水温変動大きくギンザケ稚魚飼育遅れ
水温変動大きくギンザケ稚魚飼育遅れ
気仙沼市大川のサケふ化場で行われている養殖ギンザケの稚魚飼育が、12月の初出荷に向けて大詰めを迎えている。実証事業の初年度は、発眼卵6万粒をふ化させ、秋サケの不漁で空いた池を活用して飼育してきたが、夏場の水温上昇などで成育が遅れ、出荷数量は目標を下回る見通し。
養殖ギンザケの稚魚飼育は、気仙沼鮭漁業生産組合が、市内柳沢の組合ふ化場の飼育池の有効利用と、新たな収益確保を目的に初めて実施。県などの補助金などを活用して昨年12月、北海道からギンザケの発眼卵6万粒を移入してふ化させた後、全18池中5池を使って稚魚を育ててきた。
組合によると現在、稚魚の大きさは80~100㌘。当初は11月下旬の出荷を目指していたが、「成育が遅れている」。出荷に適したサイズである150㌘にまで成長させる必要があり、初出荷は12にずれ込む。
要因は水温。ふ化場の飼育池はほとんどが伏流水で外気温の影響を受けやすく、厳しい寒さとなった冬場は適温の10度から4度ほど低下。夏場も目安の15度を5度以上も上回った日があったことで餌の食い付きが悪く、成長にバラツキが見られた。当初、4万匹(6㌧)を県内や岩手の海面養殖業者に出荷する計画だったが、「数量は目標の2、3割にとどまる」という。
組合は2年目の今季、昨季の3倍となる20万粒を移入する予定だったが、規模などは今後、県や市と協議する方針。管野幸一組合長(77)は「1年で結果を出すには難しい面もある。課題を検証し、今後の対応を考えたい」と話している。