EVバスの不具合「強制検査する権限ない」――国交省も認めた法の盲点! 113台が抱える“潜在リスク”とは
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損傷の一部は保安基準不適合
「EVMJ(EVモーターズ・ジャパン、北九州市若松区)の全(販売)車両317台を同社が総点検した結果、113台に不具合が確認されたとの報告があった。原因究明と再発防止策の策定を求めている」――中野洋昌国土交通相(当時)は10月中旬の記者会見で記者からの質問に答え、不具合が相次ぐEVMJの総点検結果を明らかにした。 【画像】 → バスドライバーの「平均年収」を徹底チェック! あなたはいくら? 国交省によると、損傷個所は ・油圧をブレーキに伝えるブレーキホース ・開閉ドアのクッション など。不具合があった車両の半数以上は保安基準に適合しない状態で、国交省は不具合が見つかった車両の運行停止と修理を指示し、EVMJが修理を終えたという。 中野国交相は「新たな不具合が確認されるなどした場合は、速やかに報告するよう求めている。十分な安全対策が行われているかどうか、引き続き注視し、必要に応じてさらなる対応を行いたい」と述べた。その後、総点検の方法に問題がなかったかなどについて確認するためにEVMJに立入検査した。現在、検査結果を精査している。 EVMJは2019年設立のスタートアップ。福建威馳騰汽車(WISDOM)など中国メーカーにEVバス製造を委託、輸入販売している。大阪・関西万博の会場輸送用などとして大阪メトロに納入したほか、 ・阪急バス(大阪府豊中市) ・伊予鉄バス(愛媛県松山市) ・福岡県筑後市 ・石川県金沢市 など全国の交通事業者、地方自治体などに販売してきた。2024年12月期で約80億円を売り上げている。 しかし、販売車両に走行中の車両停止やドアの開閉不良、ハンドルの異常な反応など不具合が相次いだ。さらに、大阪市此花区の大阪・関西万博駐車場で回送中のバスが擁壁に接触し、大阪市福島区ではオンデマンドバスが中央分離帯に乗り上げる事故を起こしている。 このため、国交省は9月、EVMJに対し、販売した全車両の総点検を実施し、結果を報告するよう指示していた。EVMJが国交省の指示に従って対応していることから、問題の解決に向けて動いているように見えるが、ここに来て別の問題が浮上している。
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