最近ツイッターで「俺がモテないのは低身長のせい」と何度も主張する人が話題になっている。それに対して「仮に身長が高くても顔とか金のせいにするだけでしょ」という意見があり、これについてちょっと考えることがあったので書いてみることにする。

　俺が関心があるのは「なぜ顔や金のせいではなくて身長のせいにされるのか。顔や金と身長はどう違うのか」ということだ。　

　顔と身長はどう違うのか

　まず、「客観的な数字で表すことができるかどうか」というところが大きいと思う。いくら自己申告で「俺はブサイクだからモテないんだ」とネット上で主張しても、そんなものは実際に顔を見てみないとなんとも言えない。とはいえツイッターなどでそういう主張をしている人がネット上で顔を晒すなんて普通はないだろうし、仮に顔を見せたとしてもブサイクかどうかなんて人の主観で変わってくるものだろう。「この顔のせいでモテないんだ」と言って見せても「さして悪くもない」だの「普通」だの「私は好きかも」などと言われてスカされてしまったら終わりだ。
　対して身長は数字なので客観的に「〇〇cm」と言うことができる。それに高いだの低いだのと感想を言う事はできるが、「◯◯cm」という事実は変わらないのでそこは議論の対象にならない。
　「顔がブサイクだからモテない」と主張したらその顔は本当にブサイクか否かという前提の部分に話の焦点が移ってしまいがちだが、「身長〇〇cmだからモテない」だったら、少なくともその身長であるという事実を否定されることはないだろう。
　ということで、顔が見えないネット上のテキストメディアでは数字で表現できる身長のほうがモテない理由として主張しやすくなっているのだと思う。

　金と身長はどう違うのか

　しかし金は数字で表せるじゃないということになるのだが、これに関しては「変えることができるかどうか」というところが大きいと思う。
　「金がないからモテないんだ」と主張しても、「だったら年収を上げる努力をしろ」とかお説教をされてしまうか、「こうこうこうしたらいいと思うよ」と具体的なアドバイスをされてしまうのだ。ネット上での愚痴にお説教や具体的なアドバイスをされるなんてたまったものじゃないだろう。
　対して身長は基本的には変わらないので「身長のせいでモテない」と主張しても「身長を伸ばせよ」なんて説教もされないし「こうしたら伸びるよ」なんていらんアドバイスをしてくる人もいない。
　明らかに変えることができないものを変えろと言ってくる人はいないし、変わる努力をする必要もない。
　ということで金よりも身長のほうがネット上では主張がしやすいのではないかと思った。

まとめ

　つまり「客観的な数字で表すことができる」と「努力で変えられない」の２つの特徴があるので顔や金に比べて身長がモテない理由としてひたすら主張されるのではないか、と思ったのでした。
　
　「変えられないものを嘆いても仕方がないじゃないか」と言われてみたらたしかにそうなんだけど、自分にはどうしようもないことで愛されないとしたらやはり理不尽に感じてしまうのではないでしょうか。
　もちろんそれは言っても仕方がないことだと本人もわかっているだろうし、リアルの知人にそんなことは言えないでしょう。
　
　「変えられないことにいつまでもこだわっていないで変えられることから変えていくべき」という現実的で実践的なアドバイスでは救われないものがあるのです。これはもうネット上で吐き出していくしかない。
　
　リアルでは言えない嘆きを吐き出せることはネット上ならではのことではなかろうかと思うのです。
　ということで、ネットでしか言うことができないような場がネット上には残っていてほしいなあ、なんて思うのでした。　終わり。