日本経済がここまで凋落した根本原因

わが国の凋落要因の一つは、円安の進行である。2021年から2025年10月半ばまで、日本円はドルに対して約50%下落した(ドル高・円安)。

世界経済のGDPは米ドルで評価する。ドル建てに換算したわが国の名目GDPの額は目減りした。その間、わが国と米国などの内外の金利差は拡大した。2021年春ごろから世界的にインフレが進行し、2022年春以降、米欧、新興国などで中央銀行は急速に利上げを実施した。

対照的に、わが国は“異次元緩和”と呼ばれた金融緩和策を継続した。根底にあったのは、景気の長期停滞の記憶だろう。1990年初頭の“バブル崩壊”により、わが国は“失われた30年”などと呼ばれる停滞に陥った。

1997年には金融システム不安も発生し、デフレ環境が深刻化した。それ以降、賃金は伸び悩んだ。個人も企業も、そして政府も、リスクテイクを恐れた。経済全体が守りの姿勢に入り、現状維持を優先した。

その結果、中長期的に成長期待の高い分野に、ヒト、モノ、カネの経営資源が回らなくなり、経済運営の効率性を高めることができなかった。景気が持ち直しても利上げは難しい状態が続いた。

目論見は外れ、国民生活は厳しい状況に

2011年11月、アベノミクスが本格始動すると、政府は日銀と協定を結び異次元緩和でデフレ脱却を目指した。物価が上昇しづらい環境下、異次元緩和で円安は加速し、企業業績は“かさ上げ”され、先行きの期待は高まった。

その一方、構造改革はできなかった。“デジタル後進国”ぶり、効率性の悪いコメの流通構造、人手不足の深刻化、AI先端分野での競争力の低さ、そして解雇規制緩和の遅れなどによる名目賃金の上昇ペースの鈍さなどから確認できる。

政治は金融緩和などで目先の景気を支えれば、いずれ経済成長ペースは回復すると考えたのだろう。しかし、個人消費の弱さなどを見る限り、今なお政治家の想定した経済環境は実現していない。