クレーマーに「申し訳ありません」は絶対NG…怒鳴る客を一発で黙らせた"元ブックオフ店員の切り返し"
■「部分謝罪」で感情にだけ寄り添う また、激高した相手に対し、形式的な謝罪は火に油を注ぎます。 クレーマーは「謝ればいいと思っているのか」と謝罪自体を拒絶し、さらに怒りをエスカレートさせるのです。彼らは謝罪ではなく、こちらの要求を飲むことを誠意だと認識しています。そのため、謝罪で終わらせようとすると要求をはぐらかされたと感じ、さらに不当な要求へとシフトしていくのです。 では、どう対応すべきか。それは「部分謝罪」を徹底することです。こちらに非がない場合、謝るべきは「私どもの行動」ではなく、「お客様の気持ち」に対してのみです。 最も効果的な「部分謝罪」の切り返しは、謝罪の対象を「感情」に限定することです。 例えば、全般的な不満に対して「申し訳ございませんでした」と全面的に謝罪するのではなく、「ご不快な思いをおかけいたしまして、申し訳ございませんでした」と、感情に対するお詫びに限定します。 要望を断る時には「お力になれず、申し訳ありません」ではなく、「ご要望に添えず、申し訳ございませんでした」と伝え、あくまで「要望に添えない」という事態に対してのみ謝罪します。 たとえば、保育園や幼稚園で子供の怪我などが発生した場合も、施設側の人間として「怪我をさせてしまい申し訳ありません」と事実上の責任を認めるのではなく、「ご心配をおかけし、申し訳ございません」と、保護者の「心配」という感情に寄り添う形で謝罪を限定します。 これらの言葉は、感情に対してのみお詫びを述べているのであって、「あなたの言う通り、私どもに非があります」という事実責任は一切認めていません。この技術こそが、悪質クレーマーから自分と会社を守る盾となります。 ■「いつ、どこで、何を」を明確にする 部分謝罪を徹底したら、その次に重要なのがとにかくクレーマーに話し続けさせることです。 相手の言い分を吐き出させることで、少しずつ気持ちが落ち着いてくる場合もあります。相手の話がひと通り終わったら、「よろしいでしょうか、少し話を整理させていただけますか」と、強引に会話の流れを止めます。 そして、感情のままに怒鳴り散らす相手を論理的な土俵に引き戻すのが、「6W3H」を使った質問術です。 「おっしゃっていることは、いつ(When)、どこで(Where)、誰が(Who)、誰に(Whom)、何を(What)、なぜ(Why)、そして、いくら(How much)、どうやって(How to)、どのくらい(How many)ということでしょうか? 間違っていませんか?」 この質問の真の目的は、具体的な解決策を見つけることや、クレーマーを論破することよりも、相手の興奮状態を強制的に鎮静化させることです。感情のままに話していた相手は、論理的な要素(日時や金額など)を問われることで、脳の思考を司る部分を使わざるを得なくなり、興奮時と比べて気持ちが落ち着いていきます。 この質問で、相手は怒りの爆発から強制的に思考を切り替えさせられ、感情的な爆発が収まりやすくなります。