捨てられない   作:レモン大好き

1 / 7
これが初書きになります。プロムンの残酷な世界と、ブルアカの透き通るような世界を混ぜてみたくなったので書きます。
何か間違いがあればコメントに書いてくだされば幸いです。


第一章 大切にできない
見知らぬ土地と出会い


「どうして」

「なんで」

「あなたのためなんですよ」

「あなたの願いを叶えるためには」

「そんなわけがないだろう」

「違う。信じない」

 

 

「必要なのは、世界を破壊し、創世する神秘」

 

「世界を繋ぎ、それらを起こすための色彩」

 

「全てを統制し、操るための黄金」

 

「.....それでは、また」

 

 

 

陰鬱な記憶、その中から浮かび出る言葉が脳内に反響する。

「どこなんだろうな、ここは」

一体、何日もの間、彷徨い続けているのだろうか。

気づいたら、知らない場所にいた。「都市」なのかすらわからない場所に。

景色は見渡す限り変わらない砂と、砂に塗れた家が、永遠と連なっている。

日が出ている時は、まるで火の中にいるかのような熱に、日が沈んでいる時は、まるで氷の中にいるかのような極寒になるような場所に、俺は水も、食料もないまま放り出され、そのまま何日も彷徨っていた。次元鞄の中には役に立ちそうなものは入っていない。もはや死を待つだけの状態だ。

体が水と、栄養を求めている。

ついには限界を迎え、地面に倒れ伏してしまった。

(どうせ死ぬなら、こんな苦しみながらじゃなくて、楽に死にたかった)

だんだんと意識が朦朧としていく。

(ああ、最期か)

意識を失う前、最後に見たのは、自分の目の前に倒れる誰かの姿だった。

 

 

目が覚める。

起き上がり、周囲の状況を確認する。どうやらベットの上に寝かされていたみたいだ。今の自分の服装は、いつも着ている黒いズボンに、白のシャツ。

ベットの周りには白いカーテンが閉められている。それを開けて、周りを見て最初に目に入ったのは、ドアの上にさびれた字で書いてある、『保健室』の看板だった。次に目に入ったのは、机の上に置いてある自分の次元鞄と、綺麗に畳んである、愛用の灰色のコートだった。 起き上がり、次元鞄とコートを取りに行き、身に纏う。

「しっくりくるな」

そう呟きながらすぐ近くの壁に目が行く。 いつも使っている刀と、純白の刀身に持ち手、そしてその持ち手に音符が巻き付いているかのような鎌が立てかけてあった。どちらも見覚えがあった。

「俺の武器」

そう言いながら刀を手に取り、腰につける。

「やっぱり、しっくりくるな」

お気に入りの工房で特注した一品である、しっくりこないはずがない。そして、次に鎌を手に取ろうとして手が止まる。

「.....」

陰鬱な記憶がまた頭をよぎる。しかし手に取らないわけにはいかないのだ。

...大切なものだから。

「ダ・カーポ」

武器の名前を口にし、手に取る。驚くほど手に馴染む。

「そろそろ外を調べなきゃな」

扉の前へと移動する。起きてからずっと、遠くから音がする。馴染みがなるようでない、しかし聞いたことのある音。

「銃声」

そう口にしながら、扉を開ける。

どこかの大きな建物の中のようで、扉を開けたら砂に塗れた廊下に出た。

とりあえず銃声が聞こえる方へと歩いていく。どうやらここは一階のようだ。

(銃を使っているということは、それなりの金持ちが何かしているのか?どうやら銃どうしで争っているようだし。)

様々な憶測をしながら銃声の方へと近づいていく。もう銃声がすぐそばから聞こえてくるようになった頃、近くの窓から、おそらく銃撃戦が行われているであろう外を覗いてみる。

そこには信じられない光景が広がっていた。頭の上に何か輪のようなものを浮かし、物によっては頭に獣の耳が生えているような、年端のいかない少女達が、見たことのないような銃を使い撃ち合っているのだ。さらに、驚くべきことに、撃ち合っている少女達はたとえ、胴に銃弾を受けようと、足に受けようと、頭に受けようと、血を流す素振りすら見えない。普通、銃弾を受けよう物なら、怪我では済まされないのに、彼女らは、銃弾を受けても、怪我にすらなっていないように見えた。

「どういうことだ...」

思わず口に出てしまう。今までの常識を壊すような光景に混乱してしまう。深呼吸し、心を落ち着かせ、深く考える。

(銃弾をものともしないような化け物を相手にするわけにはいかない)

(だからと言って、下手に外に出ればまた遭難してしまう。情報が必要だ。俺をここに運んだ誰かがいるはず、その人を探し話を聞くか、何か資料のような物を探すか、どちらにせよ、この建物の探索が必要だ。)

(そうと決まれば)

行動方針を決め、建物の探索を始める。

(こういう時は大抵、上に何かある)

そう思い、階段を登る。二階に上がり少し周りを見てみると、一つの部屋から人気を感じた。どうやら中に誰かいるようだ。扉の前まで行ってみる。

(中に一人...)

俺を助けてくれた人だろうか?なんにせよ人がいるなら話は聞かなくてはいけない。何せ情報が圧倒的に足りていないのだから。敵対存在の可能性を考慮しつつ警戒し、勢いよくドアを開ける。

「誰ですか⁉︎」

「そこを動くな」

鎌を少女の方へ向けながら言い放つ。

(輪を浮かべいる少女...)

少女は外で銃撃戦をしていた存在の仲間だろうか、腰には小型の拳銃が下げられている。不意に、彼女が耳につけているインカムのようなデバイスからから声が聞こえる。

「アヤネちゃん大丈夫⁉︎」「ん、何かあった?」

様々な声が聞こえてくる。少女の方は、少し混乱し、落ち着きを取り戻すと、訝しむようにこちらを見て、しばらくすると納得したかのように

「えっと...め、目が醒められたみたいですね」と言った

「...もしかして、俺を助けてくれたのはお前か?」

俺はそう口にした。




初めてこう言ったものを書いたので、誤字脱字や何か感想などがありましたらコメントしてください。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。