非常識人 第六話 ため息
2時間後に電話が鳴った。
70g「飛んだ」彼からの着信だ。
「お疲れ様です!さっき出られなくてすみません!」
「お疲れ様。あのさ、この前襲われたっつってたじゃん?あの関連の人?名前忘れたけどなんかムカつくやつから電話があったよ」
彼との出会いは友人の紹介だった。詐欺の受け子と麻薬取締法で少年院を退院後、音楽活動を頑張っていると言うことで交流があった。
家庭環境が複雑だと言うから家に連泊させたり、「襲われました」と言われたら電話一本で話を収めたことも二度ある。
歳下ということもあり、一言で言うと「舐めて」いた。襲われるには襲われる理由があるはずだ。ガキの喧嘩のエスカレートだと思い特に深入りもせず強引に問題を片付けていたのだ。
そう言った経緯があり「アニキ」と呼ばれ出した。「違うからやめろ」と言っても呼ぶのを辞めない。
プッシャーをしている事は知っていたが、ウーバーイーツ配達員を見ているくらいの感覚であったため、まさかウーバーイーツ配達員が盗んだ食料を売って逃げているとは予想だにしていなかったのだ。
「本当の所どう?やったかやってねーか結果だけ言え」
イエスだった。嗚呼めんどくさい。
電話を掛ける。
「おい。さっきの俺だよ。俺のシノギでもねえのに時間割いてあいつに連絡取ってやってお前への折り返しまでしてんだけど。あいつ確かに飛んでたよ。たった70なら単発3000で21万だな。あと2回に分けて払わせるからテキトーに話し付けとけ。もし手出したらお前ら全員殺す」
一方的に話して切る。常に命令。主導権を取らせない上に勝手に貸しを作って更に脅す。
嫌いな相手に出る悪い癖だ。
こちらが明らかに分が悪いのに価格を決めてしかも分割。俺の弟分でもないのに何を守っているのか。
飛んだ彼に電話を掛けて事の事情を説明。ありがとうございますの声。
一体何をしているのだろうか。
俺はため息をついた。


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