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国立大学病院長会議・大鳥会長 大学病院の抱える経営悪化の窮状を訴え CAR-T治療、創薬研究できない

公開日時 2025/10/28 04:50
国立大学病院長会議の大鳥精司会長(千葉大学医学部附属病院長)は10月27日、日本記者クラブで会見し、大学病院の抱える経営悪化の窮状を訴えた。大島会長は、「医学部付属病院は大学予算の65%を占めている。ここが赤字を垂れ流すと大学全体のキャッシュが無くなり、全職員の給与の支払いができず事実上倒産になりかねない」と危機感を露わにした。また一方で、大学病院の経営悪化がもたらす患者へのデメリットについて、「医療機器が更新できない、CAR-T細胞治療もできない、ロボット手術もできないとなると、古い治療法で高い医療を選択せざるを得ず、入院在院日数も伸びる可能性もある」と指摘し、国や自治体に早急な対応策を求めた。

◎「沈み込むように赤字が拡大している」

会見では、国立大学病院の23年度~25年度見込みの現金収支状況を報告した。23年度の現金収支59億円(赤字病院16)に対し、24年度はマイナス204億円赤字病院25)、25年度見込みはマイナス330億円(赤字病院33病院)へと「沈み込むように赤字が拡大している」と訴えた。また、医療機関別医療費率(22年度)について、医療機関全体の23.6%に対し、国立大学病院は43.0%と高率で、「仮に100万円を稼ぐのに43万円の費用が掛かっている。残り67万円で医師の人件費を含めて費用を賄わなければならない。これは大きな構造上の問題だ」と指摘した。

さらに、医薬品総額に対する高額医薬品(10万円以上)の割合をみると、DPC対象病院(大学病院本院以外)の15.2%に対し、大学病院本院は28.5%となり、大学病院本院の割合が年々増加傾向を示していると指摘。この理由として、「高額な医薬品を使う患者が大学病院にどんどん集まってきている。その結果として医療費率が上昇し、大学病院の経営が大変なことになってきている」と訴えた。

◎京大病院・高折院長 CAR-T細胞治療 4分の3が国公私立の大学病院に集中

京都大学医学部附属病院の髙折晃史院長は、1回約3000万円の薬価のついたCAR-T細胞治療について、「病院にとってフィーが殆どない」と指摘しながらも、CAR-T細胞治療を実施できる医療施設の4分の3が国公私立の大学病院に集中している実情にも言及。実際の治療に際しては、「細胞の採取から保管、輸送など、専門施設やコーディネーター、薬剤師など非常に特殊な専門性を持った人員を必要とする。それでも治らない患者がいるからCAR-T細胞療法をやる」と治療の意義を述べながらも、「基本的にはあまり保険点数は高くない。病院としては、その経営的なメリットというのはあまりない」との見解を述べた。

◎国立大学病院を含む地域の病院同士の合併「あり得る」 大鳥会長

大歳会長は、経営改善を目的とした国立大学病院を含む地域の病院同士の合併について見解を問われ、「合併もあり得る」との見方を示した。その上で大島会長は、「国のサポートにも限界があるし、地方の県立病院も60億円、70億円の赤字を抱えている。境遇が全く一緒なので、合併することによって機能分担を分けるという考えは十分にある」との見解を示した。また、国への要望として、「不採算診療科の廃止はできないし、ヒトを育てる使命を追っている。研究も放棄できない。日本が抱える創薬も進めなければならない」と述べ、「国がそういう方向を目指すのであれば、やはり国がそれなりの補助金や診療報酬で手当て頂くほかない。さらに都道府県との関係もあるので、自治体のサポ―トなくして医療は成り立たない」と述べた。
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