調査捕鯨訴訟で敗訴 研究目的と認められず
2014年 03月 31日 19:10 JST
[アムステルダム 31日 ロイター] - 日本の南極海での調査捕鯨中止をオーストラリアが求めた訴訟で、国際司法裁判所(オランダ・ハーグ)は31日、日本の調査捕鯨は研究目的とはいえないとの判断を示し、今後行わないよう命じる判決を言い渡した。
裁判長は、「2005年から実施されている研究プログラムで、約3600頭のミンククジラが殺されたことを鑑み、これまでの研究成果は限定的」と指摘した。
国際司法裁判所の判決(要旨)
日本の南極海での調査捕鯨中止を命じた国際司法裁判所の判決要旨は次の通り。
日本に対し、既に発行している南極海での調査捕鯨の認可の取り消しと、今後も許可を出さないことを命じる。
日本の捕鯨は国際捕鯨取締条約8条で認められた調査捕鯨には当てはまらない。
日本は商業捕鯨モラトリアム(一時停止)を順守していない。
捕鯨計画の一部に科学調査が含まれていたとしても、鯨の殺害や捕獲、処理が「科学目的」で行われていない限りは、捕鯨条約における調査捕鯨には当てはまらない。
日本が鯨を殺害して行う調査を減らし、殺さずに行う調査を増やすことが可能かを検証した証拠はない。
また、1987年からの第1期調査と、捕獲頭数を大幅に増やした2005年からの第2期調査では目的や手法について多大な重複がある。
このことは、第2期調査では生態系観察などの特有の目的があったため捕獲頭数を増やす必要があったとの目本の主張に疑念を生じさせる。
また、研究成果の発表が限定的であること、南極海でのその他の調査との連携が欠如していることなども、日本の捕鯨が「科学調査目的」と言えるか疑問を投げ掛けている。
結論として、日本の南極海での捕鯨はおおむね科学調査とみなされる活動も含んではいるが、計画の設計や実行は、(科学という)目的に沿っているとは言えないと判断した。
8条で認められた捕鯨と先住民捕鯨を除く全ての捕鯨は、商業捕鯨モラトリアムや、南極海サンクチュアリ(保護区)の取り決めの制限を受ける。
裁判官国籍と判断(○は容認 ×は中止)
01.スロバキア ×
02.メキシコ ×
03.日本 ○
04.フランス ○
05.ニュージーランド ×
06.モロッコ ○
07.ロシア ×
08.ブラジル ×
09.ソマリア ○
10.英国 ×
11.中国 ×
12.米国 ×
13.イタリア ×
14.ウガンダ ×
15.インド ×
16.オーストラリア ×
調査捕鯨で日本敗訴 国際司法裁判所、中止命じる 日経
2014/3/31 20:41 【ハーグ=御調昌邦】日本による南極海での調査捕鯨は国際捕鯨取締条約に違反するとしてオーストラリアが中止を求めた訴訟で、国際司法裁判所は31日、南極海での調査捕鯨を「科学的でない」と結論づけたうえで、現行制度での調査捕鯨の中止を命じる判決を言い渡した。事実上、日本の全面敗訴。日本は判決に従う方針で、日本の捕鯨政策は抜本的な見直しを迫られる。
日本政府代表として裁判に臨んだ鶴岡公二内閣審議官は判決後、記者団に「判決には従う。(判決内容を)慎重に読み込んだうえで、具体的な対応を検討していく」と語った。日本が同裁判所での裁判の当事国となり、判決を受けるのは初めて。
豪州は2010年5月、日本の調査捕鯨は同条約で認められている科学的研究のための捕鯨ではなく、実態は商業捕鯨だとして提訴した。
同裁判所は一審制で、控訴は認められていない。今回の判決は日本が実施している南極海と北西太平洋での調査捕鯨のうち、南極海だけを対象としている。ただ今回の判決を受け、反捕鯨国が北西太平洋での調査捕鯨についても同裁判所に提訴する可能性があるほか、捕鯨継続には国際的な批判が一段と高まるとみられる。
調査捕鯨敗訴 鯨文化の衰退心配 関係者「納得できぬ」
2014年4月1日(火)08:03
(産経新聞)
「勝訴を信じていたので、大変驚いた」。国際司法裁判所(ICJ)が31日、日本の南極海での調査捕鯨を国際捕鯨取締条約違反と認定、今後実施しないよう命じたことについて、鯨類研究の権威で調査捕鯨を行う「日本鯨類研究所」顧問を務める大隅清治氏(83)はこう語った。今後はこれまで通りの調査捕鯨ができなくなる可能性もあり、捕鯨が行われている各地域からも「日本の鯨文化が衰退する」などと不安の声が相次いだ。
日本の調査捕鯨は、同条約で認められた科学的研究のための捕鯨であり、大隅氏は「ICJの権威を疑うような判決。厳正であるべき法律と科学が政治によってゆがめられた結果ではないか」と憤る。
南極海は世界の鯨の宝庫であり、世界の急速な人口増に伴う食糧不足に対応するため、タンパク源としての鯨の重要性が増すとの指摘もある。大隅氏は「そのためにも、経験と技術を持った日本が南極海で調査にあたることは重要」と語った。
宮城県・金華山の沖合で十数年間、調査捕鯨を続けてきた同県石巻市の牡鹿漁業協同組合の内海純さん(52)は、「心外というか意外というか…。とにかく納得がいかない」と困惑しきった様子で語った。
漁協は毎年春、捕鯨会社と協力し、50日間かけて60頭を上限に調査捕鯨を続けてきたが、判決を受け、今年は実施できるかどうか見通せなくなった。
江戸時代から約400年の捕鯨の歴史をもち、「捕鯨の町」として知られる和歌山県太地町でも困惑が広がった。三軒一高(さんげん・かずたか)町長は「非常に厳しい判決」と表情を曇らせた。「太地の捕鯨にも何らかの影響があることは間違いないと思う」と厳しい表情を見せたが、「太地は400年の長きにわたり捕鯨を続けてきた。今後も鯨に関わっていくことに何ら変わりはない」と力を込めた。
関東で唯一の小型捕鯨が行われている千葉県南房総市和田町の和田漁港。南極海の調査捕鯨とは直接関係はないため、和田町漁協の関係者は「町への直接の影響はないと思う」としながらも、「日本全体の鯨文化が衰退してしまわないか心配だ」。同町の主婦、山上早苗さん(56)は「私たちの家では鯨は当たり前のように食卓に並ぶもの。捕鯨全体がだめということになってしまったら悲しい」と話した。
調査捕鯨裁判で日本敗訴 「鯨食文化ないと困る」北海道・釧路など影響懸念
(04/01 06:25)
【釧路】国際司法裁判所が31日、日本による南極海での調査捕鯨を条約違反と認定したことについて、訴訟対象になっていない北西太平洋の調査捕鯨の一拠点となっている釧路市の関係者からも影響を懸念する声が上がった。
釧路沿岸での調査捕鯨は2002年からほぼ毎年、主に秋に行われてきた。釧路市は05年に地元経済団体や漁協などと釧路くじら協議会を設立。市内小中学校の給食で竜田揚げやフライなどのクジラ料理を出すほか、秋に「くじら祭り」を開くなど鯨食文化の普及に力を入れてきた。
蝦名大也市長は「日本の正当性が認められず残念。釧路は古くから捕鯨基地として鯨食文化も地域に根ざしている。調査捕鯨はクジラと漁業の競合関係を解明するためのもので、地域にとって重要だ。今後も調査捕鯨を継続することを切望する」とのコメントを出した。
釧路和商市場の木村鮮魚店は50年ほど前から鯨肉を販売しており、現在は釧路沿岸や南極海などのミンククジラの肉を扱う。担当の小林勝行さん(35)は「仮に南極海のクジラがなくなると品切れになる時期が出る恐れがあり、死活問題。捕獲量を減らしても調査を続けられるよう粘り強く交渉してほしい」と求めた。
<北海道新聞4月1日朝刊掲載>
■日本の調査捕鯨■1987年に南極海、94年に釧路、石巻(宮城)沿岸など北西太平洋で始まった。対象はミンククジラなど。IWCが82年に一時禁止とした大型鯨類の商業捕鯨の再開を目指し、生息数の増加を証明するために行っている。IWC管理対象外のツチクジラなど小型鯨類は、網走や函館などの沿岸で商業捕鯨が行われている。