EVバスの不具合「強制検査する権限ない」――国交省も認めた法の盲点! 113台が抱える“潜在リスク”とは
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経済のグローバル化で広がる不安
並行輸入車は保険会社に保険料算定のデータがなく、 ・自動車保険に加入できなかったり ・保険料が割高になったり することがある。日本の保安基準適合を確認する手続きも必要で、もともとリスクが高い商品だ。 不具合が見つかったあと、購入先が修理などに応じなければ、所有者が 「自己責任」 で対応可能な修理工場を探すしかない。不具合を抱えた並行輸入車が走り続ければ、いつか大事故につながる可能性がある。特に公共交通を担うバスとなれば、利用者や沿線住民の不安をかき立て、運行する交通事業者や自治体の信用が大きく低下しかねない。 海外で並行輸入車を規制している国もある。インドネシアは中古車の輸入を禁止しているが、あくまで国内産業の保護が目的。自国の環境基準や保安基準に照らし合わせて輸入車に基準適合を強く求めるところはあっても、不具合が相次ぐ並行輸入車ににらみを利かせている事例は見当たらない。 EVや自動運転車は製造する会社によって技術力に大きな差があるが、技術的に未熟とみられる車両が大量に輸入される事態は想定されていなかったわけだ。並行輸入車は国内を走る車両のごく一部にすぎない。数が少ないことを理由に国交省が注視してこなかった一面も見える。 しかし、経済のグローバル化が否応なく進む中、これまでにないやり方で車両の生産や輸入が進められることはありうる話だ。 「悪意を持った業者」 が技術的に未熟な並行輸入車を売りさばき、不具合が発生しても修理や行政指導に応じない事態がないと断言できない。 国交省審査・リコール課は「さまざまな予期せぬケースを想定して法整備している。並行輸入車がリコールの対象外であっても行政指導で実質同じ結果を出すことは可能」などとして現時点で並行輸入車の規制強化に動く気配を見せていないが、今回のケースは将来の不安解消に向けて規制のあり方を考えるきっかけにすべきかもしれない。
高田泰(フリージャーナリスト)
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