非常識人 第二十話 借金くん〜中編
「もしもし。私母親の者です。この度は山口さんにご迷惑をお掛けしているようで申し訳ないです」
「お世話になります。いえいえ。ご迷惑だなんてとんでも無いことで御座います。あくまで友人の手助けをしたいだけなので。どうされました?」
返済期限の延長を頼んできたな、先方の目的から話をどう転がそうか頭の中で電卓を叩く。
「実は、山口さん以外にもカード会社とか、息子の友人から脅されている分があって…どうしても今日までに返済しなければいけないでしょうか」
「カード会社と友人の方から脅されてる分はどれほどでしょうか」
CICの名義とケータイ支払いが滞っていればブラックでも契約ができる会社を通し中古端末を捌き上がる純利は多くとも十万だ。
友人から脅されているという話が出た。
債務整理を請け負うかつ脅している友人を脅した方が金になるし安牌だ。俺はそう判断した。
「カード会社が大体150、友人からの借入が150です。ただその友人からは200にして返せ!と2人から脅されていて…」
「事情は分かりました。僕も友人として彼のことが心配ではありますし、無理にとは言いませんよ。一度彼とお電話を代わっていただけますか?」
「…はい。もしもし」
明らかに怯えている声で電話口が借金君に変わる。
「おう、まず1人になれ。…よし、お前が友達から借金してる分の減額を今回の三万とは別に十五万で請け負ってやるわ。その友人の名前、SNS、知ってる限りの情報を俺に流せ。あと脅迫してる文面のスクショ。じゃねえと保険証を裏で捌く。約束だもんな?」
相手は条件を呑む他ない。
俺は借金君の友人2人のあらゆる情報と連絡先を手にした。
「これで借金くんからは18、脅迫しやがったバカ2人から口止め料。感謝もされる。1番得をする」
仕事になるといつもこれだ。
情は一切挟まない。
「よし、親に代われ」
俺は声色を変える。
「事情は飲み込めました。息子さんのこと心配ですよね…まずは私からも息子さんの友人様に働きかけてみます。私が貸している分は約束の期日は過ぎていますが再度書類を書き直していただければ大丈夫ですよ。安心なさってください。」
借金くんからしたら俺から金を借りている方が怖いはずだ。
だから親に相談をしたのだろう。
貧すれば鈍ずる。
「さあ、どう転がそうか…」
1人葉巻を割きながら、俺は明日のプランを練っていた。


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