「学生なめるな」 山口大学の授業料の値上げ、学生らが反対集会とデモ行進 大学側と主張かみ合わず
山口大(山口市)は、来春入学する新入生から授業料を上げる検討を進めている。大学側は厳しい財務状況を理由に挙げて必要性を説明しているが、学生や教員からは引き上げの撤回要求や、検討過程を問題視する声が上がっている。両者の主張はかみ合っていない。 【一覧】学費値上げの動き 隣県の広島でも 同大への運営費交付金は2025年度、約114億円の交付が見込まれる。法人化された04年度からの21年間で約32億6千万円(22・26%)減った。谷沢幸生学長(67)は、国からの運営費交付金の減少、物価高騰に伴う賃上げや電気代の値上げを検討の理由に挙げ「支出の抑制や収入増加のための資金獲得に取り組んできたがそれ以上に社会情勢の変化が教育環境の維持、向上に支障を来す状況となっている」と強調する。 ただ大学が検討していると明らかにした9月25日は一部の入試で出願期限が過ぎていた。具体的な検討額も正式には公表していない。 今月22日にあった授業料引き上げを問題視する集会には、学生や教職員たち約150人が参加。経済学部2年の学生(20)は「納得できる説明があれば値上げもやむを得ないが説明がない。検討の表明時期や決め方もおかしい」と話していた。 集会後、「学生なめるな」「情報なくして対話はできない」などと声を上げて学内をデモ行進。値上げ撤回と、民主的でオープンな検討を求めるアピール文を学長室に提出した。反対集会やデモ行進に取り組む学生有志の会の代表(22)は「高校生への情報提供が十分ではない。学生や教職員、高校生たちに知らせないまま大学の方針に関する重要な検討を進めるのはおかしい」と力を込める。 授業料引き上げによる増収分について、谷沢学長は「教育研究環境の提供に直接反映すると約束する。学生の要望が多い教育ネットワーク環境の整備、学生の健康観察を担う健康科学センターの充実などを優先的に進める」と説明する。 一方、有志の会代表は「学費を上げてまで設備を改善してほしいという学生の意見があったのか。授業料を2割上げても、財政状況は数%しか改善しないとの試算もある。白紙の状態から対話すべきだ」と訴えている。
中国新聞社