夢の旅人は仮想に生きる


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作:窓風
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EPISODE14 clossing field


出張&ストック切れにより遅れました。というか元のペースに戻ったというか。


 

 

 

2024年 10月19日 15:40

第74層 迷宮区

 

出会ってから4か月、今や愛剣とまで呼べるまでに使いまくっている『ウィンディア・スウィフト』で、目の前のリザードマンを『刹那』で牽制したあとに『大文字』で仕留める。HPがなくなったリザードマンは爆散し、微量ながら経験値とお金をもらう。ふうと一息つくと、後ろからバンダナ侍が駆け寄ってくる。

 

「ソーマ、こっちは片付いたぞ。」

「こっちも終わった。お疲れクライン。」

 

攻略途中で風林火山と鉢合わせ、せっかくだからと一緒に迷宮区の攻略をしていた。風林火山とはあのクリスマスの一件以来、交流する機会が増えた。特にクラインとはキリトの兄枠として、ここにエギルを加えて3人で飲みにいくこともしばしば。

 

「おし、そろそろ安全エリアも近いし軽く休憩すんぞ。」

 

そう言ったクラインを先頭に安全エリアに入っていく。俺が最後に入ると、抜けた先には腰を下ろしてサンドイッチを頬張る黒の剣士と、それを見て微笑んでいる閃光がいた。

 

「よっす。」

「お?キリトじゃねぇか!」

「ソーマか。一緒にいるのは……って、なんだクラインか。」

「なんだとはなんだぁ!んで、その隣にいるのは……」

「あぁ、会議で何度か顔を合わせてると思うけど、こっちが血盟騎士団副団長、『閃光』の……って、どうした?ラグってんのか?」

 

クラインがキリトの隣にいるアスナを見た途端にフリーズ。数秒後に上半身を90°曲げて礼をしつつ右手を前に出した。口にしたのはいつもの自己紹介。

 

「ククククライン、24歳独身恋人募集ち」

「せいっ」

 

バンダナの結び目を掴み引っ張ると、侍は流れに逆らわずに仰け反って背中からすっ転んだ。

 

「気にしなくていいぞアスナ。美人の前だとこいついつもこんなんだから。」

「ひっでぇ言い草よぉ。」

「事実だろ。」

 

適当なところで腰を下ろし、パンとコーヒーを出して軽食にする。うん、やはりコーヒーはブラックだな。

 

「にしても、なんでアスナと2人でこんなとこに。」

「しばらく、キリト君とパーティ組むことにしたの。」

 

思わずコーヒーを吹き出しそうになる。あれからずっとソロを貫いてきたキリトが、パーティを?しかも血盟騎士団の副団長『閃光』のアスナと?

 

「そうか、お前にも遂に春が来たか……」

「そ、そんな感じじゃないぞ!あくまで副団長殿の護衛としてだなぁ……」

「ほーん……?」

「クライン、俺らには縁のない季節だ。そっとしといてやろう。」

「うるさいなぁ!」「うるせぇな!」

 

アスナの表情を見るに、それだけじゃなさそうだけどなぁ。護衛のためだけにソロプレイヤーのキリトを指名するとは思えないし。ま、深く聞かないでやるか。

 

「「......。」」

「なんだよ、二人して。もしかしてこの髪か?やっぱ変?」

「いや、さすがに慣れたけどさ。」

「1層の頃から知ってると、ちょっと不思議な感じよね。」

「イメチェンしてからおめぇ結構人気出てんだぞ?羨ましいぜこの野郎。」

「まじ?初耳なんだけど。」

 

心機一転ということで、『神速・抜刀術』を公表したタイミングで髪型を変えた。右眼を隠すように下ろしていた前髪はなくなり、キリトのより少し短めにさっぱりと変えた。まぁ髪型についてはまだいい。おそらく2人が気にしているのは眼のほうだろう。

 

今まで他人から見えていた左眼は紺色で割と普通なのだが、右眼は(みどり)色、いわゆるオッドアイというやつなのだ。

 

基本的に髪型など容姿に関わるものはある程度変更が効くらしく、リズのようにリアルとは違う髪色にしているプレイヤーも少なくない。しかし俺の場合、2年前のデスゲーム開始当初からずっとこの眼だったのだ。つまりリアルの俺もそういうことなのだろうか、というのが謎の1つとなっている。

 

「何回か言ってるけど、眼については天然物だよ。たぶん記憶に関係してるけど、今までなんも思い出してないし、身体もなんともないから気にすんな。」

 

パンを食べながら指で眼鏡をクイッと上げる。さらっと記憶の話をしたが、ここにいるキリト以外のメンツには俺の事情について1年くらい前に話しているため特に問題はない。

 

そこまで話したところで、俺たちが出てきた通路から12人のプレイヤーが出てきた。ガシャガシャとアーマーを鳴らしながら隊列を組んでいる。装備に掘られたエンブレムを見るに『アインクラッド解放軍』だろう。『軍』の前身である『解放隊』は、25層ボスの攻略戦で甚大な被害を被り今日まで前線から引いていた。その軍がなぜ今になって……?

 

「よし、全員休め!」

 

隊長と思われるプレイヤーがそう言うと隊列を組んでたプレイヤーたちのほとんどが膝から崩れ、肩で息をしていた。

 

「私は『アインクラッド解放軍』中佐、コーバッツだ。君たちは、ここから先のマッピングを済ませているかね?」

「あ、あぁ。ボス部屋の前までとってある。」

「そうか。ならばその情報を我々に提供していただきたい。」

「てめぇ、マッピングの大変さが分かってて言ってんのか!?」

「クライン。」

「でもよぉ!」

「落ち着け。ダンジョンマップは最終的に共有財産だ。どうせ街に戻ったら公開するつもりだったんだろ?」

「あぁ。だからやるよ。」

 

一悶着あったが、要求されたのはボス部屋までのダンジョンマップだった。

 

「感謝する。」

「だけど、ボスにそのメンバーで挑むのはやめておいた方がいいぜ。」

「……それは私が判断することだ。」

「そらそうだけどさ中佐殿。部隊メンバーの息切れが聞こえないかね?」

「私の部下はこれしきのことで音を上げない!さっさと立て!」

 

コーバッツ中佐はキリトからマップをもらうと、また隊列を組んで先へと進んでいった。一応の忠告はしたが、あれはとても怪しい。

 

「ホントに大丈夫かよ……」

「……ところで、ボスは確認したのか?」

「うん。ボスの名前は『ザ・グリームアイズ』。体長は約3mくらいで山羊の頭に尻尾は蛇。目と身体は深い青色で身体は筋肉質だった。武器は両手剣を片手で持ってたわ。」

「青眼の悪魔、ってか。両手剣だと範囲攻撃もありそうだな。それに尻尾の蛇もデバフをかけるかもしれない。」

「ま、作戦会議はその内開かれるだろうから、そん時に考えようぜ。」

「だな。2人は街に戻るのか?」

「ううん。もうちょっと攻略しようと思ってたよ。」

「そうか。」

 

ボスの特徴を聴きながらとある人にメッセージを打って送信すると、軍が消えていった通路に目をやる。

 

「気になるのか?」

「あぁ。どうも嫌な予感がする。」

「一応様子だけでも見に行くか?」

「念のためな。」

「流石にボスに挑みまではしないだろうけど、気になるよね。」

 

各々装備を確認し、キリトを先頭に風林火山のメンバーが先に歩き出す。その後ろでクラインはアスナに向き直り、軽く頭を下げた。

 

「あ〜、アスナさん。えー、キリトのこと、ヘタレで戦闘バカですがよろしく頼んます。」

「俺からも頼むよ、アスナ。」

「はい。任されました!」

 

それから迷宮区を奥へ奥へと、時折戦闘を挟んで進んでいく。悲鳴が聞こえたのは、先導していたキリト曰く「ここからは一本道だ」と言われたタイミングだった。 

 

「うわああぁぁぁぁ‼︎‼︎」

「まさか!?」

「悪りぃ、先行く!」

「ちょ、ソーマ!」

 

クラインの制止も聞かず、全速力で駆け抜けていく。ボス部屋を示すいつもの重厚な扉は開かれ、中の様子が窺えた。

 

グリームアイズという見た目通りの蒼き悪魔はこちらを背にして、相対するプレイヤー10人(・・・)を右手に持つ両手剣で蹂躙していた。文字通りの地獄絵図だった。

 

すぐに追いついたキリトとアスナもこの惨状に驚きを隠せないようだった。クライン達は2人に置いてかれたようだが、そこまで気にしていられない。

 

「これは!?」

「バカッ……!」

「何やってんだ!早く脱出しろ!」

 

攻撃を受けて倒れ込むプレイヤーに呼びかけると、想定外の返事が返ってきた。

 

「ダメだ!く、クリスタルが使えないんだ!」

「なっ……!」

 

『結晶無効化空間』という、文字通り結晶アイテムが使えない部屋。稀にトラップの1つとして現れると聞いたことはあるが、ボス部屋の仕様となったことは今までなかった。もうじきアインクラッド全体の3/4が攻略できるというところなのに、設計者は鬼か何かなのか。

 

こうしている間に、「我々に撤退の2文字はない!」とか言った愚かな指揮官によって部隊は突撃するが、それを一息のブレスで怯まされる。追撃で両手剣が突き立てられ、フィールドを抉るように振り上げられると、それに続くように1人のプレイヤーが空を舞う。俺たちの目の前にドサッと重い音を立てて転がってきたのは、コーバッツだった。

 

HPバーが消えているのを見た瞬間に俺は愛剣を抜いて駆け出す。直後、ガラスが割れるような破砕音が後ろからかすかに聞こえて歯を食いしばる。

 

ターゲットを部隊から変えるために『刹那』で突進し、ボスまでの距離を一気に詰める。すかさず『天獄』を放ち、ボスの意識を俺に向ける。

 

「聞けバカ共!死にたくなきゃ今のうちにさっさと離れろ!」

 

指揮官を失い完全に戦意喪失した9人の部隊を前線から下げるため、あえて強い言葉で怒鳴る。しかしそれでも目の前の恐怖が勝り、効果は薄いようだった。

 

「……チッ!」

 

その様子を見て無意識に舌打ちをする。正直なところ邪魔だ。しかも見た目通りボスはパワータイプで、一撃一撃が重め。1人で捌くのがしんどすぎる。

 

「ソーマ君!」

「!」

 

ボスが両手剣の刀身を光らせ両手剣スキル単発技『ブラスト』を放とうと構えたところでアスナの声が聞こえる。意図を理解した俺はすぐに『大文字』を発動し、降ってくる両手剣にぶつけて大きく弾かれながら隙を作る。その間にアスナが割り込み、細剣スキル上位技8連撃『スター・スプラッシュ』を打ち込み、ボスのHPを少し減らす。

 

しかし思いの外ボスの立ち直りが速く、スキルの技後硬直で動けないアスナに両手剣が振り下ろされようとしていた。スイッチした反動で距離が開いてしまったため、俺とアスナの距離も離れてしまう。『刹那』でも間に合うか怪しい間合いで構えようとするが、身体が重い。俺のほうはまだ数秒硬直が残っているようだ。

 

「クソッ……!」

 

必殺級の攻撃が容赦なく振り下ろされようとしたその瞬間。

 

「アスナァーーッ!!」

 

キリトのが間に合い、両手剣の切先をアスナの真横へといなした。

 

五月蝿い心臓の音を聞きながらふぅ、と一息ついて周囲の状況を確認する。いつからか追いついていた風林火山が軍の9人にポーションを飲ませたり、肩を貸してボスから充分な距離をとっていた。しかし状況は依然変わらずボスが中央を陣取っているため、避難しようとしているがその足取りは重い。

 

キリトとスイッチしながらなんとかしているが、それでも攻撃が身体を掠るたびにじわじわとHPが削られていく。始めに2割程度しか減っていなかったボスのHPも半分に差し掛かろうとしているが、今の俺たちには攻撃力が欠けている気がする。もはや短期決戦のほうがいいのか……?

 

キリトも同じことを考えているのか、周囲を見渡して険しい表情をしていた。しかし何かを決意し、俺とアスナ、クラインに指示を出した。

 

「ソーマ、アスナ、クライン!10秒だけ持ちこたえてくれ!」

「了解!1分かかったっていいぞ!」

「わ、わかったわ!」

「お、おう!任せろ!」

 

キリトから時間稼ぎを頼まれた俺は即了承。剣を弾いて大きく飛び退いたキリトは何やらメニュー画面を操作し始めたようだが、今は気にしていられない。

 

先陣を切ったクラインが振り下ろされた両手剣を弾くも、横薙ぎ払いによって遠くへ飛ばされてしまう。続くアスナは降ってくる両手剣をひらりと躱して、『刹那』に勝るとも劣らない細剣基本スキル『リニアー』を数発叩き込む。

 

「スイッチ!」

 

そう叫んでアスナと交代する。ソードスキルを発動させるとキリトの準備ができたようだった。

 

「行けるぞ!」

「俺の合図で入れ!」

 

殴ってくる左腕も斬りながら、ボスの屈強な身体に8本の傷痕をつける。重8連撃技、(はち)の太刀『天羽々斬(あめのはばきり)』。8つの蛇の頭を斬り落とすように繰り出すこのソードスキルは、かつて伝説の大蛇を斃した神剣の名と同じだった。

 

「スイッチ!」

「おお!」

 

技後硬直が訪れるまでの残り時間で後ろに蹴り出し、キリトと交代する。ボスは結構タフで、『天羽々斬』を受けてもなお攻撃してくる。キリトは突き出された両手剣を右手の黒剣『エリュシデータ』でいなし、ボスのガラ空きの身体に左手に持つ2本目の剣を(・・・・・・)叩き込んだ。

 

「ハァ?!」

 

『二刀流』。文字通り2本の武器を両手で1本ずつ持つ、リアルでもロマンのあるもの。今はわからないが、昔の剣道でも二刀流の選手はいたが禁止されていた時代があったらしく、現在現役の二刀流剣士の数はかなり少ない。むしろゲームやアニメなどのほうが馴染みがあるだろう。実際に使うとなれば圧倒的難しさで苦労するのだが。

 

それを目の前の少年は(システムアシストもあるだろうが)使いこなしている。そして二刀流により手数が増えたことにより、ボスのHPの減り方が大きくなった。

 

(いけるぞ……!)

 

しかし攻撃に特化した二刀流は守りが当然薄くなる。時折ボスの反撃を喰らってHPを減らすキリトを見て、硬直が解けたのを確認したらすぐに援護に回る。

 

「そのまま斬り続けろ!俺は後ろからやる!」

「ああ!頼んだ!」

 

ボスの背後に回り、『刹那』10発、『天獄』、『大文字』、『刹那』5発、『如月』をお見舞いする。重い一撃が入るとボスがよろめき、キリトへの攻撃が中断される。背後の俺を攻撃しようものなら、すかさずキリトが二刀流で追撃する。やられている側はイライラしているだろう。範囲技だけが怖いが、俺たちの猛攻によるHPの減少がおそらく速い。そして気がつけばボスのHPは残り2割を切ったところだった。

 

「畳みかける……!」

 

一度納刀し、ソードスキルを発動させるためにそこから少しだけ抜く。刀身が紅く光りソードスキルが発動したのを音と視界の端で確認。そこから横一閃に抜刀し一撃。そこから円を何重もの円を描くように、そして徐々に円の中心(今回はボスの尾てい骨あたり)に向かって収束しながら斬ること9回。最後に中心に向かって渾身の突きを入れる。9連撃目までは斬る場所が毎回ランダムに変わるこの不思議なソードスキルは、10連撃技、(きゅう)の太刀『太陽乱舞』。宇宙を感じろ。……としか説明がなかった。「急に雑だろ!」というのは初見の俺の反応である。

 

「ぜあぁぁぁぁっっっ!!!!」

 

キリトも最後の大技を放っていた。ボスの身体でよく見えないが、時折見える剣の軌跡は青く、まるで星屑を散らしながら流れる流星のようだった。しかしボスはまだ動けるのか、左手でキリトの剣を片方掴み、右手の両手剣で突き刺そうとした。

 

「キリト!」

「はぁぁぁぁぁっっ!!」

 

それが迫り来る中キリトの咆哮が轟き、最後の突きがボスの身体を貫く。HPを全損させたボスの身体は徐々に薄くなり、やがて水色のポリゴン片となって宙に散っていった。目の前には反転された『Congratulations‼︎』の文字がデカデカと表示されており、ボスの討伐が完了したことを示していた。

 

キリトのHPを見ると赤くなったドットが数ミリだけ残っていた。いやホントに危ないなオイ。

 

「…………。」

「キリトっ!」

 

トドメを刺したキリトは少しよろけた後、仰向けに倒れてしまった。咄嗟に駆け出し肩を掴んで支える。ギリギリ間に合って良かった。もう少し遅かったら頭を打っていたぞ。

 

「っぶねー。」

「キリト君!キリト君!」

「いててて……」

「バカ!無茶して……」

 

すぐに気がついたキリトを座らせると、アスナが今にも泣きそうな顔でキリトに抱きつく。

 

「……あんまり締め付けると、俺のHPがなくなるぞ。」

「そんな台詞言えるならとりあえず大丈夫だな。お疲れ。」

「サンキュ。」

 

5分程でHPが全快するハイ・ポーションを渡して労う。抱きつかれながら器用にコクコクと飲むキリトを見ていると、クラインが近寄ってきた。

 

「生き残った軍の連中は回復させたが、コーバッツとあと2人、死んだ……」

「そうか……。避難誘導助かったぞ。」

「ボス攻略で犠牲者で出るのは、67層以来か……」

「こんなんが攻略って言えるかよ。死んじまったら何にもならねぇだろうが。」

 

まったくもってそうだ。今度も犠牲者なしで行けたかもしれないのに、本当に余計なことをしてくれた。しばらく顔を出してない間に、軍の上層部はどうなってるんだ。

 

「そりゃあそうとキリトよ、さっきのは何なんだ?」

 

さっきの、とは十中八九『二刀流』のことだろう。

 

「……言わなきゃダメか?」

「ったりめぇだ!見たことねぇぞあんなの!」

「こんだけの人に見られたんだ。諦めろ。」

「…………エクストラスキルだよ。『二刀流』。」

 

おお……とどよめきの声があがる。

 

「しゅ、出現条件は?」

「わかってりゃ公開してるよ。」

「やっぱユニークスキルか。これで3人目だな。」

「てこたぁ、ソーマと同じで突然スキルウィンドウに出てきたってことか。」

「ああ。さっぱり心当たりがない。」

「俺よりもソロを極めたお前だから、今まで隠し通せたようなもんだな。」

「ネットゲーマーは嫉妬深いからなぁ。俺ぁ人間ができてるからともかく、妬み嫉みはあるだろうな。それに……」

 

キリトに抱きつくアスナを見てニヤついた侍は、数年先に生きている人生の先輩として意味ありげに笑った。

 

「ま、苦労も修行のうちと思って頑張りたまえ、若者よ。」

 

24が言う台詞なのかはさておき、あとはそっとしておいたほうがいいだろう。

 

「ちょっと軍が気になるから、アクティベートは任せていいか?」

「わかった。ソーマもお疲れさん。」

「おう。………さて、今回の軍の行動は流石に目に余るな。戻りながらでいいから、詳しく聞かせてくれ。」

 

軍の連中がそれぞれキリトと風林火山に礼を言ったのを見て、軍の生き残り9人とボス部屋を出る。それぞれ転移結晶を使って軍の本部がある1層へと転移した。

 

さて、軍で一体何が起こってる?シンカーさん?

 

 




本当はもうちょっとあるけど、結構長くなっちゃったんで一旦区切り。
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