やったこと
初めて香港に出場していた。普段の遠出に比べれば用らしい用がほぼない変な回で、唯一の出番も昼過ぎからだったからかなり楽させてもらえた。香港故宮文化博物館の収蔵品は多すぎて見切れず、あわてて空港に戻ったら飛行機は遅れていて、帰国したら終電がない。ご友人の厚意に甘えて無理やり帰ることもできたのになんとなく延泊したら疲れが取れず、体調を崩したままお盆休みを過ごしていた。
楽しんだもの
“神絵師”とかいう胡乱な概念が生まれた経緯には、神性っぽいものを確かに持ってるように見えた人物がみなさんの中にいたためではないでしょうか。僕にもそう見えた人物がひとりだけいて、その人が7年の沈黙を破ってノベルゲーム『Lavender Quartz 境界秤動』をリリースした。
遡ること2015年冬、有明で通常通り開催されたコミックマーケット89において、同氏はかねてから構想していた世界観“Lavender Quartz”におけるコンセプトアートブックを頒布。次ぐ2018年にはWeb上に特設ページを公開してその世界観について言及した*1。LQ境界秤動はこのLQシリーズにおいて初めての……正統で完成したコンテンツに位置付けられると思う。
プレイし終わって一番ビックリしたのは、神絵師が立てたであろうライターが“Lavender Quartz”を書いてきたことだった。本当に限られた供給しかないコンテンツを10年近く噛み続けてきた信者にとっては、本人じゃないライターが書いたLQのコンテンツを違和感なく消化できたのが意外。
誰の何の名義か分からないから滅多なことは言えないけど、ライターは作品の完成度を高めつつ雰囲気を上手に醸成できていたし、適切な作風を選択しててよかったと思う。話の展開には佳作以上の風速が確かに備わっており、個人的には目立つ欠点もほぼなかった。当然だけど全シーンのイラストを神絵師自身が手掛けていて*2、クリックの度に新しい登場人物と異常に多い表情差分を眺める羽目になって狂う*3。
いや佳作以上の風速……個人的にはほぼ傑作だった。ほぼ霞みたいに存在感がなかったコンテンツを下敷きにしたシナリオをあれだけ胸いっぱいに吸い込めた上に、起承転結の展開とプレイヤーの誘導がスムーズ。主要キャラに思えた人物が退場する流れもフォーカスしたいキャラクターに十分注力できてたから問題なかったと思う。エピローグは普通のプレイヤーにしてみればよくある引きの1つくらいのものかもしれないけど、信者にとっては本当に印象的だった。
あと3年前(3年前……?)にプレイして感銘を受けた『イハナシの魔女』の次期作、『ステラーコード』が発売されてたからこれも遊んだ。いわゆるファーストコンタクトものの宇宙SFだったんだけど、三体にあった黒暗森林説……というか、地球外生命体は本質的に敵対的な態度をとらざるを得ない、みたいな概念をカウンターしてきたように読めて面白かった。地球側のドタバタに終始してコンパクトに収まってたけど、宇宙側の広がりがもうちょっとあってもよかったかな。なんならヒロインが自分に惚れてくれる肝心の展開は別に必要ない気すらする。
読んだ本
遠出のお供に積読からとっておきの『虚の伽藍(月村了衛著)』を読み、あとなんとなく『成瀬は天下を取りにいく(宮島未奈著)』を読み、続く『成瀬は信じた道をいく(同著)』を読んだ。感想は読書メーターに入れた。
月村先生が著作のあちこちに入れてくる仏教ネタを真正面から書いた作品にしてはあと一歩どうかなあという感じで、うーんまあたしかに直木賞でもなさそう。成瀬はなんとなく読んだ割にかなり気に入ったので、普段本読まない人にはかなりおすすめです。もしかして本屋大賞、大鉱脈なのか*4。
買ったもの
バッテリーが持たなくなったから第12世代Kindle Paperwhiteに新調した。電子ペーパーのデバイスはもっさりしてるものだと思ってたけど、昔のiPadくらいさくさく動いてて奇妙。