非常識人 第二十八話 ほりもの5
基本オーダーは全てお任せだ。
煙の額。赤い目。
それ以外の注文はしてない。
当時27。死ぬには丁度いいと思っていた。
病気で亡くなった人を何人も目にしたからだろうか。いまだに生に執着は無い。
家にはスピリタスで作った手製の火炎瓶。
クローゼットにパイナップルも常備。
ガサ入れがきたら皆殺しにする覚悟の証。
毎日が自由。全て自分次第。
明日の保証はない。
その点で彫り師と境遇が似ていた。
当然通う頻度も多い。
暇で日銭には困っていないからだ。
「キャンディ君のこと好きみたいですよ」
共通の友達からリークが入る。
気が合わないわけではない。
遊びに誘った。
「今度空いてるからあそぼーよ!」
「いいよ」
男は理性、女は感情の生き物だ。
照れているのが伝わる。
顔馴染みの温泉宿を予約。気兼ねなくマリファナが吸える。
「甘いもの食いたい!ケーキ買ってきてー」
店員にケーキ屋に走らせる。
テーブルに並ぶ酒瓶。
付き合うか。
マリファナを吸いながら決めた。
多少のリスクやしがらみなど気にもしていなかった。
男から言うのが礼儀だ。
アウトローの女の子ほど身持ちは固い。
体を重ねる前に中学生のような告白。
俺は青。相手は赤。
お互いの体には蓮の花が咲いていた。


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