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第16話

第十五話 隠れていた記憶
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2025/10/24 16:38 更新




それは、まだ別の幼稚園にいた頃のことだった。
年少の秋の話だった。



ヒナタはその時、生きていた。
人形じゃなくて、人間として。



 



 
先生
新しいお友達が来ました!
先生
挨拶お願いします。


スミレ
スミレって言います!!
スミレ
幼稚園、楽しみにしてた!!
  
スミレ
知らないことも多いけど……
スミレ
よろしくね!!!!
 







ほんの少し混じった敬語。
元気で明るく無邪気な笑顔を周りに振りまく。





カナネにそっくりな、女の子だった。





彼女はとても真面目で正直で、
意欲もとても高かった。

先生もクラスメイトも、
みんな夢中になり、仲良くなった。





………いじめっ子の三人を除いて。











スミレ
レイちゃん!ミウちゃん!
サラちゃん!
スミレ
一緒にこっちで遊ぼうよ!!


レイ
気安く呼ばないでよ!!


スミレ
え?

サラ
名前を気安く呼ぶなって言ってんの!
ミウ
せっかくの名前が汚れるじゃん!

スミレ
なんで?
スミレ
名前って、ものじゃないから
汚れないよ!
スミレ
それに!
お家の中だから汚れるのないし!



レイ
コイツ……


スミレ
クレヨン嫌い?そっかぁ!!
スミレ
じゃあ色鉛筆でお絵かきしよ!


サラ
アンタと遊ぶなんて死んでも嫌だし!



スミレ
…………


ミウ
急に黙っちゃった!
やっと静かになったわ〜〜!!

スミレ
死んでもって……

レイ
え?

スミレ
簡単に言っちゃ、ダメだよ。





レイ
ッッ!

レイ
アンタ気持ち悪い!
レイ
嫌い!!


 



レイ
とっとと死ねばいいのに!!























スミレはいつでも笑っていた。

でも、いつから愛想笑いになってたんだろう。
演技になっていたんだろう。
 









カナタ
ヒナタ、速くいこ。
カナタ
お外。

ヒナタ
………
ヒナタ
そう…だナ。





 


巻き込まれたくなくて、
見て見ぬふりをしていた人にはわからない。




 
僕は年少でもゆうろぴあに行っていた。

でも、先生がいなかったから
協力なんてなかったし、

いなかったから、
あの三人もやりたい放題だった。














だから、脱落者も多かった。
気付いたら、
あの三人とスミレと僕とヒナタだけだった。



ヒナタ
明日、うまくいけば外に帰れるナ!
 
カナタ
うん。頑張ろう、ヒナタ。






僕とヒナタは協力して集めていた。



それぞれあと1枚、
明日には外に出れたはずだった。
 

















朝、起きたらもうお昼だった。
ヒナタ
カーナータ!!

カナタ
ん…?あれ……
 
ヒナタ
まだ外じゃないゾ!
ヒナタ
速くいこう!!

カナタ
うん……









スミレ
ねえねえ!
スミレ
いいアトラクション見つけたの!!



スミレ
行こう!



カナタ
えっと……

ヒナタ
いいゾ!!





このとき、ついていかなければ良かった。
ついていかなくても
同じになっていたかもしれないけど。



カナタ
UFOキャッチャー?


スミレ
そう!
スミレ
バツ印の所立ってみてよ!


ヒナタ
うん!いいゾ!







ポンって音がした。
無意識に目をつぶった。

そうしたら、僕はぬいぐるみになって、
UFOキャッチャーの景品になった。











ヒナタ
なにするんダ!!
カナタ
もとに戻せよ!!





スミレ
戻さないよ。だって……
スミレ
二人とも、私のいじめ
見て見ぬふりだったもん。

 
カナタ
……あ……………



スミレ
でも、私は優しいから。
スミレ
ちょっとは相手してあげる。



スミレ
カエルタマゴ〜!
バイバイスロットやる!!


カエルタマゴ
デモ、もう一人は……

スミレ
じゃ、一緒にやろーよ!!



カエルタマゴ
いや、逆らわないようが……
カエルタマゴ
まあ、あの方のお気に入りではあるけど…
 

ヒナタ
……!
ヒナタ
はなせヨ!!
 



ヒナタが叫んだけど、誰も相手しなかった。
最初っから打ち合わせてたみたいだ。


スミレ
じゃあ!私ヒナタ君のやるね!
スミレ
カエルタマゴ、全力でやってよね!


カエルタマゴ
で、デミ……


 
カエルタマゴ
よーい!スタートデミ!


 





スミレ
先行は私だね〜!

 
ヒナタ
何遊んでるんダ!




スミレはヒナタをギリギリかすめる場所に
アームを移動させて、ヒナタじゃない物をとった。



パンダみたいなので
青と白のしましまの角が生えた、
ぬいぐるみだった。


スミレはぬいぐるみを持って言った。


スミレ
助けてくれると思った?
スミレ
でも、結局助からなかったね。


スミレ
2人とも、おんなじことしてたんだよ。
スミレ
助けてくれる。こっち見てくれた。
そう思っても………
スミレ
いつも、明後日の方向を向いて、行っちゃた。


スミレ
だから、2人は何も言えないよね。
スミレ
傍観者って、1番私嫌いなんだ。







カエルタマゴ
次は……デミの番デミ。


カエルタマゴは…ギリギリかすめるを狙ったんだろう。


しかし、なぜか僕はアームに捕まれた。






カナタ
え…?


スミレ
あー外に出ちゃったかぁ……
スミレ
うーん、どうしようかなぁ……



カエルタマゴ
もう1人はカエルタマゴにしちゃうデミ!



そこで、ヒナタは卵になって……喰われた。






カナタ
ヒナタ…?
カナタ
ヒナタ……ヒナ…ヒナタ!!!!!!





カナタ
なんて事するんだよ!

スミレ
なんてこと…?
スミレ
それはカエルタマゴに言ってほしいな。
スミレ
間違ったのはカエルタマゴだよ。



カナタ
あの三人も…おんなじように…!?

スミレ
うん!とは言ってもここじゃなくて
別のアトラクションだけどね!
スミレ
シアターのあれで、騙したんだ。

スミレ
葉っぱは手に入ったけど、わざと渡さないでね!






カナタ
ひどい!ひどい!!
カナタ
ヒナタを返せ!!

スミレ
だから私に言わないでって。
スミレ
ほーら。代わりにこれあげる。






スミレはぬいぐるみを渡してきた。


カナタ
いら……
『カナタ!!』




突如、ぬいぐるみからヒナタの声がした。




そこで、僕は感じたんだ。
ヒナタがぬいぐるみに入ったって。








ヒナタみたいに、他の子に構っちゃダメなんだ。
僕はもう…………































ヒナタさえいればいい。






スミレ
え!?なんで奪うの!!
スミレ
そのメダルはあなたのものじゃない!!





本能的に、スミレの持った報酬を奪った。




走って、走って、走って、走った。
木のところまでいって、20枚のメダルを入れた。
うろは光ってゲートになった。



残りのメダル捨てた。



ひたすら人形のヒナタの手を掴んで走った。



カナタ
そのあと、ゆうろぴあの扉から出たら記憶を失った。
カナタ
記憶喪失が影響かな、ここに転園してきたんだ。

カナタ
でも、ただこの人形にヒナタがいるってこと自体は覚えていた。




カナタ
これで、僕の話はおしまい。




マドカ
大変だったんですね、カナタ。
マドカ
記憶喪失……ですか。


カナタ
僕さ、ここに入ってから
ヒナタの声が聞こえなくなったんだよね。
カナタ
カエルタマゴの言葉とか状況とか感とかで
考えた憶測だけど………

カナタ
脱落した人は、カエルタマゴになるんだと思う。


カナタ
僕がここに入る前に見かけたカエルタマゴ、
あれ色的にもヒナタだと思うんだ。
カナタ
ヒナタが何かを念じて人形の中に入っていた場合だと、
カエルタマゴのヒナタは僕を呼んでいる。
カナタ
……気がする。


マドカ
じゃあ、ダイゴロウは助けられるってことですか…?

カナタ
わかんないけど…多分…?



マドカ
全く、はやく言ってくださいよ〜

カナタ
いや今気づいたんだって…







マドカ
カナネと同じ容姿だったスミレって子……
マドカ
カナネって…なんなんでしょうか




カナタ
わかんない……でも、
カナタ
とりあえず、わかったことはみんなに言わないと。



マドカ
そうですね。







マドカ
きっともうちょっとで、終わりますから。



こんにちは!
自己記録更新の最高の長さを書いた
作者のシフォンです!
本文2464文字です!!
ちょー長かった!!
(学級閉鎖でオンライン授業だったから、
 休み時間にちまちまかいてました!)
この過去、無茶苦茶頑張って考えたんですよ!
カナタの性格とか行動とか、
不思議な言動、見たもの全部が繋がるんですよ!
だいたいですけど!
スミレとカナネについては、
次回以降もっと出てきますのでお楽しみに!
ゆうろぴあの謎もまだまだ明かされてないのもあります!
今後の展開にどうぞご期待を!!
え〜あと……お詫びなのですが…
全キャラ書くの…無理そうです………
本当にごめんなさい!!
これから出なかったキャラは全員生存ですので!!
みなさんのご想像にお任せします!!
本当にごめんなさい!!
見てくださりありがとうございました!
次回もお楽しみに〜

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