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プロジェクト化する技術

ここまでの連載では、プロジェクトマネジメントのふたつの本質および、プロジェクトを構成する4つの要素を説明してきました。

今後はプロジェクトマネジメントのプラクティスを紹介していく予定なのですが、これらのプラクティスはプロジェクト以外の普段の仕事では使えないものなのでしょうか?

決してそんなことはありません。ただし、これらのプラクティスを効果的に活用するためには、対象が「プロジェクト」の性質を持つ必要があります。

そこでこの記事では、日常の行動を「プロジェクト化」する技術を紹介し、日々の仕事・行動にプロジェクトマネジメントを活かしていくための方法を解説します。


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生活における全ての行動はプロジェクトになる

プロジェクトの定義をおさらいすると、「独自のプロダクト、サービス、所産(※ 何らかの成果)を創造するために実施する、有期性のある業務」というものになります。

この定義に当てはめるならば、ただ散歩するだけでは「成果」が生まれないためプロジェクトとは言い難いです。

とはいえ、ただ散歩することで「気分転換」という成果を得られるとすると、散歩を「気分転換プロジェクト」として捉えることもできそうです。

他にも「知識習得プロジェクト」として読書を捉え、学んだ内容の要約や実践への応用を成果物とすることもできそうです。

このように考えると、日常のさまざまな活動もプロジェクトとして捉えることができそうです。

「プロジェクト化」するために必要なこと

さまざまな活動をプロジェクトとして捉え直す、つまりは「プロジェクト化」していくためには、プロジェクトを構成する4つの要素を満たす必要があります。

具体的には、「目的」「現在地」「戦略」「アクション」のそれぞれを明確にしていくことで、明確なプロジェクトとして捉えられるようになります。

とはいえ、一般的なプロジェクトにおいてもこれらの4つの要素が最初から明確であることはほとんどありません。多くのプロジェクトにおける初期の活動は、これらを明確にしていく作業です。

そのため、まずは「この活動をプロジェクト化していく!」という意識を持つことがスタート地点になります。その上で、これらの要素を明確にしていくことで、プロジェクトとしての輪郭がよりクリアになっていきます。

参考:プロジェクトを構成する要素についてはの詳細は、こちらの記事をご覧ください。

プロジェクト化するメリット

日々の仕事や行動を意識的に「プロジェクト化」することで得られる最大のメリットは、日常の活動に対して体系的なプロジェクトマネジメント手法を活用できるようになることです。

その結果として、ものごとをより確実かつ効率的に前に進めることが可能になります。

[補足:実務ではどこまでプロジェクト化するのか]
普段の仕事においてどこまでプロジェクト化するかはケースバイケースです。というのも、プロジェクト化すること自体にも当然コストがかかるため、「管理コスト > メリット」となってしまうことが多いためです。

そのため、通常はこれらのコストがメリットを上回るケースでのみプロジェクト化することが望ましいです。とはいえ、ポイントを抑えたプロジェクト化であれば慣れれば数分〜数十分程度のコストに収まるため、少し時間がかかりそうなタスクの多くはプロジェクト化するメリットがあると考えています。

プロジェクトマネジメントの練習機会としてのプロジェクト化

「プロジェクト化」していくことには、もうひとつのメリットがあります。それは、「プロジェクトマネジメントの練習機会になる」というものです。

実務でのプロジェクトマネジメントの練習は困難

通常、プロジェクトマネジメントに携われる機会は限定的です。仕事における本格的なプロジェクトは頻繁に発生するものではありません。また、失敗時のリスクが高いことから、実務の場でスキルを磨くには制約が多いのが実情です。

日常活動のプロジェクト化という解決策

そこで使えるのが、日常の活動を「プロジェクト化」していく技術です。

日常の活動は小さなものでしかありませんが、侮ってはいけません。なぜなら、大きく見えるプロジェクトは、結局のところ小さなプロジェクトの集合体でしかないからです。

カレーを作るプロジェクトを例にすれば、「レシピ検討プロジェクト」「食材購入プロジェクト」「調理プロジェクト」といった個別の小さなプロジェクトが組み合わさり、全体の「カレー作りプロジェクト」が成立していることがわかります。

小さなプロジェクトは理想的な練習機会

この視点で考えると、小さなプロジェクトをマネジメントできるスキルこそが、大規模プロジェクトを成功に導く土台となります。さらには、小さなプロジェクトで培った経験と手法を統合・応用することで、複雑な大規模プロジェクトにも対応できるようになるのです。

したがって、「小さなプロジェクトの実践経験数」は、プロジェクトマネジメントスキルの向上において極めて重要な要素となります。

つまり、日常の行動を意識的に「プロジェクト化」していくことは、プロジェクトマネジメントスキルを磨く理想的な練習機会となります。

まとめ

プロジェクトは「大きな特別なもの」だけではありません。これまでお伝えしたように、日々の行動を「プロジェクト化」していくことで、どのような活動もプロジェクトとして捉えることができるようになります。

その結果として、活動の質や効率の改善にもつながりますし、なによりも日々の活動自体を「プロジェクトマネジメントの練習」として捉えることも可能になります。

日常の全てがプロジェクトマネジメント能力を向上させる貴重な学習機会となるのです。


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