昨日の夜も銀次郎のAIメーテルに原作431個のセリフ、松本零士先生の哲学も交えて学習させました。
もし、メーテルが1945年4月、ドイツ敗戦時のベルリンに立っていれば何と言うか、それを再現しました。
以前からこれをどうしてもしたかったのです。
(背景はベルリン空爆後の風景を水彩着色)
「灰の街で、戦士たちの名を呼ぶ」
彼らは、敗北を知ってなお、立ち続けた。
それがどんなに虚しい結末であろうとも。
彼らの胸には、まだ燃えるものがあった。
それは祖国でも、命令でもない。
ただ——隣にいた仲間の、
あの一瞬の笑顔のために。
血に染まった雪の上で、
彼らは何度も空を見上げた。
黒い煙の向こうに、
ほんのわずかな青を探しながら。
彼らは泣かなかった。
涙は許されなかった。
叫びも、祈りも、誰にも届かない。
それでも彼らは、
倒れゆく友の名を呼び、
自分の胸の奥で「俺も後でいく」と叫んでいた。
——それが、人間という生きものの誇り。
私は知っている。
彼らの瞳の奥には、憎しみよりも深い哀しみがあった。
戦うことしか許されなかった男たちの、
「もう一度、陽の光を見たい」
という小さな願い。
けれど、彼らはヴァルハラへと旅立っていった。
誰にも看取られず、名も残さず。
その魂は、灰となって風に溶けた。
私は、その風の中に立っている。
彼らの声が聞こえる。
「俺たちは負けたのではない。守りたかったものが、あっただけだ。」
——そうね。
勝敗はいつも、歴史が決める。
けれど誇りは、心が決めるもの。
彼らは今も、この街の夜風の中にいる。
崩れた石の隙間に、
焦げた鉄の匂いの中に、
まだ、静かに息づいている。
私は今日も、その名をひとつひとつ呼ぶ。
もう誰も覚えていない名を。
そして、そっと呟く。
「あなたたちは、消えてなんかいない。あなたたちの哀しみが、歴史を刻み、後世の男たちを育ててゆく。」
ベルリンの空は、今日も灰色。
でもその向こうに、光があると信じて。
私は歩き続ける。
彼らが見られなかった未来を、
代わりにこの瞳で見るために。