トータス旅行記㊿ お前も○○にならないか?
ミュウの意外な才能と、その射撃センスの根本を知ったユエ達が、嫉妬と道連れを望んで雫と愛子、リリアーナにも射撃させようと追いかけ回す中、
「その辺にして、そろそろ雫の試練を見に行くぞ~」
「待ってくれ、ハジメ君。ミュウちゃんだけずるいじゃないか」
苦笑しつつ次の見学を促すハジメに、待ったをかける人物が。
ハジメの肩をガシッと掴む無骨な手。一昔前の刑事ドラマに出てくる強面ベテラン中年刑事みたいな厳つい顔面の虎一さんだ。
「はい? 何がです?」
「何がって、酷いぞ。以前から、いろいろな銃火器を撃たせてほしいとお願いしていたじゃないか」
「あ、ああ、そうですね」
初めて八重樫家にお邪魔した時、襲い来る門下生を非殺傷弾で撃退したことがきっかけだった。その後に、トータスでの雫とのことを話す中で、ハジメは自分の武器についても実際に見せて紹介したのだ。
鷲三達が一般家庭にあるはずのない忍具――ではなく、古武術用の武具の数々を見せてハジメを試したこともあって見せ合いを望まれたから、というのも理由だが。
八重樫家の武器に対する好奇心と興味は、一般家庭のそれを遥かに凌駕しているのだ。
「日本では場所や準備が必要だろうと我慢していた」
「あ~、なんかすみません。てっきり社交辞令の類いかと」
「酷いぞ、私は真剣だったのに」
「いや、霧乃さんも鷲三さんも笑いながら〝そうだな、一度くらいガトリングとか撃ってみたいな〟って、明らかに冗談めかして言っていたので……」
「私は真剣だった」
「そ、そうですか」
「うむ。異世界旅行が決まって、これはいよいよ超兵器体験ができると喜んでいたのだが……一向に撃つ機会が来ない。最後は西の海に行くということだったから、そこでできるのかと期待していた」
「言ってくれれば、いつでも体験してもらえたんですが」
「過密スケジュールでの旅行じゃないか。私一人のわがままは通せない」
「お、おう」
そこは常識的なのかと内心で微妙な感想を漏らしつつ、
「いや、昨日の夜とかに言ってくれれば良かったじゃないですか」
「夜に騒音を撒き散らすなんて、それこそ非常識じゃないか」
「そこは常識的なのか」
結局内心を漏らしちゃうハジメ。虎一さんが至極真面目な顔で「私は常に常識的だが?」と妄言を吐いていらっしゃる。
「私の気持ちを知っていて、ミュウちゃんだけに撃たせるなんて……」
「なんすか、その乙女の嫉妬みたいなセリフ。流石に鳥肌が立ったんですが」
「お父さん、いい大人が何を言ってるの?」
いつの間にか雫が戻ってきていた。というか、会話が聞こえていたらしくユエ達も追いかけっこをやめている。他の者達も見ており、ミュウに至っては手元の即席どんなぁ~と、虎一おじさんへ忙しなく視線を行き来させている。
「(あんな熱い銃撃戦を見せられた後で、射撃体験なんてされては)もう我慢できない。ハジメ君! 私の欲求に応えてくれ!」
「省略されたセリフは想像つくんですけどね! 口に出された言葉だけだと怖いんですよ! 取り敢えず肩から手を離してくれます!?」
ついでに、鼻息が荒いし目も血走っている。
虎一さんは、どうやら皆の想像を遥かに上回る銃大好きおじさんだったらしい。
菫や愁達、そしてユエ達が、どちらかと言えば寡黙で基本的には落ち着いた雰囲気の虎一の変容に唖然としている。
見かねた雫がドン引きした様子で父親を引き離しにかかった。
「お父さん、なんか気持ち悪いわよ!! ハジメから離れて!」
「嫌だ! 西の海は明日だろう!? このままじゃ今夜は眠れない! ちょっとでいいんだ! 撃たせてくれるまでテコでも動かんぞ!」
「子供か! 恥ずかしいからやめてよ!!」
幼児のように、だだをこねる四十代半ばの厳ついおっさん……
なるほど、これは娘的に恥ずかしい。雫のお顔は真っ赤だ。これから内面赤裸々な過去を見られるというのに、その前に前菜の如き精神攻撃を受けるとは。
虎一を羽交い締めにするようにして引き剥がしにかかる雫だったが、まるで何トンもある石像でも相手にしているみたいにビクともしない。巧みな重心移動で対抗しているらしい。なんて無駄な技術の使い方。大人げない。
それほど、ハジメの超絶技オンパレードなガン=カタ戦は虎一のガンマニア魂に刺さったのだろう。
ガンダ○大好きおじさんが、何かしらの新作で熱狂したり弾けたりするのと同じか。ガンダ○の魅力は、フォースに似ている。時に人を導き、人生を豊かにするのと同時に、ダークサイドへ誘われる危険性も秘めているのだ……
「虎一。お前、今年も狩猟解禁日から親戚の山で狩りをしただろう? 猟銃で」
鷲三の言う通り、虎一は狩猟免許や狩猟用の銃の所持許可証も持っている。そもそも、八重樫家には刃物の類いがたくさんあるが、あれらとてきちんと公の許可を得ているものだ。
「というか、あなた。長期休暇の時は海外まで行って射撃体験するじゃない」
霧乃お母さんが、呆れを孕んだ眼差しで言う。それに対し、虎一はやはり真顔で応えた。
「引き金は、何度引いてもいいものなんだ」
「トリガーハッピーみたいなこと言わないでよ!」
もちろん、「んんーーっ」と一生懸命に引き剥がそうとしながらも、雫がツッコミを入れる。もちろん、虎一さんは止まらない。
「まして、魔法とのハイブリッド銃火器だぞ? ガトリングやアハトアハトを撃てる機会が普通の人生にあると思うか?」
「話を聞いてよ、お父さん……」
「昔から、コマンドーやランボーに憧れていた……」
「知ってるわよ。その手の映画とかモデルガンとか、趣味で集めてるものね」
「だから若い時は、家を捨てて海外に移住しようとも思っていた」
「それ、知らない」
「お母さんも初耳よ」
「わしもだな」
おや? 八重樫家の皆さんも知らない虎一さんの秘密が……?
銃大好きおじさんの精神は、やはり超絶銃撃戦で暴走しているらしい。言う必要のない、というか言うつもりのなかった若かりし頃の秘密にしていた内心を曝け出してしまう。
「霧乃と結婚するという時も、すごく迷った。このままでは銃規制が世界トップクラスで厳しい日本人のままで人生が終わってしまう。これが人生の墓場というやつか、と」
「あなた、そんなこと思ってたの?」
霧乃さんの目元が引き攣っている! 菫と薫子、それに昭子が「うわぁ」と引きつつも、霧乃さんになんとも言えない表情を向けている。
「婚姻届に印鑑を押した時は……ふっ、手が震えたさ。直前まで葛藤していたからな。霧乃と共にある人生か、それとも銃と共にある人生か、と」
「聞きたくなかったわ、親のそんな秘話」
「霧乃、そのクナイを下ろしなさい」
「そこをどいて。夫を殺せない」
銃と比べられた挙げ句、接戦だったらしい霧乃さん。恋愛結婚なのに、恋敵がまさかの〝物〟でショックを隠せない。夫婦の危機。
「フッ、認めたくないものだな。若さ故の過ちというものを」
「ねぇ、あなた。それ、どっちの意味で言ってるのかしら? 事と場合によっては、私がガトリングの射撃体験をすることになるわ。あなたを的にしてね!」
大丈夫よ、香織ちゃんに頼めば蘇生できるから! と目を吊り上げる霧乃さん。夫婦の危機、深刻化。
どうしたことだろう。娘の試練を見届けにきたはずなのに、その両親が試練を迎えている。旦那さんが〝己の負の部分(?)〟を自爆的にさらけ出しまくっている……
「……ハジメ、もしかしてまたヴァンドゥルの仕掛けが作動してる?」
「…………いや、そんな気配はないな」
ユエがキョロキョロと周囲を見回し、迷路で〝観光なんぞに来るな!〟と忠告してきたヴァンドゥルを思い出しながら仕掛けを警戒するが、どうやらそうではないらしい。
「こんなおじさん、見たことないよ……」
「虎一殿はいかにも武人らしい、己を律することに長けたお方に見えておったのじゃが……意外じゃのぅ」
「まぁ、本当に好きなものが関わると、ついテンション上がっちゃうのは分からないでもないですねぇ」
ティオも、昔から虎一を知っている香織も目を点にし、シアだけはちょっぴり共感している様子。バイク大好き少女なシアもまた、愛車にまたがった瞬間、人が変わったように風の申し子となるから確かに似ているかもしれない。
「あのぅ、パパ。これ、返します……なの」
「お、おぅ」
ミュウがパパへ即席どんなぁ~をそっと差し出した。
横目でチラチラと、妻に重心を崩され、とうとうハジメから引き離された挙げ句そのまま背負い投げされている虎一を見ている。
瞳は何より雄弁だった。
すなわち、ああはなるまい……と。
「良かった、のかもしれないわね。ミュウちゃんにも銃の怖さが分かったみたいだから」
「いや、薫子。銃の怖さって、そういうことじゃないと思うんだが……」
才能はあれど、子供に銃を持たせるのは……と至って常識的で良識的な感想を抱いていた白崎夫妻。虎一の情熱は良い反面教師になったと、少しだけほっとした様子。
「ちなみにだが、ミュウ」
「みゅ?」
どんなぁ~を分解して素材に戻しながら、ハジメはなんとなしに言った。
「レミアのお気に入りはガトリングらしい」
「!?」
「ハジメさん!?」
「あらあらうふふって、うっとりした表情を浮かべながらぶっ放してたよ。お前からは見えない角度だったけど」
「それ言う必要ありましたか!?」
「マ、ママも虎一おじさんみたいに……?」
「ち、違うわ、ミュウ。ママは興奮なんてしてないわ!」
「……本当に?」
じっと見つめてくる娘に、レミアは視線を泳がせた。そして、
「あ、あらあら――」
「笑って誤魔化すのはダメなの」
「――うっふぅっ」
変な声を漏らしつつ、ミュウのあんまりにも真っ直ぐな瞳に観念してか、すっと視線を逸らして白状した。
「…………ちょっとだけ、本当にちょっとだけ、ね? ………気持ち良かった、かもしれないわ、ね?」
快感だったらしい。レミアさんの隠れた性癖の欠片が露見した。
「パパ、ミュウは銃には負けません!」
「ママも負けたわけじゃないわ! ミュウ!」
膝を突いてミュウのお手々を手に取り、必死に言い繕うレミアさん。いつも余裕ありげな様子からは考えられないレアすぎる光景に、誰もが目を丸くする。夫を三角締めしていた霧乃も、三角締めされながらも駄々をこね続けていた虎一も我に返ったようだ。
「レミアの尊い犠牲で虎一さんも落ち着いたようですし……」
「ハジメさん、後で少し話し合いましょうね?」
「霧乃さんも昔のことということで、ここは収めていただいて」
「……仕方ないわね」
「虎一さん、西の海では海辺でのんびりの予定なんで射撃体験を約束します。なんで、ここは旅程優先ということで一つお願いします」
「う、うむ。すまないな。少しばかり熱が入ってしまった」
ばつが悪そうな虎一と、ちょっぴり怖い目をしている霧乃とレミアに苦笑しつつ、ハジメは今度こそ〝ゲート〟を開いた。
「なんか、こんな雰囲気で見られるの嫌なんだけど……」
雫がなんとも微妙そうな表情で呟くが、そんな雫の両腕をユエと香織がそれぞれ抱え込んだ。
「……そうはいかない。私が一番気になっていた試練なんだから」
「だね。口頭で説明はされたけど、やっぱり実際に見てみたいよ。雫ちゃんがハジメくんに告白した瞬間をね! ね!」
どうやら、ユエ達からすると雫の試練こそ最も気になるものだったらしい。
シアとティオのみならず、リリアーナと愛子も激しく頷いている。
「本当に雫の試練を見学する前に起きられて良かったです。……私の知る雫なら、たとえハジメさんへの恋慕を自覚しても絶対に告白などしなかったはず。それどころか、そんな自分を責めたはずです。貴女は、本当に見ているこちらが苦しくなるくらい、他の人ばかりを優先する人でしたから」
「そうですね。自分の気持ちを抑え込むことが、ごく自然にできてしまう……それは確かに優しさではあるけれど……いつか悪い形で爆発してしまうのではと心配でした」
「リリィ、愛ちゃん先生……」
愛子が「そうならないよう導いてあげるのが私の役目なのに……結局、自分で解決してしまったんですよね。本当に、不甲斐ないばかりです」と肩を落とす。
試練のささやきがもたらす雫の負の部分を的確に憂慮されていたことに、雫は嬉しいような、恥ずかしいような、むずがゆいような心持ちになって、頬をぽりぽりしてしまう。
「さて、虎一、霧乃。気持ちを切り替えなさい。今から知る過去は、私達も覚悟して見なければならないのだから」
そう言って、率先して〝ゲート〟を潜っていく鷲三。虎一と霧乃も表情を改めて、神妙な雰囲気で次の部屋へ姿を消す。
「ほんと、そう身構えないでほしいのだけど。ねぇ、ハジメ、またポップコーンとコーラをお供にしない?」
「俺が来た時のお前、死にかけだったじゃねぇか。あの有様になる過程を、そんなもん飲み食いしながら見られる奴はいないと思うぞ?」
「うっ」
苦笑するハジメに背中を押されるようにして〝ゲート〟を潜る雫。
その後ろに香織達も続いた。そして、理解することになるのだった。〝死にかけ〟というハジメの言葉が、なんの比喩もないそのままの意味だったのだと。
ハジメへの告白に至るイベント感覚で見ていいものではない、香織以上にギリギリの瀬戸際にあったのだと。
雫の試練は、激しくも流麗な剣戟から始まった。
技と技の応酬。美しいとさえ言える無数の剣線が縦横無尽に乱舞し、虚空には火花が咲き乱れる。
「ハジメの戦いをハリウッド映画のアクションというなら、雫ちゃんは時代劇の殺陣というべきだなぁ」
「ユエちゃんが過去再生をスローにしてくれているから、素人目でも技っぽいのが分かるしね」
愁と菫が魅入られたように虚像である真白の雫と過去の雫の戦いを凝視している。キラキラと輝く瞳を見れば感嘆しているのは明らか。
「雫ちゃんが剣術を得意としていることは小さい頃から知っていたけれど……凄いなぁ。雫ちゃんが一番、技術のある戦い方をしているように見えるよ」
「ええ。ハジメ君や香織達には申し訳ないけれど……戦いを見て〝美しい〟という表現を使いたくなったのは初めてだわ」
「お、おじさんもおばさんも大袈裟ですよ……」
小さい頃から、剣道の大会には香織と一緒に応援に来てくれていた白崎夫妻の、改まった心からの感想に、雫はポニテの先っぽを指でくるくるしながら照れた様子を見せる。
だが、二人の感想が決して大袈裟でないことは、やはり観戦者達の表情を見れば一目瞭然だった。
「うむうむ。確かに薫子殿の言う通り、美しいのじゃ。ある境界を越えて高みに至った技術というのは、なんであれ美しいものなんじゃよ」
だから、謙遜する必要はないと。確かに、雫の〝武〟は誰もが〝美しい〟と感じるほど素晴らしいものなのだから、と目を細めて笑うティオに続き、リリアーナも同じような表情を雫に向けて言う。
「ですね。香織がハジメさん達について行った後も、雫は王宮で誰よりも鍛錬に励んでいました。その頃から、私は雫のそれを見るのが密かな楽しみだったのです」
「え? そうだったの?」
「ええ。宙に描かれる剣線も、舞うように剣を振るう雫の姿も、心が洗われるくらい綺麗でしたから」
ますます照れた様子を見せる雫に、リリアーナは不意ににんまりと笑った。
「特に、ハジメさんから黒刀を貰い受けてからはますます技が冴えるようで――」
「まぁ、王国に頂いたサーベルも悪くはなかったのだけど、やっぱり刀が一番扱いやすかったから……」
「という以上に、ハジメさんからの頂き物という点が嬉しそうで――」
「リリィ?」
「ふとした時に黒刀を眺めてはニヤニヤと――」
「リリィ!?」
「休憩中なんて、まるで抱き締めるみたいに抱えて――」
「リリィーーーッ!!」
「乱入してきた猫を相手に、語尾にニャを付けて話しかけたり――」
「それは関係ないでしょ!!?」
「雫ちゃんったら! んもぉ! かわいいんだから!!」
「かおりぃーーっ!!」
「雫お姉ちゃん乙女なの~~~」
「んみゅぅーーーっ!!」
たぶん、最後は名前を叫んだのではなく、羞恥心がオーバーフローした果ての悲鳴だろう。迅速にポニテを顔に巻き付けて、真っ赤な顔を隠したから。ポニ繭ガードを発動した雫の両頬の辺りを、それぞれ香織とミュウがニコニコ顔でつんつんしている。
何はともあれ、歴史ある剣術の目の覚めるような技のオンパレードと応酬は、同じ流派ということもあって、ハジメとはまた別ベクトルで観戦者達の心を躍らせているようだった。
「……いいなぁ」
「え!? 私の虚像の姿もハジメ的に良い――」
「刀同士での尋常でない斬り合い……ロマンあるよなぁ。俺にはできない戦い方だから憧れるわ」
「……あぁ、そっち」
「……こらっ、ハジメ! メッ!」
「雫さんだけ反応が淡泊すぎますよ! 酷いですぅ!」
ユエとシアに両サイドからベシッと腕を叩かれて、ハジメは我に返ったように目を瞬かせた。
「あ~、いや、ほら。俺は直接見てるからな」
「「それでも!」」
乙女心というやつだ、とユエとシアがジト目を向けてくるので、ポニテ繭の隙間から反応を窺っている雫に苦笑しつつ、ハジメは素直に謝罪した。
「悪い悪い。真っ白な雫に興味がないわけじゃないんだ。ただ、それ以上に戦いに見惚れちまってな」
ほら、俺は最後の一撃しか知らないからと困った表情で言うハジメに、雫はそそくさとポニテガードを解いた。頬は赤いままだ。〝見惚れていた〟という言葉が嘘偽りのないものと伝わって一応満足したらしい。
その傍らで、
「え~と、霧乃さん? 鷲三さん達も……大丈夫かしら?」
昭子が恐る恐るといった様子で尋ねていた。八重樫家だけは、やはりというべきか少しピリリとした空気を纏っていて、片時も雫の戦いから目を離していない。表情も、開戦してからピクリとも動いていなかった。真剣そのものだった。
「昭子さん、今は……」
「そうね……うん、そうよね」
レミアが微笑を浮かべて首を振り、昭子も暗黙のうちに了解して八重樫家ごと見守るつもりで一歩下がる。
その直後、素晴らしき刀術と刀術の応酬の狭間に、とうとう入り込んだ。虚像による挑戦者の心を暴き立てる時間が。
『本当は剣術なんてやりたくなかった。本当は、道着や和服よりフリルの付いた可愛い洋服を着たかった。竹刀なんていらなかった。可愛い人形やキラキラしたアクセサリーが欲しかった!』
それは紛れもなく雫が表に出せなかった本心。鷲三達が険しく目を細める。奥歯をかみ締めたのか、頬が強ばった。
家族の期待に応えようと本心を抑え込み、光輝と共にいることで女の子達にやっかまれ。
幼き心に突き立てられた暴言の数々が脳裏に否応なく蘇っているのだろう。雫の表情に苦みと痛みが浮かび始める。少しずつ、虚像に押されていく。
「あの頃の私は、たぶん、自分で自分を雁字搦めにしていたのね。自分はこうでないといけないんだって、勝手に思い込んでいたのよ。ほんと……香織と出会えて良かった」
「雫ちゃん……」
「うちの道場にまで突撃して、私が言えなかったことを真っ向から、それはもう遠慮もなく叫んでくれちゃって。ふふっ」
「だ、だってぇ、あの時は雫ちゃんが強要されているんだと思っていたから、頭にきちゃって……」
もちろん、鷲三達が雫に何かを強要したことはない。
髪を短く切りそろえることも、フリルなんてない活動的な服ばかり買いそろえていたのも、稽古の時間を多く取っていたことも。
雫が一言、〝こうしたい〟と稽古以外のことを言っていれば、目を丸くしつつも否とは言わなかっただろう。
「でも、貴女のその勇気と優しさに私は救われたわ。改めて言うとちょっと恥ずかしいのだけれど……ありがとう、香織」
「……うん。こっちこそ、私と出会ってくれてありがとね、雫ちゃん。私の無鉄砲さとか、ダメなところ、いっつもフォローしてくれて……雫ちゃんが傍にいなかったら、私はきっと、いつかどこかですっごく大きな失敗をしていたと思うから」
自然と手を取り合って見つめ合う雫と香織。
「ゆ、百合の花が咲き誇っているように見えますぅ」
「いつものことじゃな」
「パパとユエお姉ちゃんの〝桃色結界〟と同じくらい〝てぇてぇ!〟というやつなの!」
「ミュウちゃんの語彙力がどんどんサブカルチャー寄りに……小学校で大丈夫でしょうか?」
「一応、お友達はたくさんいるみたいなので……」
ミュウを心配する愛子とレミアだが、その視線は雫と香織に向いている。眼差しは同じく尊いものを見るそれだ。当然ながら、愁と菫は「「あらぁ~~♪」」と、昔から何度も見ている智一と薫子は微笑ましそうに、リリアーナと昭子は目をカッぴらいてちょっぴり頬を染めながら見ている。
だがやはり鷲三達だけは笑っていない。会話の間、ユエが気を利かせて意図的に遅延させていたのだが、「すまないが、先を見せてもらえるかな?」と促すくらい集中している。
『この世界に来た時もそうだったわね。本当は不安でいっぱいだった』
魔物を初めて殺した夜には、隠れて泣いていた。
ハジメが奈落に落ちた日から、本当は心の底から〝死〟に怯え続けていた。
これには、ハジメと香織、それに愛子も驚いたらしい。思わず雫へ、弾かれたように視線を向けた。
「そんな素振り、まったく見せなかったよな。訓練でも率先してクラスの連中を気にかけていたし」
「私も、全然気が付きませんでした……」
「雫ちゃん……私にも隠れて泣いてたの? どうして……」
「別に気を遣わせるからってだけじゃないのよ? 虚勢でも取り繕っていないと……一度でも折れたらダメになる気がしたのよ」
ハジメの死を確認するまでは諦めない。そう言って立ち上がった香織を支える。
その役目こそが、雫を支えていたのだと苦笑気味に告白する雫。
もう、なんと言えばいいか、といった呆れ半分感心半分の表情に誰もがなる。
八重樫雫は、どこまでも自分に厳しく他人に優しいのだと。本当に、本音をさらけ出すことが不得意なのだと。
自己犠牲に酔って〝しない〟のではなく、全くできないわけでもなく、きっと、ただただ不器用なのだ。自分の心を自覚することも、それを表に出すことも。
過去映像の中で、雫がハジメに心惹かれた理由が暴露されていく。
過去の雫の表情は、正直、見ていられないものだった。今までの誰よりも追い詰められていた。
そして、気が付いてはいけないこと、無意識のうちに心の奥底に封じ込めたことが、止めの一撃のように木霊した。
『私は南雲君が好き。貴女ったら、親友の最愛の人を好きになってしまったのね。――この裏切り者』
「雫ちゃん!!」
既に満身創痍の雫が、遂に膝を突いた。
香織のことが誰よりも大切だったから、雫にとって、その感情は決してあってはならないものだったのだ。己の醜さを象徴するものだったのだ。
もちろん、感情は自然と生まれるものだから、そこをコントロールするなんてことは誰にもできない。
それでも雫にとって精神的致命の一撃となったのは、やはり、雫がどうしようもなく己の心に対して不器用な女の子だったからなのだろう。
「「「雫ッ!!」」」
とうとう重なった声が響き渡った。鷲三達だ。
過去映像の中で雫が物理的にも致命傷級の攻撃を受けたのだ。壁まで吹き飛び、氷壁をべったりと血色で塗りたくりながらずるりと力なく座り込む。
ハジメと雫以外の全員が息を呑んだ。想像以上に死の瀬戸際にあった雫の試練に、冷や水を浴びせられた気分なのだ。
ハジメ達の試練とて、特に香織は随分と追い詰められていたが、それでも目を背けたくなるような悲惨さはなかった。立ち向かう勇姿に一喜一憂する心の余裕があった。
だが、全身を切り刻まれて血だまりに沈み、指先一つ動かそうとせずくずおれたままの雫の姿は……
この氷雪洞窟の、否、大迷宮の本当の恐ろしさをヒシヒシと伝えてくるようで。
これには、さしもの鷲三達も冷静を保てなかったらしい。
「止めてくれっ……」
「ごめんなさい、ユエちゃん。……少し、待ってもらえるかしら?」
「……ん。大丈夫です」
虎一の絞り出すような声音と、毅然とした態度が崩れ両手で顔を覆ってしまっている霧乃の頼みに、ユエが気遣うような優しい声音で了承し、過去映像を停止した。
それで、鷲三も忘れていた呼吸を思い出したみたいに大きく深呼吸する。
「……すまない。本当にすまなかった……雫。何も気が付いてやれなくて……なんとふがいない……」
今までの覇気すら感じさせていた鷲三が、この時ばかりは一気に老けて見えた。大きな体がしぼんでしまったみたいに見える。
虎一と霧乃も、暗い表情でうつむいて呟くように言う。
「謝って済む話ではないよな。娘の内心を見過ごして、その結果がこれだ」
「私達のせいで娘が死にかけていたなんて……流石に堪えるわね。母親失格――」
「お母さん、それ以上は言わせないわよ」
思いのほか、強く響いた制止の声に霧乃達が顔を上げる。
真っ直ぐに、家族を見つめる娘の姿があった。ハッとするほど大人びた表情。凜として揺るがぬ瞳には気圧されさえする。
ハジメ達が静かに見守る中、雫は一拍おいてふわりと微笑んだ。
「大丈夫だから、ちゃんと続きを見て?」
それだけ言って、ユエに視線で続きを促す雫。ユエは少し迷った様子で鷲三達に視線を転じるが、元より覚悟の上で来たのだと頷きが返る。
過去映像が再開された。
過去の雫に止めを刺すべく迫る虚像。現実として雫は攻略したのだと分かっていても手に汗を握らずにはいられない瀬戸際。
雫が泣きながら初めて口にした「誰か助けて」という言葉に、胸が締め付けられるようだった。
背後の壁に穴が空いて、ハジメが現れる。虚像を一時的に退け、クロスビットで足止めしつつ雫を救命する姿が映る。
安堵の雰囲気が漂う中、しかし、目に入るのは完全に心が折れてすがってしまう雫の姿。
そして……
仮面ピンク・マークⅡを贈呈するハジメ。
「「おいぃ!! 空気読めっ!!」」
「「「ちょっとぉ! 空気読んで!!」」」
順に、愁と智一、菫、昭子、薫子である。親だけでなく、ユエ達からも「これはない」と凄まじく白けた眼差しがハジメに突き刺さる。
「は、励ますためだ! 本気で仮面を被せようとしたんじゃないぞ! だから、ミュウまでそんな目で見ないでくれ! お前のそんな冷たい目、初めて見たぞ……」
ミュウがどれほど冷たい目をしていたかはさておき。
ハジメの言う通り、雫の陰鬱な雰囲気を吹き飛ばすための軽口の類いだったらしい。
まんまと乗せられた雫に、過去のハジメが言う。
『――大事な想いは、今、俺の目の前にいる〝八重樫雫〟が持っているはずだ』
虚像は、あくまで挑戦者の負の側面に過ぎない。それが全てではない。
そう真っ直ぐに目を見て告げる過去のハジメに、雫の表情が変わっていく。暗く淀んでしまっていた瞳に光が戻ってくる。
「ハジメの言う通りなのよ。辛いことばかりじゃなかった。本当に嬉しかったの。才能があるって、お爺ちゃん達が喜んでくれたことが。小さい時のことなのに、あの日のお爺ちゃんの嬉しそうな顔は今でもはっきりと覚えてる」
「雫……」
過去映像の中で、雫が立ち上がった。ハジメに「見ていてやる」と、「死ぬことだけはない」と言葉を贈られて、微笑すら浮かべて再び凜と背筋を伸ばした。
「お父さんやお母さんが褒めてくれるのも、誰かの役に立って〝ありがとう〟って言ってもらえた時も、頑張って良かったってたくさん思ってきたわ」
「……ああ、お前は本当に小さい時から頑張り屋さんだからな」
「見て見て!って、よく得意顔で駆け寄ってきたわね。次は何を見せてくれるのかしらって凄く楽しみだったし、嬉しかったわ」
虎一と霧乃の視線が対峙する虚像と過去の娘をしっかりと捉えた。
「香織が私の気持ちを代わりに伝えてくれた後、お父さんもお爺ちゃんも、何度も〝続けるのか?〟〝他にしたいことはないか?〟って聞いてくれたわね。でも、私は続けた」
辛いという気持ちは確かにあった。けれど同じくらい、道場で過ごす時間が好きだという気持ちだってあったのだ。当時、自覚がなくても続けることを選択したのは、期待を裏切りたくないというだけじゃなかった。
雫はくすりと笑いながら、横目に霧乃を見やった。
「あの頃からよね。お母さんが、やたらとぬいぐるみとか買ってきてくれるようになったのは。それを皮切りに、お父さん達も、それどころか門下生の皆まで……ふふ」
雫の乙女チックな自室にある幾つもの可愛いぬいぐるみのほとんどは、家族や門下生達からの贈り物だ。唐突なお姫様の如き扱いに、当時の雫は嬉しさよりも戸惑いと羞恥を感じてしまって、「もういいから!」と逆にストップをかけたくらいである。
「きっと、八重樫の人間は不器用なのよ。本心を表に出すのが苦手で、何かあっても抱え込んで、まず自分でどうにかしようと思ってしまう。そういう血筋なのね」
苦笑しつつも、雫は心なしか声を張り上げるようにして、「でもね」と、しっかりと本心を込めてそれを口にした。その言葉が、過去の雫の言葉と重なる。
「お爺ちゃん達に教わってきたことは全部、私の誇りよ。お父さん達のせいで死にかけたんじゃない。お母さん達に与えられた心と技と体で、私は生き残ったのよ」
『確かに、私はいろんなものを押し殺して生きてきたけれど、その結果得たものもたくさんある。全部、もう捨てられないくらい大切なの』
だから、と。
映像の中で、ただ一撃に全てを注いで。
決着。
ポニーテールが解けてふわりと落ち、見事に一刀両断された虚像が消えていく。
「ありがとう」
もう気にしなくていいのだと。感謝しているのだからと。そう伝える愛娘に、鷲三達はもう自分を抑えることなどできなくなって。
鷲三も虎一も霧乃も三人揃って無言で雫を抱き締めたのだった。その目尻に、光るものを湛えながら。
その光景を、ハジメ達は目を細めるようにして静かに見守る。
誰も、茶化すようなことどころか物音一つ立てない。今この瞬間のこの時間を壊したくないという想いは、言葉はなくとも共通していた。
いたのだが……
『抱っこしていってね?』
「んぁ!?」
なんかやたらと可愛いうえに甘えきった声音が木霊して、雫が慌てたような奇怪な声を漏らし、他の全員がハッと視線を転じた。
そこには、女の子座りしたままハジメに両手を差し出す雫がいた。幼子のように甘えた雰囲気で、でも表情だけはどこか艶やかに。好意と信頼がこれでもかと溢れ出ている微笑と共に。
「「「「かぁ~わぁ~いぃ~いぃ~~~~っ!!!」」」」
女性陣が示し合わせたわけでもないのに綺麗にハモった。
過去の雫が髪飾りを要求したり、何かとわがまましたりする姿にキャーキャーッと姦しく騒ぎ出す。
「ストップストップストーーーープ!! ユエ! 試練はもう終わったわ! やっぱり恥ずかしいから止めてくれないかしら!?」
「……フッ、ご冗談を」
「むしろ、ここが見たかったんだよ、雫ちゃんッッ!!」
「全くですね! 止めたければ私の屍を超えて行け! ですぅ!」
「そこまで!?」
止める気はないらしい。なので、雫はハジメに助けを求めた。
「ハジメぇ!!」
「あぁ、うん。これは確かに俺もこっぱずかしいな。ユエ、頼むよ。止めてくれ」
「……フッ、ご冗談を」
おっと、ハジメの頼みなのに、ユエさんあっさり断った。ハジメの表情が引き攣った。
過去映像の中で、なんか甘酸っぱい青春ドラマみたいなやりとりをしているハジメと雫に、ユエ達は目を皿のようにして注目している。ハジメと雫の羞恥心など知ったことではないようだ。特に、
「氷雪洞窟のクライマックスを見ないなんて、神が許してもこの王女たる私が許しませんよ!」
「許すも何も、神、死んでるが?」
「王権を以て命じます! ユエさん、決して止めぬように!」
「とんでもねぇ職権乱用」
「……御意!」
「ノリノリか」
自称恋愛(小説)マスターのリリアーナは鼻息が荒い。目もちょっと血走っている。シチュエーション的に好みらしい。興奮を隠しきれない小声で「これは、はかどるっ」とかなんとか呟いている。こわい。
そんなだから王女様(笑)みたいな扱いが定番になってしまうんですよ……と思っていそうな少し引き気味の表情に、隣のレミアと愛子がなっている。
智一さんが目をつり上げてビシッとハジメに指をさした。
「ハジメ君。君という奴は……香織というものがありながら、やはり雫ちゃんも落とすつもりで!!」
「そんなわけないでしょう」
「だが、ハジメ。雫ちゃん的に正解な選択肢を尽く選んでいく姿はどう見ても……と、父さんも思うぞ」
「ギャルゲプレイヤーみたいなことを言わないでくれよ」
なんて騒いでいる間にも、雫を背負ったハジメは新たな通路へ歩いていき。
『南雲君、私、早く香織に会いたいわ。香織だけじゃなくてユエやシア、ティオにも会いたい。それでね――南雲君を、好きになったって言うわ』
どうなるか分からないけれど、もう少し素直になってぶつかってみると、そうさりげない告白をして、驚くハジメの背で恥ずかしそうに寝たふりをする過去の雫に、女性陣の盛り上がりは最高潮。
キャッキャッキャッと雫を取り囲んで、これまた示し合わせたわけでもないのにマイムマイムのリズムに乗って踊り出す。しかも、香織の口からは素直になった雫ちゃんを称えるような替え歌バージョンまで飛び出す始末。
雫ちゃんは、再びポニテ繭の中に引きこもった。
それはそれとして。
「ハジメ君」
「鷲三さん? 虎一さんに霧乃さんも」
ハジメの傍に、鷲三達がやってきた。少し赤くなった目元を和らげて、三人揃ってハジメの手を取り、重ねる。虎一と霧乃が穏やかな声音で心からの謝意を伝える。
「娘を助けてくれて、本当にありがとう。体だけでなく、心まで救ってくれたな」
「本当に、いつもいつもあの子が心から求める時に来てくれるのね。感謝してもしきれないわ」
「いえ、それは……たまたまですよ?」
「三度の偶然は、もはや必然とも言うが……どちらでも構わん。重要なのは、君のおかげで私の孫娘は三度も命を救われたということだ。あの子が君に心寄せるのも分かるというものだな」
雫のハジメへの想いを、ようやく実感したと笑う鷲三達に、ハジメはなんとも照れくさい気持ちに襲われて困ったように眉尻を下げた。
そんなハジメへ、鷲三は虎一と霧乃へ何かを問うような視線を向け、二人もまた何やら納得したように頷いた。
ハジメが首を傾げる中、鷲三達は円陣を組んで踊るユエや菫達の中心で羞恥心に身悶えている雫を見やり、とびっきりの優しい微笑を浮かべて一拍。
「認めよう。いや、ぜひ受け取ってほしい」
「? 何を――」
「我等の〝忍びの頭領〟の称号と地位を」
「謹んでお断りします」
即答&「ってか、遂に忍者って認めたな!」と即ツッコミするハジメ。
あまりに早いお断りとツッコミに、思わず聞き逃しちゃう八重樫家の皆さん。笑顔のまま固まり「「「え? なんだって?」」」と急に難聴系主人公みたいなことを言い出す。
いずれは雫の伴侶となるなら……と、彼等的には一大決心みたいな感じで伝えたようだが、ハジメからすればツッコミどころしかない。
「いや、そもそも忍者じゃないし。どちらかと言えばガンナーだし」
頑なに否定していたくせに、いきなりそんなこと言われてもと一歩退こうとするハジメだったが、三人は顔を見合わせるや否や、ガシッとハジメの手を掴み直した。万力みたいな力強さで。
そして、ならばと、このうえなく真剣な表情で勧誘した。
「「「君も忍者にならないか?」」」
もちろん、ハジメはこのうえなく半眼で答えた。
「ならねぇよ」
その後、女性陣の輪から抜け出した雫が、家族があれほど頑なに認めなかった正体をあっさり晒しているどころか、想い人をしつこく勧誘している光景を目撃して愕然としたのは言うまでもない。
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※ネタ
・タイトル⇒鬼滅の猗窩座さんより。