非常識人 第五話 鏡
人間関係は鏡だ。
こちらが信用をすることで相手から信用をして頂けたり、相手が怒りの感情を露わにするとこちらも怒らなければいけなくなる。
彼との出会いは最悪だった。
急に掛かる着信。マリファナを燻らしつついつもの通り1コール半で対応する。
「あなた、あいつの兄貴分でしょう?」
声の雰囲気から瞬時に敵意を察した。俺は返す。
「だったらなんだ。今から来いよ」
初めの30分は揚げ足の取り合いで会話にすらならなかった。通話は2時間に渡った。ただ相手の話を聞く所によると、自分はグループのリーダーをしている、「俺」の弟分を勝手に名乗る人間が70gをツケで頼み逃げている、何か事情を知らないか、ということだった。
俺としては弟分を付けた記憶もなければ、その事実すら知らなかったので仰天した。
「分かった。知らない仲じゃないから事実確認をしてみる。連絡ついたらすぐに折り返す」
そう言って先に電話を切る。わざとだ。目下の者が先に電話を切るとそれだけで弱みになる。つまり暗に、お前なんか大したことねえよ、と敵意を伝えているのだ。
すぐに俺の名前を騙った人間に電話を掛ける。出ない。
「せっかく暇だったのにいつも急に忙しくなるよなあ」
冷蔵庫の中のソーダとリーンを混ぜリラックスしつつ、1人ため息をついた。


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