非常識人 第十二話 俺VS弁護士
3人の弁護士を雇い内容証明郵便を送りつけてきたのは某世界的有名アーティストだった。
詳細は記載できないが、投資に関連する俺のしのぎの一部が「著作権法の侵害」に当たると言う内容だった。
潜伏中に対策を練っている間も先方の弁護士から2日に一度のペースで連絡が入る。
勿論電話には出ない。ネットワーク回線ではない通話は電波塔を伝う為、居場所が特定される可能性がある。
やり取りは全てSMSを通した。
「口座情報を開示しなければ刑事告訴に踏み切る」
先頭に立った弁護士が言う。やはり悪党だ。
脅迫に当たらないように脅迫をしてきやがる。
「プライバシーに関わるので出来ません」
当たり前に断る。
証拠が揃わなくても告訴はできる。
しかし起訴は難しい。
つまり刑事告訴しても無駄になる。
証拠物を集め、刑事告訴をすることが先方の本来の目的なのだ。
法律を触り程度には理解している俺は法律の汚さを知っている。
確実に起訴したいから証拠物をよこせ、と言って証拠物を提出する人間はいない。
建前の正義が商売道具の彼らは嘘が上手い。
「口座情報の提出を希望します」
「無理です」
そういったやり取りが半年間に渡り続いた。
一切協力しない俺に、とうとう相手はしびれを切らした。
「刑事告訴します、あとは警察と話してください」
「どうぞご自由に」
該当の口座は既に全てシュレッダーに掛けている。
端末達も各県境に破棄した。
たまたまヤサの更新時期と重なった事もあり、あえて引越し、新住所も先方に教えた。
「わざと」著作権を侵害したのか、「過失」なのかが事件性の有無に関わる事は分かりきっていたからだ。
あえてヤサを伝える事で、「過失」の主張に信憑性が高まる。
その他の言い訳も全て頭の中に叩き込んだ。
それから 約2ヶ月後。ピンポンの連打。
ついに来たか。
マリファナをトイレに流す。
わざわざインターフォンを押してくれると言うことは本気ではない。
本気の時の警察は家から出た瞬間に取り押さえに掛かる。
経験からすぐに察した。
案の定だ。
福岡の俺のヤサに3人の刑事がやって来た。


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