私の家ではちょうど30歳の時長男が生まれ、その後すぐ次男ができました。私もそれなりに育児を手伝いましたが、やはり母性というのはすごいと感じました。

この母性とは何かについて、最新研究を見ると母性は女性に特有の本能ではない。子供の世話を積極的ににする中で、母性は誰にでも生まれてくることが分かっているという説もあります。

またある心理学者は、母性が生得的な本能であるという考えを否定しています。個体の発達は人生の初期段階であっても、遺伝子で決定される身体的成熟だけでなく、個体の広い意味での全体的な経験にも左右されるとしています。

発達とは人生のある段階が次の段階に影響を与えながら段階的に進行するもので、遺伝子や環境要因を含むあらゆる種類の刺激が切り離せない形で融合されると述べています。

今日では基本的なことともなされていますが、環境の複雑さが遺伝子の発現に影響を及ぼし、特定の遺伝子セットは状況に応じて様々な特性と行動をもたらすのだとしています。

こうした理論が成り立つためには、生後数日の哺乳類でも環境に意味のある反応を示すという事実がなければなりません。子猫の行動を研究し、まず通常の効率的な授乳と離乳のパターンを記録しました。

次に一部の子猫をフワフワの給餌器という人工的な母親がいるケージに一定期間隔離しました。生後1週目で隔離された子猫は、給餌器での授乳に簡単に適応しましたが、仲間の元に戻されると、母猫の体に沿って自分の向きを変えて乳首を見つけるのに苦労しました。

もう少し大きくなってから隔離された子猫は母親を易々と特定できましたが、母猫の顔など全身に鼻を擦り付けて乳首を探しました。隔離の間母猫はより活動的に、他の子猫より積極的になっていたから、戻ってきた子猫は苦労したのです。

群れの習慣が変わったのにそこにいませんでした。生身の母猫の毛の模様やにおい、微妙なサインに導かれて乳を飲む方法を学ぶ機会を逸し、兄弟と一緒に段階的に典型的な発達を遂げることができなかったのです。

通常ラットは妊娠するまで子ラットに嫌悪感を示します。しかしひとたび出産すると態度は急変します。あらゆる種で見られる典型的な行動を示すようになります。しかし誕生直後に子ラットを巣から取り除くと、母親のこうした行動は急速に消え去ってしまうことを発見しました。

里子の子ラットをあてがって世話させようとしても、ほとんどの場合世話ができませんでした。このあたりの研究は母性とはを知るうえで興味深いものといえます。
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