透き通る青の仮面(ペルソナ) 作:仮面をつけた一般キヴォトス人
ペルソナ3。それは彼にとって学生自分の青春の代名詞と言っても差し支えないもの。映像化作品も見て、後のナンバリングタイトルもプレイした。
「遂にこの時が来たぞ…。このために事前に店頭で予約し、発売日まで待ち続けた。まぁ、発売日の翌日だけどな!昨日はしんどかったし!」
彼は店に向かい、ゲームコーナーのレジに向かう。そして
「すいません、ゲームを予約していた有馬 琥暁です!」
そういうと、店員がレジに来て
「確認するので名前の記入をお願いします」
と言う。琥暁は言われた通りに自分の名前を書く。
「これで」
そう言い紙を前に押すと。見覚えの無い少女が紙を受け取り微笑み
「かっこいい名前ですね。お兄さん」
「え?」
琥暁は呆気に取られる。何故なら少女の頭に輪っかのようなものが見えた気がしたからだ。
「君は?」
琥暁が名前を聞こうとした時
「お客さん?大丈夫ですか?お客さん?」
「え?」
不意に現実に戻されたように店員に声をかけられる。周りを見渡すといつも通り音楽が鳴る店内だ
「予約されていた品です。ご確認ください」
「ああ、間違いないです」
そして、待望のリメイクが来て購入に店を後にする。店外に出てからもう一度商品を確認をする。商品に間違いはなく、とりあえずはホッとする琥暁。
(疲れているのか?それとも……いや、ないない!ゲームやアニメじゃないんだから!)
目頭を抑えて溜息をつき、帰路に着く。
「――――契約はなされたね、お兄さん」
呟かれた声は誰の耳にも届くことなく闇に溶けていく。
琥暁は自宅に帰ると、夕飯を簡単に済まし、シャワーを浴びてから飲み物を片手にゲームを始める。
「おぉ……。懐かしさと新鮮さがやっばいなぁ。ペルソナ5のグラフィックで作ってるだけあってすごい綺麗だなぁ。技術の進歩はすげぇ…このクオリティでできるなんて待った甲斐があったなぁ。そういえばペルソナ3はポータブル以来かな?。もう10年以上前か……あの当時はなんとも言えないタナトスとか作ったけ」
社会人となってしまったがそれでもその時間は楽しいものだった。オープニング、初召喚、そしてタルタロスの攻略。そして今の時代だからこそあるDLCのペルソナ
「うっわ、DLCペルソナでサタナエル使えるじゃん。カッコイイけど、序盤に使うのは……ダヨネー」
そう呟きながらも、店内での出来事が頭に引っかかる。それを日頃の疲れと切り捨てたのはゲームに集中するためである。
「よし、今日はここまでにするかな。明日も仕事があるし。明日も帰ってきたら飯食って風呂はいってからしないと。はぁ、会社休んでやりたいなぁ」
そんな言葉を琥暁は呟きながらにベットの中に入る。そして目を瞑り意識は夢の中に落ちる。
夢の中のはずだが、目を開けると見覚えのある部屋にいた。それは本来有り得るはずのない部屋だ。そこは青ほぼ一色の部屋に椅子に腰掛けていた。正面には血走った目に長い鼻を持つひょろっとした姿の老人が机に手を置き座り青い帽子を被った銀髪金色の瞳を持つ少女が本を抱え立っていた。他には大きな時計と砂時計、棚なのようなものがあった。
「え?は?」
琥暁は老人を知っている。付き人の方は知らないが、老人と付き人がいるということはという思考があまによぎり口を開こうとした瞬間部屋の主が
「ほう…これはまた、変わった定めをお持ちの方がいらしたようだ…。ようこそ、我がベルベットルームへ」
老人が口を開く。彼は口を開けて固まる。そして思考は
(夢だよな?ペルソナ大好き人間が直近で遊んだゲームが待ちに待ったペルソナ3のリメイク作品だからか?)
そんな風に考えていると老人は続ける。
「ここは、夢と現実、精神と物質の狭間にある場所。私の名はイゴール。…お初にお目にかかります。こちらにいますはサフィ。同じくここの住人でございます」
「サフィです。お見知りおきを」
淡白な自己紹介と共に一礼をする少女。イゴールと名乗った老人は話を続ける。
「ここは何かの形で"契約"を果たされた方のみが訪れる部屋。貴方は今からベルベットルームのお客人だ」
イゴールが手を翳すと、そこに出てきたのはゲーム購入時に記入した本人確認書類だった。
「貴方の運命は未知数。様々な出来事と対面するやもしれません。ですが、過去の客人の旅路を見てこられた貴方なら、自ずと進むべき道も見えてくるでしょう」
その言葉を聞き鳥肌が立つ。"過去の客人"イゴールが言う過去の客人の旅路というのが琥暁の考えに当てはまるのなら、間違いな無いならと。
「待ってくれ!進むべき道ってなんだよ!?これは夢なんだろ!?」
琥暁が動揺したように言うとイゴールは肯定する。
「左様、貴方は長い眠りの中にいらっしゃる。夢としてここに訪れているに過ぎません。何れはご自身の脚でいらっしゃる機会もあるでしょ。これをお持ちなさい」
そういうとイゴールは琥暁に青い鍵を渡す。
「貴方が未来を歩むことができるように手助けをするのが私達の役目です。詳しく追々に致しましょう。サフィ」
「私からはこれです」
拳銃の様なものを渡される。琥暁はそれが何なのかを理解するのと同時に
「それでは、その時までごきげんよう……」
イゴールは分かれの言葉を言う。そして琥暁は深い眠りに落ちる。
そして、日の明かりに顔を照らされて目を開ける。それと同時に違和感を感じる。
(喉が……乾いた、声が出ないほどに乾くってあるか?)
声を出そうとしても掠れた声しか出ない。だが、その声に聞き覚えが無い。そして
(知らない天井……だと?それに!)
耳に入る音は心電計の一定の電子音が耳に入る。
(本当にここは何処だよ?医療施設か何かか?)
辺りを見渡すと、点滴があった。
(入院?え?何?俺が今まで生きてきたの妄想という事?精神的に患ってたの!?いやいや、流石にないよな?)
そんなアリもしないだろうと半分笑いながらベットから降りようとする。しかし心電計の線が邪魔で普段なら考えもしないが
(うざったいし外すか。誰か来るだろ)
外す選択肢をとる。外すと心肺が停止したと言わんばかりに音が部屋に鳴る。気にはしながらも外を見に行こうとするが、立とうとすると膝から崩れ落ちた。
(あ、歩けない!?数時間寝てただけだろうにどうして!?)
困惑しながらも点滴のスタンドを杖にして無理矢理立ち上がる。その時鏡を見る。そこには赤みがかった瞳と首元まで伸びた青黒い髪特長の少女が映っていた。
(は……?)
琥暁の思考が止まる。自体を受け入れられなくなる。ゲームして寝て、夢でベルベットルームの夢を見たら、女の子になっていた。琥暁は
(夢だ……悪い夢なんだ……コレは)
そう思い、頭を抱えた。ベットの近くには、ベルベットルームで貰った拳銃的な何かと鍵は日に照らされて輝いていた。