非常識人 第六十二話 不良品
不良では無い。不良品だ。
俺や俺の周りの友人達は少なくともそうである。
前者は「ワル」を名乗る時点で十分に良い子だ。
「出来るなら真面目に生きたい」
懲役上がりの友人たちは皆口を揃えて言う。
レールに乗って生きると制約は生まれるが社会が味方をしてくれる。
誰だって安らぎは欲しい。
しかし真面目に生きられない。
好きな事しか出来ない。
「企業」と言う存在がそもそも中抜き業者のようなものだ。
会社員の給料はそう高くはない。
更に言うと不良品にはリスクジャンキーが多い。
手元に300万持っていても1週間後には無くなる。
無くなったらまた稼ぐ。
社会的にメリットはないがタトゥーを増やす。
常に今を生きている。
そのような人間ばかりだ。
所謂悪いこと全般は1発の利益が大きい。
更に言えば自分を殺さなくていい。
何かミスがあれば良くて利益ゼロ。
最悪の場合だと逮捕勾留の事態に発展する。
本気で生きるしかない状況下だと人は知恵を絞る。
だから仕事が出来るのだ。
決して賢いわけではない。
ゴキブリが殺される前にIQが上がると言うが、その現象と似ている。
しかし、そのような状況すら楽しんでしまう。
だから不良品なのだ。
被害者面する気はないが、俺の場合は既に複数の逮捕前科前歴のせいで本名を調べればGoogle検索でいくらでも事件内容が出てくる。
5chでも散々叩かれた。
知人の紹介で面接を受けたコンビニや工場すら落ちる。
正社員登用はよほど我慢しない限り厳しい。
それなら自分で稼いだ方が早い。
自由度も高い。
ただ不良品として出来るだけ良品に近い存在でありたいと思う。
土地柄や年代によって様々だと思うが、俺が小5まで居た地域では、所謂弱い人間が不良になっていた。
同級生のYがその存在だった。
スポーツも出来ない
部活も続かない
勉強も出来ない
「こんなんもできんとやキサン!」
当たり前に皆でバカにする。
いじめる。殴る。
すると学校に来なくなる。
学校に来なくなると同じようなツレと連む。
中2の頃にはグレた。
彼が16歳でパンチパーマを入れ、暴走族のメンバーになった時。
いきなりタメ口を聞いてきた。
「よー元気?」
即ボコボコにした。
態度が気に入らない。
「ごめん、ごめん…」
肩書を得たからと言って人の本質は変わらないし弱いものは弱い。
彼は不良品では無く不良になりたかったのだろう。
そんな彼も今ではITの仕事で真面目に働いている。
「俺会社から褒められるようになったんよ」
自慢げに話す姿が眩しい。
良品になった彼を俺は心から応援している。


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