株高で含み益1億円も 広がる格差、「持たざる人」には物価高が直撃
27日の東京株式市場で日経平均株価の終値が、歴史的な節目である5万円を超えた。年初からは1万円ほども値上がりし、上げ幅は約25%に達する。急伸する株価に、個人投資家の資産も一気に膨らんでいる。だが、物価高に賃上げが追いつかない状況は続き、「持たざる人」との格差は広がっている。
東京都内の70代の男性は、上場会社の役員を退職した2年前から投資を始めた。勤めていた企業の株に加え、新規上場する企業の株や投資信託を買い増していった。すると、昨今の株高を受け、資産の含み益は「1億円を超えた」という。「株高の流れにのらないといけない。暴落することもあるが、だからこそ、自ら専門家の話を聞いて勉強している」
一方で、投資余力のない人は、株高の恩恵を受けにくい。3年半も続く物価高が重くのしかかる。
公園で手作り弁当…「投資に回す財産なんてない」
50代の会社員男性には大学生、高校生、小学生の3人の子どもがいる。以前はお昼は外食していたが、いまは手作り弁当を公園で食べる。「これも物価高対策です」
物価が上がると、現金の実質的な価値は目減りする。株への投資が物価高対策になると理解はしている。でも「投資に回す財産なんてない。政府には食料品の消費税をゼロにしてほしい」と話す。
りそなアセットマネジメントの黒瀬浩一氏は「今は株だけでなく、住宅、金(ゴールド)やビットコインなどの価格も急騰している。資産価格の上昇は『持たざる人』との格差を拡大させる」と指摘する。その上で「リスク性資産を増やすことで資産防衛を図るのは手だ。新NISA(少額投資非課税制度)なども活用すべきだが、全員に勧められるものでもない」と語る。
財政支出拡大が招いた株高
歴史的な株高に対し、暮らしの高揚感は乏しい。このズレについて、第一生命経済研究所の藤代宏一氏は「株高不況に陥っている」とみる。
要因として、コロナ禍後のインフレ(物価上昇)下で、政府が財政支出の拡大を続けたことを挙げる。「それがインフレを加速させ、売り上げ、コスト、利益の絶対値が上がった。値上げによって企業収益は膨らみ、株高につながった」
労働分配率は低下
一方で、企業の利益をどれだけ人件費に回したかを示す「労働分配率」は低下している。物価変動を考慮した働き手1人あたりの「実質賃金」は2024年度まで3年連続で前年度を下回り、足元でもマイナス傾向が続く。物価高に賃上げが追いつかない状況だ。
藤代氏は「企業が賃上げより株主還元を優先した」と指摘。これも株高の一因になったが、生活実感との差を広げたとみる。
物価高への根本的な対策として「供給力の増加」が必要だという。「移民の受け入れや、原子力発電所の再稼働が考えられるが、いずれも簡単に決断、解決できる問題ではない」と語る。
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- 【視点】
私のまわりでも、裕福な人はゴールドや株を買っていたりするが、それはごく一部で、特に女性の単身世帯では、借金を抱えて生活している人がやたらと多い印象を受ける。 さすがに借金がある人にNISAは勧められないので、貯金がある人には「やったほうがいいよ」と話すこともあるが、なかなか一歩を踏み出す人は少ない。 投資は未来のためのお金だが、その分今の生活が窮屈になり、ある程度の資産ができるまではお金がないのと同じ感覚になりやすい。 お金の話はしないほうがいいという風潮は根強いし、株のイメージも一般的には悪いので、投資の壁は大きいなと感じる。
…続きを読む - 【視点】
日経平均株価の終値が5万円超え。特に世の中で景気の良さは実感していないのですが何がこんなに上がっているのでしょう。私が持っているいくつかの株も特に上がってなくて別世界のできごとのようです。でも日々投資をしている友人は、あのタイミングで買えば絶対100万円はプラスになった、などと話しています。忙しくて買おうとしたタイミングを逃してしまったそうです。経済的にも時間的にも余裕がある人が利益を得られているのでしょうか…。様々な格差を感じます。
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