Blue Mirror Archive ~ぶるぅみらーあぁかいぶ~   作:ZIPMA

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イサンが生徒たちの外見に触れるシーンを入れ忘れました。この人でなし!
都市には様々な施術や特異点があるので、ヘイローや腰から生える翼については、まあそんな人もいるよね、とイサン君は考えています。あとでそういったシーンも入れるつもりです。
ミスしたので初投稿です。


学園都市:2

「はぁっ...うぅむ...。」

 

シャーレに向かって進む5つの足音と共に、乱れた息遣いが聞こえてくる。

 

「イ、イサン先生...。とりあえず水をどうぞ。」

「スズミ嬢...かたじけなし...。」

「イサン先生は確かに強いですけど、生徒程の体力はないようですね...。休憩した方が良いのではないでしょうか?」

 

イサンは首を横に振りながら息を整える。

 

「チナツ嬢、心ばせはうれしけれど...私一人がために止まるよしにはいかざらむ。」

「しかし...。」

 

と、イサンが息を整え終わった頃、微かなノイズ音と共にホログラムが映し出される。

 

「おお、リン嬢。何かわかれる?」

『はい。この騒ぎを巻き起こした生徒の名が判明しました。』

『...ワカモ。百鬼夜行連合学院で停学となった後、矯正局を脱獄した生徒です。』

「ふぅむ...。囚人なりや?私と同じなり。」

同じって...どういうことですか?」

 

イ、イサン!

”コイツ、ホントに頭いいのか?”*1

た、たぶん...。

 

「あっ...。ユ、ユウカ嬢...た、戯言なり。」

「...ふ~ん?」

「うう...。」

『...ワカモは”災厄の狐”とも呼ばれる危険な人物です。気を付けてください。時間がありませんから、素早い対応をお願いします。』

「...けほん。さあ、シャーレ取り返すいとなみを始めずはぞ。」

 

とイサンが言うと、怪しがっていた生徒たちは切り替えて走り始めた。

イサンが失言をした時はどうなるかと思ったけれど、なんとかなったみたいだ。

 

「...リン嬢。助かりしぞ...。かたじけなし。」

『いえ。...先生がどのような経歴を持っているかは分かりませんが、連邦生徒会長が選んだ人ですから。それに...。』

「それに?」

『...生徒たちを騙せるほど、器用な人には思えませ...いえ、これは失言ですね。』

「リン嬢...喜ぶべきかはよりなしな...。」

『...。ブチッ。』

 

リンは通信を切断することを選んだみたいだね。確かに、こう見えてイサンは結構愉快な人物だ。

 

(ドパパパパ!!!)

 

イサンたちは動きを止め、素早く遮蔽物へ移動する。

 

「銃撃戦始まりきかし。前へと出でよ。」

「「「「はい!」」」」

 

イサンはこの短時間で生徒たちや武装の特徴を理解したようで、適切な采配を行うことができているようだ。あれ、私よりも管理人に向いてるんじゃないか...?

”否定はできませんね。”

イシュメール......。

 

「むむ、あれは...」

「クルセイダー(いち)型...!私の学園の制式戦車と同じ型です。」

「クルセェイドォ(いち)型なりや?...”都市”には見しためしのなき兵器なり。こはからむ(強そうだ)。」

「ええ、全員で対処を―」

「生徒を危ふき目に合はするよしにはいかず。」

「ちょっと、イサン先生!」

 

イサンも先生が板についてきたみたいだね。確かにその考えは立派だけど...。デカい兵器と一人で戦うっていうのは、ちょっと無謀なんじゃないかな...?

 

『オラーッ!戦車のお通りだーッ!...ん、人影!とりあえず撃てーッ!』

 

(ドォォン!!!)

『よし、たぶん的中!』

『せ...先輩...。』

『あ?どした?』

『さっきの人、ヘイロー*2がなかった気が...。』

『...え?マジ?...ど、どどどどどうする!?!?』

「ふぅむ。おぼつかなくは及ばぬぞ。」

『よ、よかった、生きて――へ?』

 

兵器から放たれた弾を避け、遮蔽物に隠れることで衝撃から身を守ったイサンは、そのまま煙に紛れながら戦車の側面に取りついていた。そして――

 

 スキル2 

突き刺す

 

その二撃には、戦車の外装を貫くだけの威力があった。耳障りな金属音と共に、戦車に小さく穴が開く。刺さったナイフを抜き―バランスを崩したようで、たたらを踏んだ―、空を斬ると、

 

「二撃には足らずや。なれば――」

 

何度でも。

 

 スキル3 

連撃

 

イサンのナイフには、切りつけた対象の精神に影響を与える力が籠っているけど...。戦車のように人のような精神を持たない対象に対しては...より物理的な殺傷力が強まるようにできている。

同じ場所に、何度も、何度も...執拗に攻撃を繰り返せば、戦車の装甲はいつの間にか大きく剥げていた。いつの間にかナイフを逆手に持っていたイサンは、そのまま太もものホルスターに差す。

 

「「あわ、わわわわ...。」」

「ふむ。投降する気はあらずや?」

「「ありまァす!!」」

「うむ。」

 

イサンって研究職出身だよね...?

ふっ、修・面*3だな。だが、この戦いには血が足らん。ちょいと俺が...。

いや、まだあっちには行けないから。ファウストたちが頑張ってくれてるみたいだけど...。

チッ。

 

一時はイサンの戦いぶりに呆気に取られていた生徒たちだけど、すぐに気を取り戻し、あっという間にシャーレ周辺の制圧を進めていった。

けれど、イサンが大立ち回りをしている間にシャーレに入り込んだ...一人の影には気づかなかったみたいだね。

 

 

*1
囚人の一人、ヒースクリフの声。こういった風にたまに囚人たちは茶々を入れてくる。

*2
生徒たちの頭上にある輪っか。これがある人間とない人間では身体強度に天と地ほどの差がある。

*3
修羅みたいな面。





イサン君が強すぎる気がしますが...まあ、チュートリアルのボスですし。LV30のイサン君が遅れを取る相手ではないはずです!
以上!
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