「7回のうち、5回は不同意」温泉旅行中の「回数」に納得できない20歳女子大生。親しき仲にも同意あり、が常識に【専門家助言】
今月24日、性的な動機により同意を得ずにアスリートを撮影する盗撮行為を性暴力と定義した「三重県性暴力の根絶をめざす条例」が三重県議会本会議にて可決された。今回の決議は福岡・茨城に続く3例目だといい、今後全国的に広がることも予想される。 何となく「間違っているのではないか」と感じてきた性的な言動が、ようやく性暴力として認知されるようになってきた昨今。しかし、人の感情や記憶は一筋縄ではいかず、どのようにフェアに同意を取るかは引き続き課題となりそうだ。 「内閣府男女共同参画局によると、無理やりに性交等をされたことがあると答えた人に対し、加害者との関係を聞いた結果、 『交際相手・元交際相手』が29%、『配偶者・元配偶者』が27%となったそうです」 こう話すのは、危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏。 「夫婦間のDVやカップル間のデートDVの加害・被害については、『まさか自分が』というケースが少なからずあり得ます。 例えば片方は『気持ちが通じている。キスを拒まないからその先もOKなのだろう』と思っても、一方が『本当はイヤだけど雰囲気を壊したくない。相手が不機嫌になったりがっかりしたりする所を見たくない』といった心理から流されてしまう場合もあるでしょう。 ムードも大切かもしれませんが、言葉でコミュニケーションを取り、お互いにきちんと納得した上での行為なのかどうかを確認するのが現代人の常識です」 今回取材に応じてくれたのは、ある地方都市に住む20代のSさん。数年前交際していた男性と、性行為のトラブルで別れた経験を持つ女性だ。 Sさんは20歳当時、交際していた男性と温泉旅行に出かけた。宿泊したのは、「おこもり泊」を推奨する山のリゾートだった。 「おこもりと言うので、温泉・エステ・ご馳走三昧で、お部屋ではのんびりと配信で映画でも観て贅沢な時間を過ごせることを楽しみにしていました。でも、元カレは別のことを楽しみにしていたらしく、そのことで後々トラブルになりました」 とSさん。当時の交際相手は、部屋付きの露天風呂に浸かった回数に匹敵するほどの男女の営みをSさんに求めたという。その回数と同意についてSさんはこう証言した。 「1泊2日の旅行中に合計7回です。最初の2回が連続だっただけでも私にとっては負担で不愉快でした。ただ、少なくとも2回までは嫌な顔をするなどの意思表示はしていなかったので、同意したと思われても仕方ないと思います。 でも、その後も私の意思をはっきりと確認することなく、彼は自分のタイミングで行いました。旅行先でケンカするのが嫌で断り切れなかったのは私の弱さですが、実際の場では雰囲気に流されてしまうものなんだな、ということがわかりました」 回数がかさむごとに不機嫌になったSさんを「せっかく旅行に来たのに」と責め、仲直りを促しながら、さらに行為を重ねたという元カレ。 旅行後、屈辱と不信で相手への憎悪を深めたSさんは別れを切り出し、2人は大モメにモメて泥仕合の末に別れることになった。Sさんは自分のあいまいな言動にも改善の余地があるとも語り、お互いに心から同意することの難しさを伺わせた。 男女ともに、黙っていること=同意でもなければ、1回目がOKだったから2回目もOKではないことを肝に銘じることが重要だ。 【関連記事】「回数と同じくらい許せなかったのが…」20歳女子大生が恐怖した「もう1つの行為」。簡単ではない「性的同意」問題 【取材協力】平塚俊樹:危機管理コンサルタント【聞き手・文・編集】佐原みすず PHOTO:Getty Images【出典】文部科学省:お互いの心と体を 大切にするためにー性暴力のない社会に向けてー内閣府男女共同参画局 男女間における暴力に関する調査 (令和2年度)
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