4人がバラバラに(時期も出版社も)出した自伝(英語)を読んだ。ポールとジーンのはオーディオブックで聴いた(本人の声)。
一つの事象をそれぞれの視点で語るとまるで違う事象のように見える。
黒澤明の映画「羅生門」(芥川龍之介の「藪の中」)のようだった。
ただ、この4つの自伝は当時のことを「藪の外」に出してもくれる。
たとえば、
20歳ポール、21歳エース、23歳ジーン、26歳ピーター。
エースが他の3人がいるオーディションの部屋に来たときのこと:
ジーン・ポール・ピーター自伝「なんて無礼な奴」
エース自伝「音を出したのは部屋の隅だった。」「オーディションなら普通は馴染みのある曲をやらせるはずなのに、自分で作った曲をやらせるって、俺を追い出したいんだと分かった。」
しかし! その後は歴史。
また、
業界に何のツテも作ることができない、出来たと思っても全くうまく行かないでいる(ポールが高校時代から雑誌に投稿など努力していた)素人の4人が最初に作ったコスチューム:
ポールの自伝「自分はパンツを作った。布を買いに行き、ミシンも全部、自分でした。ジーンのパンツも作った。エースのお母さんはアップリケをつけてくれた(エースは甘えてる、手伝ってもらえてって感じ)。」
エースの自伝「自分のTシャツにある翼とジーンのTシャツにあるドクロと骨は、俺が生地を切り抜いて俺の母さんが縫い付けた。」「10代が余りにもハチャメチャだったから(殴られて頬骨陥没、他、色々)母さんは協力的だった。」
無名でお金のない時代、初めて褒めてくれた出版物はゲイの雑誌。
当時22歳のポールはゲイとして扱われ憤慨したとピーターは暴露。
ポール自伝では多様性に心を砕いている。
ピーターは「太ももにガーターベルト巻いてんのに何言ってんだよ」「ポールは脇腹の肉がだぶついていたから(22歳)コルセットのようなベルトに他のメンバーみんなで肉を入れてやった」
お互いにこけおろしているから、たまに褒めると効く。
たとえば、
4人ともものすごく練習したことは書いているがジーンとポールは指に血が出るまでとは書いてない。
エースの自伝「自分はジーン、ポールほど練習する気が無かった。この二人は指に血が出る程練習していた。」
ポールの自伝「(エースに会う前)どんなに練習してもジミー・ペイジにはなれないと自覚」「エースは才能があったのにアルコールで自滅した」
アルコールについて、
ポールの自伝「自分を見失うのは絶対に嫌だ。高校時代に大麻を吸ったがこんなんじゃダメだ、と思ったからその後は二度としていない。アルコールもほとんど飲まない。」
この「ほとんど」を明らかにしたのがピーターの自伝「アルバムジャケット(2枚目の、内側の写真)の撮影の夜、ポール(22歳)が酩酊した。半裸のポールに彼女・彼らが群がった。ヤバいと思った。ジーンがポールを抱えて外にある車に入れて鍵をかけた。」
この点についてジーンの自伝は、抱えたのは、主語が"I" でなく"we"になっている。
主語について、ポールの自伝「(初期のインタビュー)ジーンはKISSについて聞かれているのに"I"を使う、"we"だろっ!!」
このように文句を言うが、インタビューに答えるのは「(初期の頃は)not me」と言っている。(右耳が生まれつき聞こえない)
他にも、火吹きのやり方を4人が教えられたとき、ポールは「not me、でもジーンは進み出た。」
ドラッグ使用について、
2019年12月、日本、ジーンにインタビューをした、という書き手が「ジーンが若い頃は少しした、と答えたこと」をネットの記事に日本語で書いている。
本人含め4人はジーンが絶対にしない、と明言している。
ジーン自伝「母はナチの強制収用所に14歳で入れられた。家族親せきを多く失った。自分は母一人、子一人で育てられた。これ以上の苦労を母にはかけないと決めていた。」
それでも起こった事件をピーターがばらしている。
「ジーンがブラウニーだと思って食べたお菓子にはローディがドラッグを混ぜていた。」その後、一晩中、苦しんでいたジーンの詳細を書いている。
ジーン自伝にはクィーンのことも数回出てくる。
「当時、世界を席巻していたがアメリカではあまりツアーをしていなかった」
全米巡業がどれだけ過酷なのか、4つの自伝には「過酷」というネガティブな言葉は使われていないが、エピソードはテンコ盛り。
他のバンドのローディとのゴタゴタも含めて。(エアロスミスが出てくる)
ローディは優秀なだけではダメで、相当、ゴツさもなければことは進まなかった。
そういった人たちをまとめ上げるリーダーは限られているらしい。
ブライアンメイはアメリカ巡業中に病気になった。ロジャーテイラーはアメリカ巡業体験を後にソロでの歌にした。フレディは、ある地域でポールと同じ恐怖を味わっていたのかもしれない。
Gene Simmons KISS AND MAKE-UP 出版社: Crown Archetype (2001/12/11)
Ace Frehley NO REGRETS 出版社: Gallery Books; Reprint版 (2011/11/1)
Peter Criss MAKEUP TO BREAKUP 出版社: Scribner; Reprint版 (2012/10/23)
Paul Stanley FACE THE MUSIC 出版社: HarperOne (2014/4/8)