トータス旅行記52 悲しき獣たち
ヴァンドゥルさんに思いがけない風評被害が発生し、ミュウに人外共の聖母になり得る資質があることを知った後のこと。
「うん、美味しい。温まるなぁ」
「ユエちゃん、また腕を上げたかしら?」
「……んっふぅ。恐縮です。お義父様、お義母様」
一向はリビングルームに戻っていた。軽食と入れ直された紅茶に舌鼓を打ちつつソファーでしばしの休息を味わう。
愁と菫の言葉に、ユエが得意げに小さなお鼻をぷくぷくさせつつドヤ顔になると、シアも感心したように口を開いた。
「紅茶を入れるのだけは、ユエさんってばまともなんですよねぇ」
「……待って、シア。まともって何? 評価基準がおかしいんだけど。上手とか、美味しいでよくない?」
「なぜ料理だけゲテモノにせずにはいられんのじゃろうなぁ。ユエよ、お主、何かに呪われでもしているのではないか?」
「……んんっ。好き勝手言ってっ」
素直に褒められないの!? と頬を膨らませるユエ。香織が苦笑しつつ言う。
「そういう血筋だったり? ほら、吸血鬼だし」
「まさか……王族だから料理経験がないって言うだけじゃなくて、血しか摂ってこなかった弊害とか?」
「……香織も雫も吸血鬼族をなんだと思ってる。普段は普通の食事だった。お父様――ディン叔父様は旅も料理もする人だったし」
「まぁ、そうなんですか? 王族ですのに珍しいですね?」
リリアーナが驚いた表情になる。
リリアーナもまた王女なので料理経験はなく、王都を出たのも脱出やら外交やらと緊急性や必要性に迫られた結果ばかりで純粋な旅は未経験。そもそも、王族ともなれば自由な旅など許されない身分なのだから驚くのも当然だ。
「……ん。旅路で食べるような手軽なものばかりだったけど、私はディン叔父様が作ってくれるそれが好きだった。何かの記念日や誕生日にはおねだりして作ってもらってた」
「まぁ、一国の宰相でありながら生成魔法も変成魔法も会得した人だし、旅慣れはしてたんだろうな。で、美味かったのか?」
懐かしそうなユエの頭を優しく撫でつつ、ハジメもまた優しい表情で尋ねる。
すると、ユエの表情は途端に困った表情に。
「……大変、とても、困ったことに…………まずかった」
「いや不味かったんかい」
「……ん。でも、ディン叔父様自身は〝割といける〟と思ってたみたい」
「なるほどなの。ユエお姉ちゃんの危ないお料理はディンおじさんから受け継いだものということなの!」
「違うが!?」
犯人を見つけた探偵のようにビシッと指をさすミュウに、ユエは反射的に返した。叔父様と一緒にしないで! と。
実は遥か過去、同じようなやり取りの末、溺愛する姪っ子に直接そう言われたディンおじさんは、ちょっぴり涙目になっていたりする。
愛子とレミアが苦笑を浮かべながらフォローを入れた。
「ま、まぁ、確かにユエさんの味覚は普通ですしね。料理への創作的感性が常軌を逸しているだけで」
「どうして作る時だけ余計なことをするんでしょうね? レシピというものに、何か恨みでもあるのでしょうか?」
まったくフォローになってなかった。
「……え? なに? 愛子とレミアまで。どうして私、休憩中に皆からディスられてるの? ユエさん、何かした?」
普段の行いのせいといえばそれまでだが、唐突な酷評の嵐にユエさん、ちょっぴり涙目。
拗ねてしまったのか、もぞもぞとお尻を動かしてハジメにぴったりと寄り添うと、その腕を自分の首筋に巻き付けるようにしながら胸元に顔を埋めてしまう。
それがなんだかおかしくて、かわいくて、場の雰囲気がほのぼのする。
実のところ、愁や菫など親達は自覚なき精神的疲労がたまっていた。子供達の精神的試練の見学というのは、なんだかんだで堪えるものがあったのだ。
温かで豊潤な香りの紅茶と美味しい軽食、それに子供達の明るいやりとりに柔らかな雰囲気で目を細めているのが、その証拠だろう。これまた自覚はないだろうが、普段以上にほっと安らいだ表情になっている。
もっとも、八重樫家だけは少しばかり上の空な感じが否めなかった。
ミュウの所業(?)と氷竜ゴーレムのカミングアウトに度肝を抜かれていたものの、やはり最後の見学は相応に堪えていたらしい。
見てきた教え子の過去を思い返し、静かに心の整理をしている様子が手に取るように分かった。
それからしばらくの談笑の後、一杯目の紅茶がなくなって何人かがおかわりを入れる頃合い。
「お爺ちゃん。お父さんにお母さんも……どうだった?」
鷲三達の雰囲気の変化を見て取って、雫が穏やかな声音で尋ねる。心の整理を終えたと見たのだ。
「そうさなぁ」
鷲三が眉を八の字にして、深い溜息を吐いた。そして、
「お爺ちゃん、もう忍者やめる」
「エッ!?」
乾いた笑みを浮かべながら、死んだ目でそう言った。これには雫もびっくり仰天。
「忍者って認めるのね!!」
「違うよ、雫ちゃん。そこじゃない」
香織のツッコミに激しく同意する面々。裏の顔をやめたくなるほど自責の念に駆られているということでしょ、と。そこまで裏の顔を認めさせたいのか、と少々呆れ顔になっている。
虎一と霧乃が、どこか疲れた様子で首を振った。
「まぁ、それは流石に冗談だが、それくらい堪えたということだ」
「ねぇ、お父さん。冗談ってどっちの意味なの? やめる方? それとも忍者であること?」
「雫ちゃんはちょっと静かにしてようね?」
香織が雫のポニテを強制的に顔面へ巻き付けた。繭化ガードだけでなく自縄自縛にも使えたようだ。もごもごしている雫を、更に羽交い締めにしている。
「あの子の内面のことだから、試練の具体的な内容は伏せるけれどね……」
何事もなかったみたいに霧乃が言葉を重ねた。
「どうしてこうなってしまったのかしらって、やりきれない気持ちなのが正直なところよ。小さい頃から良く知る子だから……誰に対しても申し訳なくて。ハジメ君にも、雫や香織ちゃん達にも、そして光輝君自身に対しても、ね」
八重樫流にとって、一門の者は家族も同然だ。剣術道場の単なる先生と生徒と割り切ることはできない。
まして、光輝の母は学生時代からの付き合い。預けられた子の堕ちた姿、そして凶行には、大迷宮の作用が強烈に働いていたとはいえ、一指導者としても、慕われていた身近な大人としても忸怩たるものがあった。
加えて、負い目も。何せ、光輝は確かにハジメを殺す気だったのだ。しかも、ハジメは娘達に配慮して、そんな光輝を生かしている。感謝と申し訳なさで心中は満杯状態だ。
「試練の間でも散々、感謝と謝罪の言葉を貰いましたが、本当にもういいですからね? 言い方は悪いですが……俺にとって、あいつは当時も今も気にするほどの相手ではないんで」
あえて、薄情を感じさせるくらい突き放した言い方をするハジメ。良くも悪くも、気にするに値する存在ですらないのだ、と。
親しい相手にならオブラートに包むようなことも、今ははっきりと口にする。鷲三達がハジメに抱いた負い目に対する気遣いだ。
その意図を正確に読み取り、鷲三は苦笑しつつ頷いた。
「……確かに歯牙にもかけていなかったが、そういう問題ではない。曲がりなりにも指導者の一人なのだ。光輝があのような有様に陥ったことは、〝いつかは〟と楽観し、先延ばしにした我々の怠慢でもあるのだから」
「いつかは? どういう意味です?」
「……光輝はな、優秀すぎたのだ。理想論をまかり通せるほどに」
言葉の断片から、試練の間で何があったのかなんとなく察しつつも詳細を尋ねることなく耳を傾ける愁や菫達。
霧乃と虎一もまた静かな雰囲気で語る。
「美耶と聖治君――光輝君の両親も、何一つ失敗しない息子を心配してはいたのよ?」
本気でやればなんだってできる。自分の選択に間違いはない。
さして苦労せずとも取り組んだことは全て成功し、思い通りになってきた光輝が、次第にそう思うようになったのは無理からぬことだったろう。
両親や鷲三達の忠告も、成功例しか知らないのだから実感など持てず、無自覚に聞き流してしまっていた。
「とはいえ、我々もそんな光輝の在り方を深刻に受け止めていたわけはない。子供が正しくあろうとし、前を向いて進むことは良いことなのだから。いつかは必ず光輝も失敗を経験する。優秀故に人より少し遅いだけ。そう思っていたのだがな……」
虎一が頭を抱える。まさか、社会に出ればいつかはと思っていたことが、異世界召喚なんて想像の埒外にあるような出来事に取って代わられるとは。しかも、最悪の形で表出するとは思いもしなかった、と。
冗談めかした微笑を浮かべて、霧乃の視線が香織と雫を見やった。
「美耶なんかはね? 雫か香織ちゃんにさっさと告白すればいいのにって言ってたのよ。どうせ盛大に振られるだろうから、良い経験になるでしょって」
「「え? そうなの!?」」
悪戯っぽく、昔、晩酌の席で光輝の母親が吐露した内心を暴露する霧乃。
かつては〝学校なんざ知らねぇ! 大人も世間も敵だぁ!〟と、金属バット一本を背負って全国制覇なんてことをしていた青春特攻少女だった美耶お母さんからすれば、失敗や迷走、苦悩というものは、より良い人生を歩むために必要不可欠な要素、というのが持論だ。
だからこそ、その経験が中々できない息子の優秀さは、誇らしくもあるが心配の種でもあった。霧乃とは学生時代からの付き合いであるから、よく光輝のことで絡み酒しつつ相談していたらしい。
「そうなのよ? 美耶は確信していたみたいね。雫も香織ちゃんも現状では脈なしって」
「当然だ。いくら光輝君と言えど、うちの天使が簡単になびくわけがない。だいたい、常々思っていたんだ。いくら幼馴染みとはいえ、龍太郎君も含めて男子なんぞと行動を共にすることが少しばかり多過ぎやしないかと――」
「はいはい、あなたは少し黙っていましょうね」
智一は奥さんに首をきゅっとされて落ちた。ペチッとはたかれて直ぐに目を覚ます。なんて手慣れた気絶と覚醒。「ごめんよ、薫子。少し興奮してしまった」「いいのよ、あなた」なんて、まるで日常的に行われているかのようなやり取りに恐怖を覚える。なので、何事もなかったように話を進める。
「まぁ、実際、告白されても受ける気なんてなかったわね」
「私はそもそも、そんなこと考えたこともなかったなぁ……。小学生の時は、むしろ私、雫ちゃんに夢中だったし……」
「「「あらぁ~」」」
ユエ、シア、リリアーナの声がハモる。ニヤニヤ。百合の花の咲き誇る光景が見えますわよ! 雫が頬を染めてテレテレするのでなおさら!
「中学に上がってからは、土下座するハジメ君に心を奪われてたし……」
「改めて聞くと、香織。お前、ちょっとあれだな」
「あれって何!?」
間違いない。香織ちゃんはちょっとあれだ。こう、言葉にしづらいが、普通の人生なんて真っ平ごめんだぜ! と言わんばかりに、たとえ異世界召喚されてなくても人生における選択がだいたい波瀾万丈コースだったんじゃなかろうか、という。
雫には光輝を恋愛対象に見られなくなった明確な経緯があるが、普通は全方位に才能があってイケメンな男の子がいれば多少は意識するものだろう。
なのに、初めてときめいたのが土下座する平凡な男子……
いや、町中で堂々と百点満点な土下座をする男子を平凡と呼んでいいかは議論の余地があるが、何はともあれ、当時の光輝とハジメを比べると普通は前者を意識するだろう。
それとも無意識に、光輝の抱える地雷を読み取っていたのか……
「そういえば、美耶さん、以前に家に来てくれたのよ。光輝くんが自主退学する少し前くらいだったかしら。改めてお礼と謝罪をしたいって旦那さんと一緒に」
「表向きは息子を連れ帰ってくれたことへの感謝と、光輝君から話を聞いたみたいでハジメに迷惑をかけたから謝罪を、ということだったけど……」
菫と愁が顔を見合わせる。
当時は、天之河夫妻があまりに深々と頭を下げたものだから、愁も菫も、それはそれは慌てて頭を上げさせたのだ。
だから気が付かなかったが、今思えばもしかすると、光輝が否応なく強烈に意識せざるを得ない〝ままならない現実〟に、意図せずとはいえハジメがなってくれたことへの礼も含まれていたのではないか。
考えすぎかもしれないが、今の話を聞いて二人はなんとなくそう思った。
「これは、無事に子供達が帰ってきてくれた後のことだけど……美耶が言っていたのよね」
霧乃が思い出すように宙を見つめて言う。
「物語の王道では、主人公は悲劇を経て成長する。失敗知らずで、希望に満ちあふれている勇者なんて、いかにもじゃない?って」
ただの妄想に過ぎない。だが、異世界召喚なんてファンタジーが現実に起きたのだ。だとしたら、光輝の身にも同じような王道が訪れていたかもしれないと、悪い想像をしてしまうのも仕方のないことかもしれない。
何より恐ろしいのは、それが光輝の理想に身近な人が巻き込まれる形で起きること。悲劇とは、往々にして大切な人を亡くすことだから。
昭子が不意に寒気を感じたみたいに自分の腕をさすった。
「……ハジメ君がイレギュラーと呼ばれたことにも運命を感じちゃうわね。香織ちゃんと雫ちゃん、オルクスで危なかったから」
なんのことだと首を傾げる者はいなかった。全員が、昭子と同じことを想像したらしい。そう、オルクス大迷宮でカトレアの襲撃を過去再生して視た時の光景を。
死の瀬戸際にあった勇者の幼馴染みの女の子二人。
香織か、それとも雫か。あるいは両方か。
なるほど、確かにハジメというイレギュラーが存在しなければ、勇者の王道物語は成っていたかもしれない。追い詰められても〝自分の信じる正しさを貫くこと〟に固執して大切な者を失い、その悲劇を糧に成長する勇者――という物語が。
「そういうお話はあんまり好きじゃないの……後で実は生きてましたっていうのだったら逆に胸熱だけど!」
日本に移住していろんな創作物に触れているミュウには、既に好みがあるらしい。嫌な想像を振り払うようにぷるぷるしている。
ミュウを安心させるように膝上へおいでおいでするハジメ。嬉しそうにぴょこっと飛び乗ってきたミュウを優しく抱えつつ、ハジメは目を眇めた。
「あの人、心身共に強そうな人に見えましたけど、そんな感傷的なことを語るなんて随分と参っていたみたいですね」
「確かに八重樫の師範クラスと金属バットや徒手格闘で渡り合える猛者だけど、弱ることだって当然あるわ。一人の人間で、母親なんだから」
「鬼の首さえ落とせそうな八重樫流に、喧嘩殺法でタメ張れる時点で超人の部類だと思うんですけど」
それは脇に置いといて、と言いたげに両手を脇に移動させる仕草を見せつつ、「とにかく」と霧乃は微笑を浮かべた。
「ハジメ君が光輝君にとっての障害で、きっと良かったんだわ」
「……あいつが堕ちたのは、俺の存在が原因でもあるんですが」
天之河家もそうだったが、八重樫家もハジメに責めるような雰囲気は微塵も見せない。それどころか、良かったなんて言われると流石にハジメも妙な気持ちになる。
「原因じゃないわ。ただの引き金よ。ハジメ君がいなくても、いずれは同じようになったでしょう。それこそ、雫か香織ちゃんを殺されて成長ではなく堕ちてしまったり、ね」
「だとしても、最終的にあいつを連れ戻したのは雫達ですよ?」
「連れ戻せるように最大限の力を貸してくれたのは君じゃない」
「それは、まぁ……」
「結果論かもしれないし、失ったものもあるだろうけど……あの子は今、また自分の足で進もうとしてる」
「普通なら、やっと帰ってきた息子が再び異世界に行くなどと言えば止めるものだろうが……美耶は逆に嬉しかったみたいだな。ままならない現実から逃げずに、足掻こうと決意していることが見て取れたからだろう」
まだまだ光輝の旅の結果は分からないけれど、少なくとも再起しようと奮闘する道に戻って来られた理由の一つには、確かにハジメの存在もあるのだと、鷲三が嬉しそうに頬を綻ばせる。
より複雑な表情になるハジメを横目に、「結局」と虎一は眉を八の字にして溜息を吐いた。
「雫のことにしてもそうだが、我々大人がしてやれていたことなど本当に微々たるものだったんだなぁと実感してしまったよ」
こうして過去を振り返れば、どうしても思ってしまう。もっとこうしてあげていれば、と。だから、落ち込んでしまう。
「それは、まぁ……みんな一緒だよ、虎一君」
「ああ。南雲愁の言う通りだ」
今更言っても仕方のないこと。そう分かっていても、子供のことで悔やんで、憂慮して、自分を情けなく思ってしまうのが親なんだろうと、苦笑を交わし合う愁と智一。
ハジメが少し冷めた紅茶をぐっと飲み干し、空気を変えるようにわざと音を立てて受け皿に置いた。
「お望みなら、天之河のもとへゲートを開きますよ。言いたいことがあるなら、お会いになりますか?」
鷲三は少し驚いた様子を見せつつも、緩やかに首を振った。
「……いや。自分を見つめ直すと決意して旅立ったのだ。それこそ今更だろう。私達が会いに行くのは」
「まぁ、そうでしょうね。あいつも、自分の問題は自覚してるでしょう。幼馴染みに泣くまで殴られて教えられたんですし」
ハジメがちらりと見れば雫は肩を竦めた。それに小さく頷き、ハジメは改めて鷲三達に視線を巡らせる。
「あいつ自身が答えを見つけられていない間は、身内だからこそ会いづらいと思いますよ。何を話せばいいのか、分からないでしょうからね」
「うむ、そうだな」
「なら、待つしかありません」
「帰ってくるのを、か」
「ええ。あいつの旅は、たぶんまだ終わっていない。また旅立ったからという意味じゃなくて、初めて召喚された時からずっと続いたままなんだと思います」
なんの興味も関心もないと言いながら、光輝を語るハジメに雫達が目を丸くしている。その言葉は不思議なくらいスッと胸に入った。納得があった。
きっと、誰よりも帰郷を切望したハジメだからこそ、〝旅の終わり〟とはどういうことか、誰よりも理解しているのだろう。興味のない相手の内心を察せられるほどに。
「だから、本当の意味で帰ってきた時に語り合えばいいんじゃないですか? きっと、その時には自然と言葉が出ますよ。お互いに」
「……そう、だろうか?」
「ええ、そうですよ。よちよち歩きの幼児じゃないんです。自分でどうにかしてもらいましょう。それで、また暴走するってんなら……」
「なら?」
「そん時は、どうせ雫達が心配して面倒なことになるので、俺が天之河家や鷲三さん達を拉致してあいつの前に放り出します。どうにかしてください」
「「「……」」」
あんまりと言えばあんまりな丸投げ発言に、ぽかんっと口を開いて固まる鷲三達。今までの配慮と敬意を感じさせる言動とは異なる突き放したようなそれに、愁と菫が「ちょっ、おまっ。オブラートって知ってるぅ!?」「うちの子がドライですみませんっ」と慌てている。
が、一拍おくと大笑いが響いた。
「ふははっ、そうだな。大の大人がいつまでもしょげていては、それこそ情けないっ」
「この年になって、子供から叱咤されるとは。確かに情けないな」
「義理の息子に怒られちゃったわ。ふふっ」
何やら嬉しげな様子に愁達はぽかんっとするが、なんとなく鷲三達の心情を理解してふっと表情を和らげる。
ハジメの言葉が、過去を悔やんでうじうじするくらいなら、未来で問題が起きた時にどうするか考えておいてほしい、という意味だと了解したからだ。
「ミュウは知ってるの。こういうのをツンデレって言うの」
「違うが?」
なぜだろう。肩越しに仰ぎ見てくるミュウの微笑がやたらと優しい。まるで聖母のよう。
妙にそわそわした気分にさせられて、ハジメは咳払いをした。そして誤魔化すように、
「ま、まぁ、会うの避けるとして、バレないように今の様子を見るくらいはしておきますか?」
「……ハジメってば、やっぱりツンデレぇ?」
「ツンデレですねぇ」
「ツンデレじゃなぁ」
無視ッ。若干、頬が赤いハジメに香織達が身悶えている。なんだかんだで、やはり身内には甘いハジメだった。
「そうさな。せっかくトータスに来ているのだ。遠目に頑張っている姿くらいは見ておこうか?」
「ええ、そうね。美耶にもお土産話ができるし」
虎一と霧乃がくすくすと笑いながら、厚意を受け取るべく頷く。
ハジメは羅針盤とクリスタルキーを取り出し、上空から俯瞰できる窓のようになるよう〝ゲート〟を調整し始めた。
その間に、リリアーナが安心させるように八重樫家の面々へ話しかける。
「王宮は光輝さんの拠点でもありますから、私も気にかけておきます。本当の意味で独りにはならないよう必ず誰かを傍につけておきますね」
「ありがとう、リリィさん」
「ふふ、王女様が見守ってくれているなんて贅沢な旅ね。安心だわ」
「感謝するよ。傍に人がいるなら光輝も無茶はしないだろう」
鷲三達は、どうやら忘れているようだ。今、光輝の傍にいるお目付役の騎士が誰だったのか。
あるいは、あまりのインパクトに記憶を封印してしまったのか。リリアーナも、忘れているらしい。勝手に帰ってきちゃったあの騎士を。
「あん? 反応が樹海の……北部? 北の山脈地帯のはずじゃ……」
訝しみながらも〝ゲート〟を開くハジメ。
そして、
「ウォオオオオオオネェエエエエサァマァッッッッ!!!」
「くぅううっ、いったいどこからそんな力がっ。だけどっ、これ以上先へは行かせないぞぉおおおーーーっ!!」
なんか死闘が見えた。
樹海の木々が四方八方へ飛び散り、その中心でやたらと禍々しい闇色のオーラを噴き上げる何かと、既に〝限界突破〟を使っているのか純白の輝きを纏う光輝が対峙している。
これには全員が絶句。目をシパシパ。
その間にも状況は目まぐるしく変わる。
「なっ、簡易障壁の連続展開で空中を!? ま、待て! その方角にはフェアベルゲンがっ」
某ハリーでポッ○ーな映画の闇陣営の魔法使いの如く、黒いモヤないしベールのようなものを纏って高速で移動する何かに驚愕する光輝くん。そこへ、新たな登場人物が。
『すまぬっ、遅れた!』
「アドゥルさん!」
爺様!? とティオがようやく声を発する。勇壮な緋竜は確かにアドゥルだった。何やら意識をはっきりさせようとしているみたいに頭を振っている。
『まさか、あれほど強力な認識阻害をかけられるとは不覚ッ。さぁ、光輝殿よ! 私の背に!』
「すみませんっ、お借りします!」
『構わぬ! あれはもはや愛に狂った悲しき獣。理外にある思慕の化け物よ! ここで止めねば!』
「はいっ。元の彼女を、どうにかして取り戻します! 出し惜しみはしません――いくぞぉおおおおっ――〝限界突破・覇潰〟ッッ」
緋色の竜王と、その背で純白の光を噴き上げる勇者。その光景は、端から見ると神話の一ページの如く。
だがしかし、その相手は邪神でも魔王でもなく。
「オネェエエエエエエサマ――ノ視線を感ジ、ル?」
言わずもがな、愛故にソウルを暴走させた自称シスターな女騎士だった。
お目付役が、最も勇者に無茶を強いている件。
黒いモヤを纏い判然としない姿。その奥から炯々と輝く瞳。おそらくお得意の闇属性魔法の効果なのだろうが、それにしても異様の一言。
アドゥル曰く愛に狂った悲しき獣の、その顔がぐりんっと肩越しに上を向いた。
「ミツケタァ!!」
「ヒィッ!? ハジメぇ、閉じてぇ! 早く閉じてぇ!!」
「もう止まれぇえええええっ!!」
『多少の怪我は覚悟したまえ! 王国の騎士よっ』
雫の悲鳴と、光輝の死闘を覚悟したような雄叫びと、アドゥルの怒声が木霊する中、ハジメはそっと〝ゲート〟を閉じた。
あまりの出来事にしんっとした空気が漂う。ガタガタ震えるお姉様を、香織達が無言のままギュッと抱き締めている。
一拍。
「確かに頑張ってるみたいっすね」
「思ってたのと違う」
ハジメの言葉に、鷲三は真顔で返したのだった。
リリアーナさんがそっと席を立ち、部屋の隅っこにて両手で顔を覆ってしゃがみ込んだが、誰も声をかけられなかった。
なので代わりに、
「――〝鎮魂〟!!」
愛子が精神安定魔法を発動した。対象は、もちろん全員。心胆寒むから締しめた悲しき愛の獣に削られたSAN値を戻していく。
「愛子、あんた地味に活躍するわね」
もしかしなくても、この旅で最も活躍しているのは愛子かもしれない。と、鳥肌が治まっていく腕をさすりながら昭子が言うと、
「そんな活躍の仕方はしたくなかったよ」
愛子が深い溜息を吐いたのだった。
森の変態エルフといい、帝国の狂犬皇女といい、王国の自称義妹といい、どうしてこうも悲しき獣が次々と生まれるのか。
ハジメのみならず、その周りに集う者達もまた、他者に強烈な影響を与えてしまうのかもしれない。
それから。
ショッキングな出来事からどうにか立ち直った雫達は、最後の見学地――攻略の間にやってきていた。
過去映像が、紅色と黄金の光を部屋いっぱいに映し出す。キラキラと輝きながら渦巻く二色の光の渦は、まるで銀河の如く。
実は、フェアベルゲンでの羅針盤とクリスタルキー再創造シーンも見る予定だったのだが、深淵卿VS魔王のインパクトがあまりに強くてすっかり忘れていた。
なので、概念創造の光景は、ハジメの願いが成就する瞬間というのは、先程までの疲労やショックを忘れるほど荘厳かつ心に迫るもので、誰もが心奪われ、魅入っているのがよく分かった。
奈落で見てきたハジメの艱難辛苦が映像の中の映像として見える。目を背けたくなる凄惨な光景を思い出して、心が苦しくなる。
「で、やっぱりミュウは見れないと。別にいいんですけどね」
「口調が変わるほど不機嫌なのは分かった。映像越しの映像で不鮮明だし、軽いモザイク代わりになってるから、ちょっとだったら見ていいぞ」
「その言葉を待ってたの」
むぎゅっと抱き締められて耳も目も塞がれていたミュウの、あまりに抑揚なき言葉にハジメが折れた。
確かに、概念創造時に見えたハジメの過去は元より魔力光の狭間に見えるような映像で、過去再生とは比べるべくもない不鮮明さだ。過去再生自体でワンクッション挟んでいるので、感情がダイレクトに伝わることもない。
それでも、血塗れで苦しむパパを見て、ミュウは息を呑んだ。ハジメの腕にギュッとしがみつき、同じく顔を強ばらせているレミアの腕も取って微かに震えている。
それでも目を離さないのは、流石は魔王の愛娘というべきか。
「……感動的だな」
「凄い輝き……本当に神話みたいな光景ね」
当時のようにハジメの感情がダイレクトに伝わるわけではなくとも分かる。菫にも愁にも、確かに伝わっていた。
家に帰りたい。その一心が形を成していくのだから。
「これを見れば、〝極限の意志〟というのがどれほどのものか、少し分かる気がするな」
「ええ……そうね」
智一と薫子も、その圧倒的な輝きを前にほぅと溜息を吐いている。
やがてハジメとユエが力を使い果てして倒れたところで、過去再生は終わった。
愁と菫が、無言のままハジメの両肩にそれぞれ手を置く。頑張ったなと労うような、そこまでして帰ろうとしたことに嬉し泣きしそうな表情と共に。
まるで感動の長編映画を見終わった余韻に浸っているような空気が漂う中、昭子が微笑ましいものを見るような、少し羨むような眼差しを南雲家へと向けた。
「この旅行を通して思ったのだけど、ハジメ君は本当にお家が、いえ、お父さんとお母さんが好きなのね」
「「好きなのねぇ~?」」
「……父さんも母さんも、その顔やめてくれ」
どんな顔かは言わずもがな。
昭子が隣の愛子に視線を落としながら言う。
「親としては、ちょっと複雑というか羨ましい気持ちはあるわね」
「わ、私だって普通に帰りたいって思ってたよ? ……まぁ、あんな極限の意志かと言われたら自信ないけど……」
愛子の気持ちは、香織や雫も分かるらしい。
「私達も帰郷を強く望んではいたけれど……」
「うん。概念魔法に至るほどの想いかと言われると、ちょっと自信ないかな?」
智一と薫子、それに鷲三達も複雑そうな表情だ。
ハジメが苦笑気味に頭を振った。
「俺の状況が少し特殊だっただけだ。香織達だって、あんな極限の状況に追い込まれたり、この世界で過ごす時間が長くなって疲れたら、望郷の念は強くなっただろう」
剣と魔法のファンタジーな世界なのだ。そんな何もかもが未経験の世界で、濁流のように押し寄せる様々な出来事を前にしては、帰郷だけを考えるなんて普通は無理な話だ。
それこそ、奈落の底で死の淵を彷徨いでもしなければ。
愛子がハジメに同意して頷く。
「そうですね。実際、王都侵攻の後は皆そうでした。もう帰りたい帰りたいって、中には部屋にこもって出てこられない子も多かったです」
最前線組の永山パーティーのメンバーでさえ、光輝は神と戦うつもりだと分かっていても、自分達には無理だと、ついて行けない、もう帰りたいんだと、そう疲れ切った様子だったという。
「俺と香織達の間に、家族への想いで差があったなんてことはないさ」
「……うん、そうだね。私も、お父さんとお母さんに会いたかった」
「ええ、家に帰った夜は、私、お母さんに抱き締められながら泣いちゃったわ」
「私も、安心してしまって玄関口でへたり込んでしまいました」
どちらかと言えば親達へ向けられたハジメの言葉と、娘達の嘘偽ざる言葉に、智一達の複雑そうな表情も少し和らいだ。自然と、自分の娘のもとに寄り添って頭に手が伸びる。
撫でられることに、特に愛子などは物凄く恥ずかしそうではあったが、今だけはと大人しく受け入れている。
そんな家族の光景を、ユエ達が微笑ましそうに眺める中で、ハジメが「それに……」と〝宝物庫〟から何かを取り出した。
「うん? ハジメ、それって昔の携帯か?」
「ああ、召喚された時に持ってたやつだ」
愁の言葉に、ハジメが頷く。今は最新機種に魔法的要素を錬成で付加したハイブリッド携帯を使っているハジメだが、当時の中学時代から使い続けていた古い携帯も大切に保管していたらしい。
「無能と罵られても、奈落に落ちても、俺が折れずに帰郷を目指せたのはこいつがあったからでもある」
「……ん? それ初耳」
「それって、確か香織さんが持ってたやつですよね? ハジメさんの制服と一緒に」
「うむ。オルクスで再会し旅に加わった後、実は王宮から持ち出して肌身離さず持ち歩いていたことが発覚し、ご主人様に制服諸共取り上げられた時に見たのぅ」
「か、香織……」
「ち、違うのお父さん! ハジメくんの生存を信じていたからこそ、その私物が処分されないように私が保管しておこうと――」
「……ついでに、時折くんかくんかしてハジメニウムを摂取しておこうと」
「………………………………ユエ? ちょっと何を言ってるのか分からないよ」
「香織ぃ!?」
その〝間〟が何よりの証拠だった。誰もがドン引きしている。いや、ユエとシアとティオと薫子さんは「そりゃ嗅ぎたくなるよね」みたいな共感の顔をしている。
何も言うまい。ハジメニウムってなんぞ? とも聞くまい。深淵を覗きそうだから。
智一さんがよろけている。まさか娘が男の服を盗んだあげくクンカニストしていたなんて……とショックを隠しきれない様子。
「ええっと、それでハジメさん。通信機でしたか? それがどうお役に立ったのです? こちらの世界では使えないはずでは?」
リリアーナが話の軌道を戻しにかかった。ミュウ達も興味津々の様子だ。
ハジメは少し遠い目になった。
「昔からうちではな、食事の時間なんかに割と本気で妄想を話し合うことがあるんだ」
「「「どういうこと?」」」
あまりに聞き慣れない習慣に、理解が追いつかない他のご家庭。南雲家で暮らすようになったユエ達だけは「あ~」と訳知り顔になる。
「ほら、誰だって一度は妄想するだろう。世界がゾンビ映画みたいになったら、どう行動すべきかとか。学校にテロリストが襲撃してきたらどう戦おうか、とか」
「南雲愁、君、家族団らんの時間にそんなことを議論し合っているのか?」
「そうだが? 楽しいだろ?」
「そ、そうか」
あまりに堂々とした返答に、住む世界が違うっと言いたげに顔を逸らす智一。鷲三達は苦笑気味に、流石はクリエイター一家と一応の理解を示した。
「で、父さん達が覚えているかは分からないけど、ある日、異世界に召喚されたらなんて話もしたわけだ」
「……覚えてるぞ。ああ、そうか。そう言えば、あの時にその携帯に――」
「悪ノリして、メモ帳機能にいろいろ勝手に書き込んだわね……」
充電してあったのか、ハジメがボタンを押すと携帯が起動した。
懐かしそうに目を細める愁と菫に他の者達は小首を傾げている。
そんな彼等に、ハジメはまだ機能しているメモ帳画面を呼び出した。
そして、何か愛しいものでも見るような眼差しで、かつて面白半分で両親が書き込んだメモのタイトルを読み上げた。
「――異世界召喚・厳選心得七箇条」
一見無能な奴とか暗殺者系はだいたい強キャラだから仲間にしろとか、冒険者になりたい! とか。
行動指針だけでなく、ただの願望が入ってる時点でツッコミどころ満載だ。
「あらあら、的を射ているのが凄いですね……」
レミアが目を丸くして思わずと言った様子で零した呟きに、誰もが頷いた。南雲夫妻がドヤっている。
「他にも、召喚した国の王女はだいたい腹黒いって忠告もある」
「酷くないですか!? 私、精一杯、誠実に対応したつもりですっ」
「リリィ、落ち着いて。私達のこと気にかけてくれていたのは分かってるから!」
「香織の言う通りよ! 腹黒いなんて思ったことないわ!」
「まぁ、決戦の時とか扇動しながら黒い笑みを浮かべていましたけどね」
「それは愛子さんもでしょう!?」
香織と雫がフォローするが、最終的に「民の扇動なんてチョロイです。フッ」とか笑う姿を知っている者達からすれば、南雲夫妻の慧眼に驚かざるを得ない。
そんな七箇条だが、おふざけをしながらも、否、おふざけにこそ本気にならなくてどうするというのが南雲家の信条であるから、最後には本気の言葉が書かれていた。
ハジメが静かな声音で、けれど強い感情のこもった声で読む。
「――〝諦めるな! 絶対に帰ってくること!〟。ははっ、まったく何を本気になってんだか」
「いやぁ、やっぱ熱が入ってしまってなぁ」
「息子が一人で異世界にいるって想像したらつい、ね」
たははっと照れくさそうに笑う両親に、ハジメはより一層笑みを深めた。
「召喚されたばかりの頃、俺だけ才能がなくて、当時の俺は魔物でも魔人でも殺し合いなんて想像もできなくて、どうしようもなく不安だった」
そこは、雫と同じだなと視線を向ければ、雫もまた微笑を浮かべて頷く。
「切羽詰まってたわけじゃない。けれど、何か一つでも支えがあればと、そう思っている時にこのメモを思い出してな」
何時間、眺めていたか分からない。すっかり日が落ちて、ディスプレイの光だけが部屋を照らしていた。
「ああ、そうだ。帰らなきゃって。帰るために頑張ればいいんだって、そう思ったんだ」
見慣れたはずの無機質なその光が、魔法の世界に灯った機械の光こそが、ハジメの支えに、道標になったのだ。
本当は、奈落で一度は壊れる前から心に灯火はあったのである。
帰郷の念は、爪熊を倒して芽生えた想いじゃない。想像を絶する苦痛に忘れかけた想いが、あの時に蘇ったのだ。
「……なるほど。折れない心の源は、ずっと前から世界を超えてお義母様とお義父様から与えられていたと。ふふ、流石はお義母様とお義父様です」
ユエの温かな眼差しと称賛に、愁と菫は照れくさくてしょうがないのか視線を逸らした。
が、周囲を見れば誰もが同じ眼差しで。
「ま、まぁなんだ! とにかく悪ふざけが功を奏して良かった良かった!」
「ええ、そうね! これからも本気の悪ふざけをしていくわね!」
「それは勘弁してくれ」
大声で誤魔化す愁と菫に、ハジメは苦笑しつつも感謝の滲む眼差しを向けている。
それがまた、なんだかむずがゆくて、菫ははにかむような笑みを返したものの、愁は咳払いを一つ。
「そ、そう言えばハジメ。せっかく忠告してやったのに、どうして最初から遠藤君と親しくしておかなかったんだ」
そう言えばそうだ、とユエ達や智一達の視線がハジメに向く。
ハジメは――遠い目になった。
「なろうとしたけど……見つからなかったんだ」
さもありなん。意識して捜しても物欲センサーが働いているのかと思うほど見つからない男――遠藤浩介。
実は、ハジメが捜していると聞いて自ら声をかけたこともあったのだが……
今度は逆にハジメが気が付かずに尽くスルーしたので、「もういいのかな?」と声をかけなくなったという……
その辺りが容易に想像できて、全員の声が綺麗に「あ~~」と納得の響きでハモったのは言うまでもない。
いつもお読みいただきありがとうございます。
感想・意見・誤字脱字報告もありがとうございます。
今回で氷雪洞窟編は終わりです。次回は魔王城。書籍準拠なので魔人族も出るかもですが、内容は未定です。
※ネタ紹介
・ハジメの携帯の話。
⇒10巻の番外編より。