高市政権の外国人「制度厳格化」と“労働力1100万人不足”の未来…“共生”のため本当に必要なこと
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外国人なくして成り立たない社会
日本の在留外国人、特に外国人労働者は、ここ十数年の在留資格の整備とともに増大している。転機は’18年の入管法改正(出入国管理及び難民認定法改正)だと鈴木氏は説明する。アベノミクスで景気が良くなり人手不足が深刻化したことを背景に、従来の短期のローテーション型の受け入れから、長期の定着型へと変わったという。 出入国在留管理庁によると、総人口に占める在留外国人の割合はここ数年で急上昇し、昨年3%を超え、総数は376万人あまりに達した 。’00年前後の割合は1%程度だった。ちなみに、昨年の在留外国人の内訳は、中国人23.2%、ベトナム人16.8%、韓国人10.9%、フィリピン人9.1%などだ。 リクルートワークス研究所は『未来予測2040』で、少子化と高齢化により、日本は慢性的な労働供給不足に直面する「労働供給制約社会がやってくる」と予想する。 労働需要がほぼ横ばいで推移し、労働供給が加速度的に減少していくとみられ 、労働供給の不足は’30年に341万人あまり、’40年には1100万人あまりに達するという。これは、現在の近畿地方の就業者数に匹敵する規模だ。連合総合生活開発研究所(連合総研)の伊藤彰久副所長も「労働供給の制約は高まっている」と話し、女性や高齢者が就業しても限界があるとみている 。 ◆社会の不満と「共生」への課題 このように人手不足が深刻な一方で、社会の不安や不満が外国人に向けられやすい側面もある。中国の資本や富裕層などが日本の不動産を買って価格が高騰し、若年層は不動産を買えなくなると不安に感じる面や 、鈴木氏が指摘するように「インフレで国民の生活が苦しくなっている」なかで、「外国人に不満が向きやすい」状況がある。 しかし、外国人に不安や反発を感じる人がいても、外国人なくして日本の社会が成り立たなくなってきているのも事実だ。 連合総研の千谷真美子・主任研究員は「外国人が来ている分野は介護など、労働集約型サービスで、日常生活に密着しています」と指摘する。こうした分野は「賃金水準が低く、日本人はやりたがりません」。社会の維持に必要な分野で外国人を受け入れなくなると、日本人の生活水準が落ちていく懸念があるという。 では、外国人との「共生社会」は実現できるのだろうか 。 鈴木氏は、外国人政策の大きな問題として「受益と負担のバランスが違う」と指摘する。 人手不足で外国人を受け入れる企業など雇用側が「受益者」となる一方、その外国人が生活する地域や自治体には「負担」がかかる。この「アンバランスな部分の調整をどうするのか」が課題だという。 また、外国人の子どもの教育も課題だ。義務教育を受ける権利があっても、義務はない。親がいずれ帰国する予定などの理由で、「一定数の外国人の子どもたちは学校に通っていない」と鈴木氏はみている。 学校に通っていても、日本語の水準の問題などから脱落する外国人の子どもがいるかもしれず、これが格差の固定化につながりやすいと懸念される。学校教育から脱落した子どもたちをサポートする人もおらず、いずれ就業や生活費にも困る可能性がある。貧困から抜け出せず、それが犯罪などにつながる恐れがあり、社会の不安材料になりかねない。 地域の自治体には、外国人を多く受け入れ、共生社会のノウハウを蓄積するところもある。しかし、外国人との共生は地域任せでなく、政府が予算や自治体連携なども含め、もっと主導していく必要があるのかもしれない。外国人を受け入れる以上、受け入れ厳格化だけでは済まされなくなっている。 取材・文:浅井秀樹
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