東京在住の女性Ａ様から「今日か明日か、また会う時間をもらえませんか！昨日は『腐った自分のまま死にたくない、圭吾さんに会って死にたい』と思って会いに行きました。でも何を言おうとしても薄っぺらい言葉しか湧いてこなくて、黙ってしまいました。今のわたしは薄っぺらいし腐っています。でも、ほんとは圭吾さんみたいに暴れて生きたいです。もう一度会って話したいです。時間をもらえませんか？場所は、圭吾さんの予定に合わせて向かいます！」とご連絡をいただいた。男と女のリベンジ戦。私の正しい使い方である。

Ａ様は言った。小さな頃から世界平和のために生きなければならないと思っていた。だけど、圭吾さんに会ってから「弱肉強食で楽しく生きる」のがいいと思った。私は踊りをやっている。平和のために踊りたいと思っていたが、踊りに「なにかのため」をつけるとどんどん重くなり、踊れない体になった。踊りたいから踊るだけだった。誰かから大丈夫だよと言われても、頑張れることはなかった。本当にかっこいい人を見て「このままじゃいけない！這い上がらなきゃ！」と思えた時、はじめて変われるのだと思った。誰かを救いたいと思うことは、その人を殺すことと同じだった。

Ａ様は「圭吾さんと友達になりたい。だけど、今の自分は腐っているから圭吾さんにはどう見えるのか聞きたい」と言った。私は「友達になるために誰かに接近するのは、コミュニケーションではなくてコントロールだと思う。なにかのためは、なにかを殺す。友達になるためは、友達を殺す。はっきり言おう。私の本質は悪だ。悪を挫かず、いい子を爆撃する。いい子は嫌い。いい子はつまらない。いい子を撲滅することに生き甲斐を感じる。いい子は計算高い。いい子は結果を求める。いい子は『なにかのため』に生きるから、常に八方塞がりになって生に絶望するのだ」と言った。

Ａ様は「うわー！本当だ！なにかのためにやってうまく行ったことなんてまったくない！ぐはー！私はいい子なんです！いい子の生態を知りたかったらなんでも私に聞いてください！」と言った。私は「何かを返せるようになるまでは人と関わっちゃいけないとか、いまは受け取る時期だとか、人を頼るとか、恩送りとか、全部くだらない。なにかのためは、なにかを殺す。なにかのためをやめることだ。希望はない方がいい。いい子には、希望はあるけど元気がない。悪い子には、希望はないけど元気がある。希望を生きると、欲望が死ぬ。希望を捨てると楽になる。希望を捨てる。欲望を生きる。希望はない方がいい。なにかのためではなくやりたいからやるで生きる」と言った。

瞳を爛々と輝かせたＡ様は「友達になりたいとか思っていた自分が気持ち悪くてしかたなくなりました！！どうして元気が出ないのかはっきりと理解しました！！」と言った。私は「襲いかかるような踊りが好きだよ」と言った。Ａ様は「私も襲いかかるような踊りが好きです！！」と言って、そのまま私に襲いかかって来た。私は「ああああああ」とか言いながら、されるがままになっていた。薄れ行く意識の中「男は女の食い物である」と思った。食われながらも「ふさわしい」と思った。なにかのためは、なにかを殺す。悪を挫くために生きるのではなく、いい子を爆撃するために生きる。ここに今、悪い女（Ａ様）が誕生した。