いまどきの新入社員は本当にすぐ辞めるのか?
なんだかすごい深刻な感じで報道されたり、会社側のコメントが出るので、気になって調べてみました。
というのも、わたしは辞めること自体は全く問題だと思わないし、昔からすぐ辞めてたけどな、という印象を持っているからです。
1.まずは3年以内退職率の推移を見てみる。
厚生労働省がデータを出してくれているので見てみましょう。
字が小さくてすいません。
これは大卒の辞め率の推移で、入社から3年経過したのは令和3年が最新で、34.9%になっています。
わたしが社会人になったのは1995年だから平成だと7年になります。このときで32.0%ですね。
たしかに3%上がっていますが、過去を見れば平成12年から17年の6年間は今よりもっと高いですから、今が特別悪いわけではありません。
グラフを見ると、景気との連動とかはないものの、就職氷河期の離職率は若干高い傾向がありそうです。
わたしの直感「むかしから変わらないんじゃないの?」は合っていました。
本当にイメージでストーリーをでっち上げるのはやめてほしいですね。
今の若者は甘やかされて育ったから根性がないとか、我慢が足りないんだとか。ゆとり世代はさすがに言わなくなってきましたけど。
彼らも上は37歳になってますから、普通のおじさんおばさんになってます。
若者は昔も今も変わっていませんから。
いい加減学習して欲しいです。
もしかしたら、若者が稀少になり昔より価値が高まっているため、辞められた時のショックが大きいのかもしれません。
若者は何も変わっていないのに、取り巻く大人たちの思い入れが変わっているということです。
2.事業規模や業種による離職率の違いを調べる
厚生労働省のデータはすばらしいです。
ちゃんとあるんです。
まずは事業規模別の離職率
予想通りです。しかも、わたしの予想よりも事業規模別の差が激しい。最大2倍の差がついてます。
おそらく、事業規模が小さい会社の方がブラック率が高いのだろうと思います。
あとは、もっといい会社に仕事が見つかったから辞めるもあるでしょう。
これは、新入社員に限らず、中途社員の離職率を比べても同様の結果が出ると思います。調べていませんが。
次に職種別の離職率
これも予想通りでした。
ブラック企業の比率が高い会社が多そうという印象です。
サービス残業をさせそうだし、土日も働かないといけないだろうし、サービス業は対人の仕事だから性格の向き不向きははっきり出るでしょう。
しかも、離職率上位の業界は人手不足に悩んでいる業界で、給料も比較的低く抑えられています。
労働集約的なところがあり、人をたくさん稼働させると売上につながるビジネスモデルで、どうしても人件費にしわ寄せが行きがちなんです。
単純労働の要素が多めなので、長く務めたからといって給料がどんどん上がることもありません。
単純作業の部分はロボット化、自動化を進めると同時に、外国人労働者を多用していくしかないでしょう。
3.3年以内に辞めるのは悪いことじゃないの?
よくないことだという意見が多いのは分かります。
おそらく、良くないケースと良いケースがあるので、それを分けて考える方がよいと思います。
(1)まずは辞めた方がよいケース
‐ 入社前に聞いてた話と全然違う。嘘つきの会社
もうすぐに辞めてください。世の中から消えてもらった方がよい会社です。
‐ ブラック企業
ブラック企業にがまんして残ってもよいことはあまりありません。
ブラック企業は社員をもののように扱う会社ですね。誰でもいいからとにかくはめ込んでおきたい、社員の成長とかやりがいなど不要と思っている。
それと法律違反をする会社もわたしの中ではブラックです。
給料の遅延とかも噂が出る時点でアウトですね。
わたしは昭和の人間ですから、サービス残業は当たり前、プライベートなどなく会社の先輩、同僚、後輩は家族やサークルの仲間と同じ、という世界で育っていますし、そういうのが大好きです。
狂ったように働いて、心身を病みかねないぎりぎりまで追い込む時期が人生に数年あってもよいという考えです。
ただし強制はしません。聞かれたら個人的な体験として答える程度です。
なので、ブラックかどうかの線引きは、おそらく他の人とは考え方が異なると思います。
‐ あきらかに合わない仕事
若いうちは自分に合う合わないなんて決めてはいけない、3年は石にしがみついでも頑張れという意見があります。
わたしはちょっと違います。
合わないものは合わないし、時間をかけても合わないままということは往々にしてあります。
そういう時は、転職活動をして自分が合いそうだと思う仕事に移る方がいいに決まっています。
ただ、隣の芝は青いという諺があるように、自分のいまいる環境をマイナスに見て、他人がいる環境をプラスに見るバイアスが働きがちだということは常に意識してよく考えてください。
注意するとすればそこだけですね。
‐ よりよい条件の会社が見つかった
給料が良いとか福利厚生がいいとか、会社が大きくて安定しているとか、より成長のチャンスがあるとか、人によってそれぞれでしょう。
あきらかにいい会社に転職できるのであれば、転職すべきでしょう。
3年がまんするなら、より良い環境でがまんしたいですよね。
(2)辞めない方が良いケース
‐ 次の仕事が決まらないうちに辞める
いくら第二新卒扱いで、仕事が見つかりやすいとしても、次の仕事が見つかるまでは今の仕事を我慢して続ける方がよいと思います。
万が一スムーズな転職ができずに空白があくと、よけいに仕事が見つかりにくくなります。
‐ 人間関係が合わないから辞める
特に大企業の場合は、2,3年で人事異動があって人が入れ替わるから、もし仕事は好きなんだけど上司と気が合わない場合、がまんした方がいいでしょう。
職場に意地悪や嫌がらせをする人がいる場合は、上司に相談し、上司が動かなければ人事に相談してください。
たぶんそういう人はすでに問題になっている可能性があり、その人を移動させるかあなたが異動できる可能性があります。
小さい職場で人のシャッフルが期待できない場合は、こっちが精神的におかしくなる前に、急いで転職先を探すのがいいでしょう。
4.退職代行会社ってどうなの?
モームリというサービスがあると報道で知り、ネーミングセンス抜群だなと思いました。
退職代行会社を使うというのは分からなくないし、使った方がよい場合もあるでしょう。
わたしは幸い使おうという場面がなかったですが、学生時代に塾のバイトを辞めるときにあれば使っただろうなとは思いました。
引き止めが本当に面倒臭かったですし、今から考えればかなりの問題行為をされましたからね。
社員というのは会社という組織に比べれば小さい存在で、だから法律で守られているのですが、普通の社員はそういう最低限の法律知識もないですから。
会社側が退職を不当に引き止めるとか、嫌がらせをするのであれば、プロの助けを借りるというのはわたしはフェアだと思っています。
でも女性に面と向かって告白することができないからLINEを送りましたみたいなノリで、退職代行会社を使うのはわたしは反対です。
退職届けを受け付けてもらえないとか、まともにコミュニケーションを取ってくれない場合は、使うべきでしょう。それはブラックな会社ですから、無駄に時間を使う必要はありません。
大事なことは、何事もまずは自分でやってみることです。
折角経験するチャンスを代行会社にまかせるのはもったいなさすぎる。
まずは辞めますと伝えるところまではやってみてほしいですね。
自分が辞めたら残る人が大変だとか、まだ若ければ考える必要はありません。遅かれ早かれ、そういう会社は人が集められずに廃業になります。
一人の社員が頑張ってみたところで、何も変わりはしないのです。
寿命は数年伸びるかもしれませんが、それだけの話です。
それは経営陣の問題であり責任なのです。
少なくとも、若者の責任ではない。
5.まとめ
‐ 若者の離職率は昔も今も変わらない。
‐ むしろ注目すべきは、事業規模と業界における離職率の差で、そこをなんとかしようと努力するべき。世代の問題ではない。
‐ 退職代行サービスは会社側が悪徳な場合は利用するのがフェア。


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