りカフェ,カフェケシパールを全力で紹介してみようと思う。
カフェケシパールは三宮駅南東,磯上方面にお店を構えています。神戸でカフェというと北野とか元町とかトアロード界隈とかが思い浮かぶけど,磯上周辺もいくつかカフェがある地域。いわゆる歓楽街ではないのであまり行き慣れない方もいるかもしれないけど,その分喧騒から離れたちょっと落ち着いた地域。道も複雑じゃないし真向かいにあるアパホテルが目印になるので,道に迷う心配はなさそう。
こんな感じの店構え。入り口を入るとすぐ階段になっていて,登ると店内に入れる。この階段がそこそこ急で,まるで屋根裏部屋に登って行くような感覚になる。混んでいるときは階段の下のほうまで列ができていることも。
コンセプトは「チーズケーキ,珈琲,ひとときの休息。」。文字通り,チーズケーキと珈琲でひとときの休息が楽しめるカフェだ。ケシパールの特徴はケーキの種類がやたら多いこと。種類はなんと80種類以上!この中から日替わり(or週替り)で5–6種類から選べるので何度行っても楽しむことができます。 何が食べられるかは行ってみてのお楽しみ。ただし一部はtwitterまたは公式ページで紹介されているので,好みのケーキを狙っていくこともできる。私も定期的にチェックしているけど,好みのケーキが出ているときに仕事が入っていたりして行けなくて悔しい思いをすることも……。
どういうケーキがあるかというと,色々くどくど説明するより見てもらったほうが良いですね。百聞は一見に如かず。撮りためた写真を貼ってくよ!はいドーン!
わあ美味しそう。ケーキももちろん美味しそうですが(ていうか美味しいですが),器とマグがカワイイ。この器とマグは清水しおりさんという器作家の方の作品で,一点一点手作りだそう。ただでさえケーキの種類が多いのに,器とマグのパターンと組み合わせたらすごい数になるんじゃないだろうか……。この器初めて見たぞ……なんて楽しみ方もできる。
ドリンクメニューも豊富なのですが,オススメはケーキと珈琲の「マリアージュ」。マリアージュは4種類の珈琲の中からチーズケーキに合う味を選んでくれる。ケーキと珈琲を知り尽くしている店員さんが選んでくれるだけあって,どれも相性は抜群。ちなみにこのマリアージュを注文するとオススメの食べ方を教えてもらえる。どういう食べ方かは是非実際にお店に行って体験してみてください。
そしてケシパールのもう一つの大きな特徴は「静かな雰囲気」を大切にしていること。なのでおしゃべりは基本的に小さな声で。また金曜日・土曜日の20時からはおしゃべり一切禁止の「静カフェ」タイム。店内のBGMと壁時計が時を刻む音だけが響き,ゆったりとした時間が流れます。こういう感じのお店なので,お一人様も結構多い。文庫本を読んだり,何かの勉強をしたりしていたり,思い思いの時間を過ごしています。人気店なので土日のおやつ時は相当混雑するけど,平日など空いている時間を狙って行けば結構長居もさせてもらえる。たまには気分を変えて積ん読の本を読みに行くのもよし,店内の雰囲気を味わいながら考え事をするのもよし,一人での充実した時間を過ごせるカフェです。
カフェケシパール
住所:651–0087 兵庫県神戸市中央区御幸通6−1−25 もものき三宮ビル2階北
営業時間:13:00–20:00(定休日:毎週水曜日),金・土は22:00まで(静カフェ営業)ホームページ:http://www.cafe-keshipearl.com/
この問いは誰のものか
突然ですが,研究していて「自分って何のために研究してるんだろう……」ってなったことありませんか。私は不出来な院生なので,割としょっちゅうあります。自分のやってる研究で,何がわかったんだろう……何が面白いんだろう……いつもそんなことを考えては辛くなります。
もちろん,単に自分の勉強不足ということも十分にある。つなぽんさんのブログで指摘されているように,「知識不足で当該研究の意味や面白さがよくわかっていないために、その研究が無価値だと感じてしまっているパターン」というやつである。だから実際に少し自分のやってる研究テーマに関して,例えば理論の勉強をするとか,ちょっと違うけど似たようなことを扱っている研究とか,そういうことのを取り込んだりすることで,「お,実はちょっとおもしろいんじゃないの?」と思い始めたという経験もあるにはある。
で,仮にそのちょっと増やした知識で自分の研究が少し面白そうと感じたとしよう。その問いは果たして自分の問いなのだろうか。たしかに先行研究によって自分の研究を位置づけることは大切なことだ。先行研究を整理し,問題点や残された課題を指摘し,それを修正した上で新しい提案をするというのは科学の基本的な営みだ(とされている)。でも,結局それって,先行研究の問いであって,自分の問いではないんじゃないか。そんな気が常にしてしまうのだ。
なんで突然こんなことを書き始めたのかというと,こんな記事をふと目にしたから。
タイトルには「常識」とありますが,本文の言葉で言うと「一般人の素朴な疑問」の感覚を持て,ということのようです。以下一部引用しますが,ぜひ全文読んでみてください。
関西のおっちゃんにヒッグス粒子の話をしてみてください。絶対に「で、何なの? それが何やねん?」と聞かれます(笑)。そういうシンプルな問い、いわば、もって生まれた「常識」を起点として「自分がやっていることは、いったい何なのか?」と自らに問いかければ、細かくはならずに深くなれる、そう信じているんです。一般人の素朴な疑問、つまり常識的な感覚を学者はもつべきなんです。自分自身を一歩離れたところから考える機会は多ければ、多いほどいい。
結局先行研究から生まれた問いって,物にもよるけど,セオリーインターナルな問いだったりするし,既存の研究の問題点や課題を指摘していくってことは,悪く言えば「重箱の隅をつつく」行為(「悪く言えば」ですよ!)。だから,その当該分野とかでは意味のあることなのかもしれないけど,結局それって要するに何がわかってどう面白いん?ってなったときに,分野の中のことばでは説明ができるけれど,分野という保護を離れてしまうと,結局何なのかよくわからなかったりする。だから私は専門外の人に自分の研究を説明するのがすごく苦手。
自分の問いを持っている人は強い。その問いというのは,先行研究がどうこうとかじゃなくて(もちろん先行研究もいっぱい読んだのだろうけど),こういう「素朴な疑問」から来ていることが多いような気がする。そういう人の問いは,シンプルだし,面白い。今まで考えたことなかったけどよくよく考えたらたしかに不思議だ,面白いなとなる。そして何よりそういう人は研究を楽しんでいるように見える。
翻って自分の研究を見たときに,結局自分の研究の出発点は先行研究だし,セオリーインターナルな話なのである。先行研究の問題点と課題を指摘して,修正するという典型的なパターン。「先行研究にはこういう問題があって,解決しなきゃいけないから,こういう研究をした結果,こういうことがわかりました。」というやつ。でも,それは自分の問いから出てきたものではないから,やっていてどこか面白くない。研究発表をすると面白いというコメントはそれなりにもらえるので,まぁ分野内的にはそこまで悪いわけではないんだろうけど,どこか自分のものじゃないような,そんな気がしてしまうのである。じゃあ他の問いを探したら?となるわけだけど,なかなかすぐ見つかるものでもないし,そもそも博論書いてる学生がやることじゃない*1。終わったら一旦ゆっくり考えたいとは思っているけど。
先行研究の批評はそれなりにできるつもりではいる。問題点を指摘する訓練は院生時に結構がっつりやるし,そういったところから新しいテーマを見つけることは多分できる。でもそれって単なる「批評家」に毛が生えただけでしかないよなぁ。友人の指導教官が「批評家になるな,プレイヤーになれ」と言っていたという話を聞いたことがあって,自分の中でも結構気をつけてはいたりするのだけど,結局やっていることは変わらない。いつになったら批評家から抜け出すことができるのだろうか。あるいは一生このまま批評家なのだろうか。そういうことを考え始めると,やっぱり研究者になるのは向いてなかったのかなぁ,なんて弱気になったりするのである。
【追記】書き上げて公開してよっしゃ寝るかと思って布団に入ってから色々考えた結果,どうも「現象ベースは正義,理論ベースは悪」みたいな感じの書き方になってしまったかなぁとちょっと反省。もちろん先行研究の問いからとか理論ベースで自らの問いをしっかりもってやってる方もいらっしゃると思います。なので,理論をどうも自分のものにできていない悩める院生のつぶやき程度にとらえていただければ幸いかなと。あとは「理論」の強固性というか,どの程度しっかりしているのかというところも関連してくると思うので,分野とかそれこそ同じ専門の中でもどの理論に寄って立つかで話は違ってくるのかもしれない。まぁいずれにせよ要するにまだまだ修行が足りないんだなぁ。
*1:一応今度の7月に博論を出す予定になっている。果たして間に合うか?!そもそも間に合うの定義は!?
一眼初心者が伊丹空港周辺の撮影スポットを紹介してみる
一眼レフを買ってからというものの,近場にある伊丹空港周辺によく通うようになった。伊丹空港は良い。何故良いかというと,飛行機をいろんな角度から,しかも割と間近で撮ることができるスポットが周囲に点在しているからだ。今回は一眼超初心者の私がD5500ダブルズームキットのレンズ(18–55mmと55–300mm)で撮影した写真をいくつか紹介しようと思う。これから飛行機写真デビューしようと思ってる方の参考になれば。
伊丹空港展望デッキ(順光:午前中)
飛行機の撮影でまず思い浮かぶのは展望デッキでの撮影。伊丹空港は北ウィング(JAL側)と南ウィング(ANA側)それぞれ4階が展望デッキになっている。
デッキからは駐機場の様子が見渡せる。空気が澄んでいれば大阪の都心部まで見えることも。
ここからは駐機している飛行機を思いっきり大きく切り取とれる。整備士さんのお見送りの一コマもばっちり。
よくよくコクピットを見てみると,パイロットさんが手を振ってくれることが結構ある。ちょっと心が和む。
アクセスも良いので手っ取り早く撮れるのがいいですね。空港を利用するついでに寄れるのもメリット。ふらっと立ち寄ってみては。
営業時間:6:00–22:00(最終入場時間21:30)
駐車場あり
HP: http://www.osaka-airport.co.jp/
伊丹スカイパーク(順光:午後)
伊丹空港定番スポットの一つ,伊丹スカイパーク。なんと滑走路のすぐ真横。とても広く遊具も充実しているので,土日は家族連れで賑わっている。
ここからは離陸直後の飛行機を後追いしたり,真横から流し撮りなんかも楽しめる。
ちなみに冒頭では300mmと書いたが,思いっきりどアップにするのでなければここからの撮影は200mmもあれば十分という印象(ただしAPS-Cでの話なので,フルサイズ換算だと300mmはほしいかも)。そういう意味でも撮影ハードルは割と低いと思う。
アクセスは阪急伊丹駅 or JR伊丹駅からバス(22系統岩屋循環or25系統大阪空港行き)で10分程度。ただし30分に一本くらいしか走っていないので,予め時間を調べた上でしっかりタイミングを狙って行くのがオススメ。25系統は逆に大阪空港から乗ることもできます(神津・阪急伊丹経由JR伊丹行き)。大阪空港からは北ターミナル側にある9番乗り場から。
営業時間は7:00–21:00(4–10月の土日祝)
9:00–21:00(4–10月の平日・11–3月の全日)
駐車場・駐輪場あり
HP: http://www.city.itami.lg.jp/skypark/
スカイランド原田(順光:午後)
スカイパークの南端にはスカイランド原田というスポットがある。ここは上下水道の処理施設で,屋上を広場として開放している。またここの駐車場も撮影スポット。写真右側の階段を上がって右に行くと屋上へのエレベータがある。左側が駐車場だ。
ここは滑走路端に近く,伊丹空港は基本的に南側から北に向かって離着陸をするパターンがほとんどなので,滑走路に進入してくる離陸機や着陸の瞬間を間近で狙うことができる。下の2枚は駐車場から撮ったもの。
接地の瞬間のタイヤスモークなんかもここからならバッチリ狙える。
営業時間:9:00–17:00
定休日:木曜日
駐車場あり
HP: http://www.city.toyonaka.osaka.jp/shisetsu/suidou/skyland_harada/
千里川土手(順光:午前中は滑走路東側,午後は滑走路西側)
そして伊丹といえば!ここ千里川土手。滑走路南端のすぐ後ろに位置するこの土手は,飛行機の最終進入コースの真下。つまりすぐ頭上を飛行機が通過していくというわけ。
こんな感じの距離感。真下にいるともっと近く感じる。ここからは着陸直前の飛行機を正面から捉えたり,
着陸寸前を後ろから狙ったりなんて撮り方ができる。
ちなみに広角や魚眼なんかで楽しめるのもここ。魚眼レンズですぐ真上を通過する飛行機をダイナミックに捉えたりできるのも千里川ならでは。いつか撮りたい。魚眼レンズほしい。
アクセスは阪急曽根or岡町駅から徒歩20–30分。アクセスはあまり良いとは言えないが,めんどくさければ岡町駅からレンタサイクルなんて手もある。レンタサイクルを借りてしまえば千里川土手からスカイパークまで足を伸ばすこともできるので一石二鳥。道がわかりにくいので岡町からの地図を貼っておきます。
この場所はいくつか注意事項があって,まずトイレがない。一応近くにコンビニがあるのだけど,それでも3,4分程度歩かなければいけないので,トイレは駅などで済ませておくほうが良いと思う。それから付近は駐車場がなく駐車禁止の取締も厳しいので,車での訪問は避けたいところ。
オススメ周遊コース
さて,上で幾つかスポットを紹介してきたが,実はこの記事の順番に巡ることができる(逆順でも良い)。まずは伊丹空港に向かい展望デッキで撮影。順光を狙いたければ午前中に撮影を済ませ,ここで昼食。次にバスでスカイパークへ。スカイランド原田もスカイパークの南端なので,公園を突っ切ってすぐにある。そして最後は千里川土手で〆る。お帰りは歩いて阪急曽根駅へ。ただし,スカイパークから千里川土手は歩いての移動になるのだが,ここが結構距離がある。30分くらいかかるので,場合によってはスカイパークで打ち止めにしても良いかもしれない。スカイパークから千里川への徒歩のルートはスカイランド原田のHPに地図がある。
こんな感じで伊丹空港の周りには間近で飛行機を楽しめるスポットがいっぱいある。間近で見る飛行機は結構感動するもの。航空ファンでなくても十分楽しめると思うので,近くに住んでいる方は次の休日に足を運んでみてはいかがでしょうか。