日本版“女性トランプ”の出現:高市早苗は、安倍2.0以降の日本の民主主義にとって最悪のニュース
90年代に『ヒトラー選挙戦略』をヨイショ、総務相としてテレビ局を脅し、根拠なく「外国人ばかりが奈良の鹿を虐待」と言い、挙句に神さまに語りかける。麻生太郎元総理の策略で、青いドレスを着た安倍晋三氏の亡霊が総理大臣になる日が最悪。
はじめまして。僕は1993年から日本で記者をしています。最初の仕事は保守系の読売新聞で、12年間働いて2005年依願退職しました。米国務省関連機関でも働いたこともあります。2009年から何冊か本も出しました。たぶん一番知られているのは『Tokyo Vice(トーキョー・バイス)』トウキョウ・バイス: アメリカ人記者の警察回り体験記 ――日本の警察担当記者としての経験をもとに書いたもので、ドラマにもなりました。
日本が大好きで、子どもたちもハーフです。ずっと日本の政治とヤクザの取材を続けてきましたが、ときどき、特に自民党を見ていると、「ヤクザとそう変わらないな」と感じることがあります。党の成り立ちを知っていれば、それも納得できる話です。
今回書いたのは、僕がもともと英語で書いた記事の「翻訳」ではなく、同じ資料をもとにした書き直し版です。できるだけリンクや出典も付けましたが、完璧ではありません。もし誤字や間違いを見つけたら、教えてもらえると助かります。いまはスタッフも僕ひとりだけ。世界最大の新聞社の一つで働いていた頃に比べると、だいぶ地味な日々です。いまは僕とパートナーの二人三脚です。
安倍晋三氏と高市早苗氏の政治キャリアは、もう10年以上追いかけています。そのうえで断言しますが、今回の「裏口的な」首相就任は、日本という国にも民主主義にも、良い結果をもたらさないと思います。
あと、日本の右派の人たちから必ず言われることですが、「エーデルスタイン」というのはユダヤ系ドイツ人の名前です。でも、僕自身は特定の宗教に深い信仰があるわけではなく、実はごく下っ端の禅僧でもあります。とはいえ、どんな宗教にも価値があると思っています。ダライ・ラマも言っていましたよね、「親切こそが私の宗教だ」と。たぶん、それが人類共通の宗教になるべきなんだと思います。
それに比べて、次の首相になりそうな人は「神々から直接話しかけられている」と感じているようで……それはちょっと怖い話ですよね。なお、記事中は敬称省略しました。呼び捨てのつもりはないです。
日本版“女性トランプ”の出現:高市早苗は、安倍2.0以降の日本の民主主義にとって最悪のニュース
90年代に『ヒトラー選挙戦略』をヨイショ、総務相としてテレビ局を脅し、根拠なく「外国人が奈良の鹿を虐待」と言い、挙句に神さまに語りかける―― #InsaneSanae
[出典:『ヒトラー選挙戦略』推薦問題(LITERA)本と雑誌のニュースサイト/リテラ]
by ジェイク・エーデルスタイン
日本は“歴史的瞬間”を迎えた――でも、誰も額に入れて飾りたい種類の歴史じゃない。ついにガラスの天井を破ったと思ったら、それが棺桶のフタだった、みたいな話だ。もし、子犬を撃つICE礼賛の極右・クリスティ・ノームが「女だから」という理由だけで大統領にふさわしいという理屈に頷けるなら、まあ“前進”かもしれないが。高市は90年代に『ヒトラー選挙戦略』を持ち上げ、総務相時代にはテレビ局に圧力をかけ、証拠もないまま「奈良のシカを、足で蹴り上げるとんでもない人がいます。殴って怖がらせる人がいます。外国から観光に来て、日本人が大切にしているものをわざと傷めつけようとする人がいるとすれば、何かが行き過ぎている」と言い放った。彼女の街頭トークは、JD・ヴァンスの「猫や犬を食ってる」っていう差別デマの日本版――「やつらは鹿を殴って蹴ってる!」。中身は安倍流の権威主義に新鮮な排外主義をトッピング。要は“ファシスト・コスプレ”で日本初の女性首相の座を取りに来ている。
[出典:奈良の鹿“外国人虐待”発言(しんぶん赤旗/日刊ゲンダイ)認定NPO法人 ヒューマンライツ・ナウ Human Rights Now+1]
極右の排外主義者――通称「クレイジー早苗 (#InsaneSanae #Insanae)」こと高市早苗は、自民党総裁選の街頭で、トランプとJD・ヴァンスが移民ヘイトを煽るために使った「猫と犬を食ってる」デマの焼き直しをかました。彼女版は「(外人が)奈良公園の鹿を殴って蹴っている」。日刊ゲンダイほかが即ツッコミ、「それ嘘だろ」と。奈良側も“日常的にそんな暴力は確認していない”と冷静。
[出典:日刊ゲンダイ/日本テレビの現地検証報道の波紋(香港am730)The Japan Times+1]
で、高市が自民党のトップにまで這い上がったということは、首相になるのはほぼ確。歴史が何かを教えてくれるなら、これから始まるのは“整形級の化粧直し”。患者(民主主義)は別人のようになり、執刀医(権力者)は口笛吹きつつ銀行へ――そんな結末だろう。
「嘘つきアベ (#DishonestAbe)」改め“虚言マスター”の霊は生きている
これが新時代の幕開けだなんて、白々しいことは言わないでおこう。高市は独裁ポピュリズムの開拓者じゃない。古い手口に新しい口紅を塗り直してるだけだ。
ゴースト・イン・ザ・ニュースルーム:安倍の日本は、どう“トランプの教科書”になったのか
アメリカにトランプが出る前から、日本には“トランプ”がいた。名は安倍晋三。2014~15年、戦犯の孫にして自民党のドンは、大手メディアを手なずけ、批判報道には容赦なくお仕置き――そのやり口が、今や海の向こうで反響している。
高市は、そんな安倍の“霊”を呼び出す霊媒みたいなもの。90年代、雑誌広告で『ヒトラー選挙戦略(ヒトラーの手法を「強い指導力」の教材にする代物)」を推し、「非常時には敵を緊急措置で一掃」みたいなノリを礼賛する本に、ノリノリで寄せ書き。読んだだけじゃない、たぶん蛍光ペンでラインまで引いた。
[出典:『ヒトラー選挙戦略』推薦問題(LITERA)本と雑誌のニュースサイト/リテラ]
記者に「ナチ推し広告の件どうよ?」と問われると、側近は政治家お決まりの二段ステップ――「記憶にございません」。スワスチカのタトゥーを「入れた覚えがない」と言うのと同レベル。理屈の上ではあり得ても、信じる方が無理。
“青いドレスのブレンダン・カー”
言論の自由での“実績”は、ドナルド・トランプを「修正第一条の守護者」に見せるレベル。総務相時代、高市は「政治的に偏った番組を流し続けるなら、電波停止も命じることは可能」と国会で明言。脚本は同じ、字幕が日本語になっただけ。トランプのFCCコミッショナー、ブレンダン・カーが教科書を書いた気でいるかもしれないが、彼女はもう舞台で演っていた。
[出典:Japan Times(2016/2/9)「政府は“政治的偏向”あれば停波命令可能」The Japan Times]
その結果、NHKは“公共放送”から“アベTV”気味の官製エコーチェンバーへ。報道の自由度は、2010年の世界11位から、2016年には72位に大転落。ベテランの国谷裕子や古舘伊知郎のように“都合の悪い質問”をするキャスターは、気づけば番組から消えていった。安倍時代の日本では、真実は延焼リスクとして捉え、高市は消火器担当――そんな空気だった。
[出典:RSF 2010(日本11位)/2016(72位)と各紙解説Reporters Without Borders+2Nippon+2]
これ、権力掌握の“のぼり坂”じゃない。ファイナルアクトだ。安倍が壊した機械――すぐ怯むメディア、数字をコネる官僚、疲弊して抗議しない大衆――を、そのまま引き継ぐのが高市。彼女のナショナリズムは、リーダーシップというより降霊術。古い亡霊で生きてる人間を脅すやつ。
排外主義という必勝パフォーマンス
真価(悪い意味で)が出るのはここ。最近の街頭は犬笛の交響曲。ソロパートは「奈良の神鹿を外人が蹴ってる」。本人いわく「自分なりに確認した」とのことだが、そういうのは大抵Facebookの怪動画。現場を歩く奈良側は「そんな日常的な暴力は確認できていない」とクールに否定。でも、事実なんて関係ない。鹿ネタは“エサ”、群衆はキレイに食いついた。
[出典:「自分なりに確認」発言報道、JCP・日刊ゲンダイの批判等認定NPO法人 ヒューマンライツ・ナウ Human Rights Now+1]
日刊ゲンダイは「露骨な排外主義の扇動」と断じ、野党も追及。でもそれが狙い。k極右の政治家がわかっている。一般人に「外が怖い社会」と思い込ませたら、内側で誰がカネと自由を盗んでるかに気づかない。
高市は安倍を神棚に上げ、トランプ式の“外人こわいね”で支持層を煽る。「鹿を殴る蹴る」だけじゃなく、総務相時代は“停波”カードでメディアを締め上げた。青いドレスのブレンダン・カー、ここに爆誕。
[出典:停波発言(Japan Times)The Japan Times]
経済オンチと国粋幻想の合体事故
彼女の経済策はアベノミクス焼き直し。市場はふくらませ、賃金はしぼませ、誰も米の値段をチェックしないと信じる手品。通貨は相変わらず息切れ。処方箋は“もっと同じこと”。ノコギリ芸で同じ人を毎回真っ二つにして「今度は違う結末」と言い張るマジシャンみたいなもんだ。
で、これを“愛国”で包む。靖国参拝でA級戦犯に手を合わせ、「誤解された愛国者」扱い。参拝は追悼じゃない、過去を“神前リライト”する儀式だ。皇室は1978年のA級合祀以降、参拝を避けているのに。
[出典:天皇が靖国参拝を避けてきた経緯(日本経済新聞報道を踏まえた各紙)The Japan Times]
政治家の“都合のいい健忘症”は忘れる話じゃない。何を覚えるかの意図的だ。高市は、南京、慰安婦、731部隊の人体実験――見たくないものは脇に置き、顎を少し上げ、「自分の言ってることの方が真実」とでも言いたげな表情で歴史を塗り替える。だけど過去と歴史ってのは、呼んでなくても結婚式に乱入してくる元カレみたいなもの。うまいトークで眠らせた気になっても、幽霊は勝手に起きてくる。
彼女の周りは、憲法9条改憲、天皇の神格回復(もどき)、言われたら戦地へGOの“従順な日本”を夢見る面々。選挙の段取りを付けてくれた麻生太郎は、かつて「ワイマール憲法は誰にも気づかれないうちにナチス憲法に変えられた。なぜ、そのやり方を学ばないのか」と口を滑らせた御仁だ。笑えないけど、こっちは創作じゃない。
[出典:麻生太郎の「ナチスに学べ」発言(Japan Times等)]
参政党という“同じ羽根の群れ”
極右の参政党と仲良くしてるのを見れば、彼女の腹の中はだいたい分かる。プラウドボーイズの和製版、って言ったら言い過ぎかもしれないが、陰謀好きで演出過多、現実アレルギーの党綱領は、民主主義の死亡診断書みたいなもん。彼らと組むのは、票目当てじゃなく“血が合う”からだ。
彼らは「移民が侵略」系の怪情報をばら撒き、各省の国際プログラムにまで悪影響。高市がそこに寄っていくのは、戦略というより同族意識。見ている夢も、求める“純度”も、外部者への嫌悪も、全部おそろい。
トランプ流“オーソリタリアン・プレイブック”完コピ
似てるのは偶然じゃない。振付だ。失敗に国旗を巻いて、報道を悪者にして、神の名をチラつかせる。高市はトランプとの“ウマが合う”話を自慢し、「ファースト」哲学で握手。ポピュリズムは群れる。
数字の捏造もスムーズ。彼女の巨大嘘の中「検察は通訳不足で外国人を起訴できない」なんて話、昼までにファクトチェックで剥がされた。それでもいい。正確さは不要。物語の戦だ。恐怖はいつだって値崩れしない通貨だから。
[出典:「通訳不足で不起訴」発言と検証(北海道新聞・AP概説)北海道新聞デジタル+1]
神がかり政治の“神喜劇”
“神の声”がどうこうって話、スピリチュアルな煙たい感じがする? でも現実はもっとねっとりしてる。高市は政策を“祭祀”みたいに演出し、参拝・祈り・記念撮影を一体化。靖国参拝は静かな追悼ではなく、政治的威儀をまとったフォトセッション。神々がメモを取ってる前提のふるまいで、演説は祝詞(のりと)みたいなリズムさえ帯びる。怖いのは、彼女が本当に“神の助言”で経済政策を決められると信じているかもしれないことだ。
[出典:靖国参拝の政治性(各紙・通信社の解説)AP News]
統一教会の“侍女”
東京新聞は、高市と統一教会(現・世界平和統一家庭連合)のつながりを掘ってきた。教会は韓国発のカルトまがい宗教で、日本では“霊感商法”と過剰献金で家庭を壊し、政治にも深く食い込んできたことで悪名が高い。自民党には、この“気味の悪い盟約”の受益者がごろごろ。
[出典:統一教会と自民の関係(毎日新聞社説 2022/8/11 ほか)
高市は、安倍の教会ズブズブ問題を一度も批判しなかった。2019~21年に教会関連イベントに関与していたことも、取材で“バレて”から事務所が渋々認めた――と報じられている。言い訳はいつも同じ。「主催団体は把握していなかった」「家族の価値観を語っただけ」。だが“家族の価値観”は、教会が昔から使うマジックワード――家父長制、政治服従、反LGBTQ。実際、高市はLGBT差別禁止法にも冷淡だ。
[出典:UC問題の一連報道(AP/Japan Times等の概説記事)Spectrum Local News]
彼女の政治哲学は、その世界観とピッタリ重なる。夫婦別姓に反対、9条改憲に前のめり、「伝統的道徳」回帰――70年代の教会パンフから拾ってきたようなワードが並ぶ。「精神の復興」とか言い出したら、それは演説というより説教だ。
最近も教会トップの汚職での逮捕が韓国で話題になったが、日本側も“握手写真とカネの流れ”をメディアが追い続けている。岸田政権の複数閣僚――高市含む――がイベント出席や選挙支援を受けたと報じられ、被害者団体は調査を求める。
彼女は数年連続で教会関連のイベントに参加しており、「家族の価値観を支持していただけ」と釈明。 だがその「家族の価値観」とは家父長的な支配や反LGBTQ運動を意味することが多い。 彼女の政治姿勢は、夫婦別姓反対、憲法改正、伝統的道徳回帰など、まるで1970年代の統一教会のパンフレットから抜け出したような内容だ。 最終的に彼女が首相になれば、それはガラスの天井を破ることではなく、統一教会という古びた大聖堂のステンドグラスを割ることになるだろう。
日本の民主主義は瀕死状態?
高市はその古びた政治機械を引き継ぎ、彼女のナショナリズムは生きた屍をよみがえらせる呪術でしかない。 彼女はかつての「ヒトラー選挙戦略」推薦者であり、安倍の霊媒師であり、トランプの筆まめであり、経済の知識はせいぜい占いのクッキー程度。 彼女が握る権力は東アジアの民主主義にとって大きな脅威だ。 日本初の女性首相は進歩の象徴ではなく、民主主義の葬儀係のようだ。 奈良の鹿は無事かもしれないが、日本の民主主義は足をひきずり、そしてその叩き棒を持つ彼女こそが最も危険な存在なのだ。 安倍もカルト集団と踊って足元を掬われたことに気づくのが遅かったが、歴史は領収書を持ち続けている。 神々の声を聞いていると思うなら、後ろからの惨敗の足音にも耳をすませた方がいいだろう。過去と歴史から学べない人は失敗を繰り返すだけだ。高市は安倍と同様にそもそも歴史を直視できない極右の人間なので、絶望的だ。
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