イスラエル、エジプトと赤十字のガザ入り認める 人質の遺体捜索に参加
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イスラエルは26日、パレスチナ・ガザ地区でイスラエル人人質の遺体を捜索するため、エジプトと赤十字国際委員会(ICRC)のチームがガザへ立ち入ることを許可した。人質は、イスラム組織ハマスによる2023年10月7日のイスラエル南部への攻撃で、ガザに連れ去られた。
イスラエル政府によると、エジプトとICRCのチームは、イスラエル国防軍(IDF)が管理するガザ内の撤退ライン「イエローライン」を越えて遺体を捜索することが認められた。
こうした中、イスラエルメディアは26日、ハマスのメンバーも、捜索を支援するため、ICRCチームとともにIDFが管理する地域への立ち入りを許可されたと報じた。
ハマスはすでに、アメリカが仲介した停戦合意の第1段階に基づき、死亡した人質28人のうち15人の遺体をイスラエルに引き渡している。この合意では、すべての遺体の返還が求められている。ハマスは現在、エジプト当局と連携しているとしている。
アメリカのドナルド・トランプ大統領は、「迅速に」遺体を返還しなければ、「この偉大な和平に関与するほかの国々が行動を起こすことになる」とハマスに警告している。
イスラエル政府の報道官は、エジプトのチームがICRCと協力して遺体の捜索を行うことが許可され、「イエローライン」を越えた地域で重機やトラックを使った捜索が行われるだろうと述べた。
「イエローライン」とは、ガザ北部、東部、南部で設定された、停戦合意の第1段階におけるイスラエル軍の撤退ライン。
イスラエルはこれまで、遺体捜索隊などの立ち入りを認めてこなかった。
トランプ氏が仲介したガザ和平案の第1段階は、今月上旬にエジプトのリゾート地シャルム・エル・シェイクで合意に至った。エジプトは、カタールやトルコとともに、この合意に署名した。
エジプトとICRCのガザへの立ち入りが認められたとの知らせは、人質の遺族に歓迎されるとみられる。遺族は遺体が返還され、適切に埋葬されることを望んでいる。
ICRCはすでに、人質の返還に深く関わっている。
ハマスは人質(生存者と死者の両方)を直接IDFには返還しない。ICRC経由でIDFに引き渡している。
しかし、エジプトの捜索チームがガザに入るのは今回が初めて。
イスラエルによる2年以上にわたる激しい空爆で、ガザの最大84%ががれきと化していると、国連は推計している。
ハマスは人質の遺体の収容に最善を尽くしているとしている。ただ、イスラエルによる爆撃で崩壊した建物のがれきの下に埋もれているため、遺体を見つけるのは困難な状況だ。
イスラエル政府の報道官は26日、ハマスは遺体の所在を把握していると主張した。
「ハマスがもっと努力すれば、人質の遺体を収容できるはずだ」と、この報道官は述べた。
トランプ氏は25日、遺体が速やかに返還されなければ、行動を起こすことになると、自分のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」に投稿した。
「一部の遺体は収容が困難だが、ほかの遺体は今すぐ返還できるはずだ。(ハマスは)何らかの理由でそうしていない。おそらく、(ハマスの)武装解除と関係があるのだろう」
トランプ氏はさらに、「今後48時間で彼らが何をするか見てみよう。私は非常に注意深く見ている」と付け加えた。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は26日、トランプ氏の和平計画に基づく停戦を支援するためにガザに展開される国際部隊について、イスラエルが受け入れ可能な外国部隊を決定すると述べた。
「我々は自国の安全を管理している。国際部隊に関しても、イスラエルがどの部隊を受け入れないかを決定すると明確にしてきた。これが我々のやり方であり、今後もそうしていく」と、ネタニヤフ氏は閣議の冒頭で述べた。
アメリカのマルコ・ルビオ国務長官は24日、「多くの国々」が将来的にガザへ派遣される部隊への参加を申し出ているとしつつ、イスラエルが参加国に納得する必要があると付け加えた。
これは、イスラエルがトルコの参加を拒否したとの報道を受けた発言とみられる。
ただ、ハマスとの合意なしにそうした部隊をガザで展開できるかどうかは依然として不透明だ。
IDFは、ハマス率いる武装集団が2023年10月7日にイスラエル南部を襲撃し、約1200人を殺害、251人を人質に取ったことへの対抗として、ガザで軍事作戦を開始した。
それ以来、ガザではイスラエルの攻撃によって少なくとも6万8519人が殺害されたと、ハマス運営のガザ保健当局は発表している。