外国人犯罪、「ファクトはない」のに“対策強化”を求める声… データが示す「実際の検挙件数」は?
外国人による犯罪、実際の数・割合は?
では、実際に、ここ最近の外国人の犯罪がどのように変化をしているのかを法務総合研究所が毎年発行している犯罪白書を元に確認してみよう。 まず、外国人犯罪の数を確認する前に日本人を含め日本で起きている犯罪について認知件数と検挙人員を表している、【図表1】を確認してもらいたい。 認知件数の数値が高まっている2002年(平成14年)をピークとし急激に減少しているのがわかる(なお、認知件数とは捜査機関などが「犯罪があった」と認知する件数であって実際の犯罪の数値を示しているものではない)。 2022〜2023年(令和4年〜令和5年)で再び若干の増加傾向に見えるが、その直前の2020年や2021年がCovid-19パンデミックにより外出を制限する行動規制があったことが要因となって減少したために、その後の日常生活が戻るにつれて通常の数値と戻ったとする見解が多い。 このように直近の数字は少し異なる動きは見せるものの、中長期的に見れば一貫して日本の犯罪は減少しているのがわかる。
犯罪の大多数は日本人によって起こされている
次に、外国人による犯罪傾向を確認してみよう。【図表2】は同じく犯罪白書に掲載されている外国人による刑法犯「検挙件数・検挙人員の推移」である。 先の図では、2003年前後は日本の犯罪全体が増加したように見えていた。同様に今回の図でも、2003年前後の数値を見ると外国人による犯罪が増えているように映るが、実際には外国人を含め日本全体の検挙人員が増えた時期ということである。 外国人による一般刑法犯の検挙人員のピークは2005年で、この年の外国人を含む一般刑法犯検挙人員は38万6955人だが、同年の外国人による刑法犯の検挙人員は1万4786人(来日外国人が8505人、その他外国人が6281人)であり、日本全体の中では3.8%程度であった。 なお、図にも示されているように、いわゆる「外国人の犯罪」と言っても、来日外国人による犯罪と日本に滞在中の外国人(犯罪白書には「その他の外国人」と明記)による犯罪とに分けることができる。 2023年の数字を見ると、来日外国人の検挙人員は5735人、その他の外国人の検挙人員は3991人であり、外国人の一般刑法犯の合計は9726人ということが確認できる。 一方で、先ほどの図で見た日本全体での検挙人員は約18万3269人であることから、全体の中で外国人の一般刑法犯の犯罪は約5%であり、日本で起きている一般刑法犯による犯罪の圧倒的大多数は日本人によって起こされていることがわかる。