「ブルーボーイ事件」を制作した飯塚監督
法廷でのサチ(中川さん)と弁護士の狩野(錦戸亮さん)のシーン ©︎2025 『ブルーボーイ事件』 製作委員会
映画「ブルーボーイ事件」のワンシーン ©︎2025『ブルーボーイ事件』製作委員会

 群馬県前橋市を拠点に活動する映画監督、飯塚花笑さん(前橋市出身)の最新作「ブルーボーイ事件」が、11月14日に全国公開される。1960年代の日本で実際に起き、国内のLGBT史を変えたとされる「ブルーボーイ事件」を題材にした本作。尊厳と誇りをかけて司法や世間と闘った人々を描く社会派エンターテインメントに仕上がり、飯塚監督は「たくましく、凜と生きた姿を届けたい」と語る。昭和の色合いが残る前橋を中心に「オール群馬ロケ」で撮影された映像も見どころだ。

【略歴】1990年生まれ、前橋市出身。トランスジェンダーである自らの経験を元に製作した「僕らの未来」(2011年)でデビュー。22年に「フタリノセカイ」を公開。23年には「世界は僕らに気づかない」が第17回大阪アジアン映画祭で「来るべき才能賞」を受賞し、9カ国14の映画祭から招待を受けた。23年秋に同市内に映像製作会社「スタジオ6.11」を立ち上げた。

 飯塚監督が映画の企画構想を始めたのは8年ほど前。ブルーボーイ事件の裁判資料に触れたのがきっかけだった。性別適合出術を受けた当事者3人が出廷して証言している部分があり、その生々しさに触れた時、当事者の実在感に衝撃を受けたという。LGBTQという言葉も広がっておらず、...