「お前が俺を助けてくれたのか?」
そう口にし、目の前の少女に問う。
「えーと...少し違うと言いますか...」
彼女がそう口にした次の瞬間、彼女達の後ろにあった窓が大きな音を立てて破られた。
「なんだ⁉︎」
そう俺が驚きを口にして間も無く、一つの小さな影が俺と彼女達の間に割り込んできた。ピンクの髪、とても低い身長。そしてその存在は、その背とは不釣り合いな大きな盾と銃口をこちらに向けていた。
「アヤネちゃん、大丈夫〜?」
彼女はそのふわりとした口調とは正反対な、突き刺さるような警戒をこちらに向けていた。そして、破られた窓から続けざまに、もう一つの影が部屋の中へと入ってきた。
灰色の髪、そしてその頭から生える狼の耳、身長は先ほどのピンクの髪の少女よりか高く、彼女もまた、銃口をこちらに向けていた。
「ん、助けに来た」
そう口にする彼女も、こちらに警戒を向けていた。
「クソ...」
急に悪くなって行く状況に悪態をつき、どうするか思案しようとした時、俺が入ってきた後ろのドアが勢いよく開けられる。
「「アヤネ(ちゃん)、大丈夫(ですか)⁉︎」」
開けられたドアからまた二人、部屋の中へと入ってくる。俺はちらりと後ろを見て、入ってきた二人の姿を確認する。
片や、黒髪に猫耳が生えている少女。片や、銀と金が混じったかのような髪色をしていて、他の少女より少し背が高い少女。どちらも、こちらに銃口を向けていた。
(どうするか...)
そう思案する。俺を囲んでいる少女達が取るに足らない雑魚であったなら、全員を倒して状況を好転させることもできただろう。しかし、少女達一人一人がとても高い戦闘能力を持っていることがわかる。
(特に...)
(目の前のピンク髪のやつ)
ピンク髪の少女に目を向ける。
(特色や足爪、それに類するような強さを持っている...)
下手しなくても逃げることすらできない、絶望的な状況である。
ピンク髪の少女が言う
「おじさんの、可愛い後輩に手を出そうっていうなら...」
少女の目が鋭い物に変わる
「おじさん、ちょっと容赦できないかな」
雰囲気はまさに一触即発。少しでも動けば戦闘になりそうな雰囲気である。
(...殺るしかないか)
覚悟を決め、手に待つ鎌を強く握り直す。
そして、動き出そうとした次の瞬間。
「皆さん落ち着いてください!!」
黒髪の眼鏡をかけた、アヤネと呼ばれていた少女が声を大にして言った。
「よく見てください!この方はさっきシロコ先輩が拾ってきた大人です!」
「さ、さっきは動くなと言われましたが、きっと急に知らない場所で目覚めて、混乱していただけでしょう!」
「ですからみなさん、一度武器を下ろしましょう!」
そのような声が響き、全員が動きを止める。
".....えっと、これはどういう状況かな?"
いつのまにか部屋の中にいた男が困惑の声を上げる。
「...とりあえずお互いに武器を下ろした方が良さそうだな」
「...うへ〜、そうだね」
その声を合図に、その場にいる全員が武器を下ろした。
〜 それからしばらく... 〜
とりあえず落ち着こうと言うことで、少女達は皆、俺から武器を構えたと言うのに、それぞれ謝罪の言葉を俺に投げかけながら、部屋の中の好きな位置に座るなり、立つなりしていた。
.....なんだか申し訳無くなってきた。
目の前には、少女五人、大人の男性一人、計六人が俺の目の前にいる。
アヤネと呼ばれていた少女が口を開く。
「えっと.....とりあえず自己紹介から」
「私は、アビドス高等学校一年生、奥空アヤネです」
次にアヤネは、猫耳の少女の方を指して、
「こっちは、同じく一年生の黒見セリカ」
「...よろしく」
アヤネは次に、灰色の髪の、狼の耳が生えた少女を指して、
「二年生の砂狼シロコ先輩」
「ん、よろしく」
その次にアヤネは、銀と金が混ざったかのような髪色の少女を指して、
「同じく二年生の十六夜ノノミ先輩」
「わ〜、よろしくお願いします〜☆」
最後にアヤネは、眠そうに机に突っ伏している、ピンク髪の少女を指して、
「そして、三年生の小鳥遊ホシノ先輩」
「うへ〜よろしくね〜」
最後に残った大人の男は、ずっと立っていたところから一歩俺の方へ近づき、
"私は連邦捜査部シャーレ所属の先生です"
と自己紹介をする。
「じゃあ、次は俺の番か」
一息つき、自己紹介を始める
「フィクサーをしているグリス・カエシウスだ」
「グリスと呼んでくれ」
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